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身体介護とは?具体的なサービス内容や生活援助との違いを紹介
4 days ago

「身体介護とは何をするものかよく分からない」という方もいるでしょう。身体介護は、利用者の身体に触れて行う介護サービスのことで、食事や排泄、入浴の介助などが代表的です。この記事では、身体介護の具体的な内容について紹介します。身体介護を行うのに必要な力ややりがいについても解説するので、ぜひ参考にしてください。
身体介護とは
厚生労働省 老健局「『訪問介護におけるサービス行為ごとの区分等について』の一部改正について」によると、身体介護とは、利用者の身体に直接接触して行う介助サービスのことです。身体介護を行うために必要となる準備・後片付けなどの行為や、自立支援・重度化防止のためのサービスも、身体介護のサービスの一部に含まれます。
身体介護は、在宅、施設など介護サービスの体系を問わず、多くの介護の現場で行われているサービスです。訪問介護で身体介護を行うには、医療・福祉関係の資格が必須である一方で、介護施設内の場合は、介護福祉士の指導のもとであれば、無資格者も身体介護を行えます。
ただし、厚生労働省「令和3年度介護報酬改定の主な事項について」によると、2024年度以降、入職後1年未満の新入職員を除き、介護に携わる職員は医療・福祉関係の資格が必須となっているため注意が必要です。
参考:厚生労働省 老健局「『訪問介護におけるサービス行為ごとの区分等について』の一部改正について」
厚生労働省「令和3年度介護報酬改定の主な事項について」
生活援助との違い
身体介護と生活援助の大きな違いは、利用者の身体への接触の有無です。生活援助は、利用者の身体へ触れずに行うものが該当します。
厚生労働省 老健局「訪問介護」によると、生活援助とは、身体介護以外で、利用者が日常生活を営むことを支援するサービスを指します。
生活援助の主なサービス内容は、以下のとおりです。
- 掃除
- 洗濯
- ベッドメイク
- 衣類の整理、被服の補修
- 調理や配膳・下膳
- 買い物、薬の受け取り
生活援助では、状況に応じて利用者の健康チェックを行うこともありますが、利用者の安否確認や顔色のチェックなど、身体に触れない範囲で行われるのが特徴です。
参考:厚生労働省 老健局「訪問介護」
身体介護の具体的な内容
厚生労働省 老健局「『訪問介護におけるサービス行為ごとの区分等について』の一部改正について」によると、身体介護には以下のようなサービスが含まれます。
- サービスの準備や記録
- 利用者の健康チェック
- 排泄・食事の介助
- 清拭・入浴・更衣介助
- 体位変換や移動・移乗介助、外出介助
- 起床・就寝介助
- 服薬介助
- 自立生活支援・重度化防止のための見守り的援助
前述のとおり、利用者の健康チェックは生活援助の範囲でも行われますが、身体介護では、発汗や体温などのチェックも含まれます。
また、見守り的援助とは、自立支援や重度化防止のため、声掛けや見守りを中心に行う援助のことです。見守り的援助では、直接的な介助は必要時にのみ行われます。
具体的には、認知症などの高齢者に声掛けと誘導で食事・水分の摂取を支援したり、ごみの分別が分からない利用者に対しては、一緒に分別してルールを理解してもらったりすることなどが挙げられます。
見守り的援助は、日常生活動作(ADL)・手段的日常生活動作(IADL)・生活の質(QOL)向上の観点から、利用者自身でできることに対しては、介護職員が直接的な介助を行わないのが特徴です。見守り的援助では、安全を確保しつつ、常に介護職員が介助できる状態で見守ることで、利用者の自立を促します。
参考:厚生労働省 老健局「『訪問介護におけるサービス行為ごとの区分等について』の一部改正について」
身体介護を行うのに必要な力
身体介護の具体的なサービス内容をみてきましたが、実際に身体介護を行ううえではどのような力が求められるのでしょうか。ここでは、身体介護を行うのに必要な力を3つ紹介します。
コミュニケーション力
身体介護を行う介護職員には、コミュニケーション力が求められるでしょう。
前述のとおり、身体介護は利用者の身体に触れて行うため、声掛けなどのコミュニケーションが必要不可欠です。身体介護を行う際、状況によっては利用者に痛みや不快感が生じることもあります。そのため、このまま身体介護を続けて問題ないか、利用者とコミュニケーションをとりながらケアを行うことが大切です。
また、利用者のなかには、少しの痛みや違和感なら我慢してしまう方もいると考えられます。そのようなケースを防ぐためには、利用者と介護職員との間で、十分な信頼関係を築けていることが大切でしょう。日頃の会話やケアを通して話しやすい雰囲気を作ったり、自ら伝えることが苦手な利用者に対しては、積極的に声掛けを行ったりする工夫も必要です。
観察力
身体介護では、観察力も必要といえます。
身体介護に含まれる見守り的援助では、事故が起こらないよう、常時介助ができる体制で利用者を見守ることが大切です。そのため、身体介護を行う介護職員には、高い観察力やあらゆる可能性を想定して動くことが求められます。
観察力をもっていると、利用者が求めていることにいち早く気付き、より適切なケアや声掛けにつなげられるでしょう。
体力
身体介護を行ううえで欠かせない力の一つが体力です。
身体介護では、入浴介助や体位変換、移乗の介助など、力が必要な介護ケアもあります。身体に力が入りにくい利用者の場合は特に、介護職員にかかる身体的な負担は大きくなるでしょう。そのため、身体介護を行う介護職員には十分な体力が必要といえます。
介護職員のなかには、足や腰に負荷がかかり痛めてしまう方もいるようです。身体介護を行う介護職員は特に、日頃からストレッチや体力づくりを行ったり、負荷がかかりにくい身体の使い方やコツを先輩職員から聞いたりすると良いでしょう。
身体介護の仕事を通して得られるやりがい
身体介護の仕事を通して得られるやりがいには、以下のようなものが挙げられます。
- 利用者一人ひとりに合ったサービスを提供できる
- 利用者の笑顔が直接見られる
- 利用者と喜びや達成感を共有できる
身体介護では、利用者によってサービスの内容が異なるだけでなく、利用者のその日の体調や状況に応じて、ケアのやり方や内容を変えることもあります。その場で状況を判断する難しさはあるものの、利用者に合ったサービスを考え実施することで、自らの成長を感じやすく、やりがいにもつながるでしょう。
また、自立生活支援においては、職員の介助なく、利用者自身で何かをやり遂げる姿が見られることもあります。喜びや達成感を利用者と共有できた際には、介護職員としてのやりがいを感じられるでしょう。身体介護では、利用者の笑顔が直接見られることも、やりがいやモチベーションアップにつながるきっかけの一つといえます。
身体介護は利用者の身体に触れて行う介護のこと
- 身体介護の代表的なサービスには、食事・入浴・排泄介助などが挙げられる
- 身体介護には、利用者の身体に触れる介護を行うための準備や後片付けも含まれる
- 身体介護は、在宅での介護と施設での介護の両方で行われる
- 身体介護では、コミュニケーション力や観察力などが必要
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