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介護職員基礎研修とは?廃止の理由や現在の研修を紹介

「現在の介護職員基礎研修の扱われ方がよく分からない」という方もいるでしょう。介護職員基礎研修は廃止後、介護福祉士実務者研修に一本化されています。この記事では、ほかの研修との違いや現在の介護職員基礎研修の扱われ方について紹介します。介護職員におすすめの研修・資格についても解説するので、ぜひ参考にしてください。

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介護職員基礎研修とは

厚生労働省老健局「介護職員基礎研修について【第2版】」によると、介護職員基礎研修とは、在宅、施設を問わず、介護サービスに従事する職員の専門性を高めることを目的として2006年度に創設された研修です。

しかし、厚生労働省「訪問介護員養成研修及び介護職員基礎研修の終了に伴う留意点」によると、介護職員基礎研修は2013年3月31日をもって廃止され、介護職員基礎研修に関するすべての講座も終了となりました。

なお、厚生労働省「今後の介護人材養成の在り方について(概要)」によると、2013年4月以降、介護職員基礎研修は「介護福祉士実務者研修」に一本化されています。介護福祉士実務者研修についての詳細は、後述します。

参考:厚生労働省老健局「介護職員基礎研修について【第2版】」
厚生労働省「訪問介護員養成研修及び介護職員基礎研修の終了に伴う留意点」
厚生労働省「今後の介護人材養成の在り方について(概要)」

介護職員基礎研修が廃止された理由

厚生労働省「今後の介護人材養成の在り方について(報告書)~介護分野の現状に即した介護福祉士の養成の在り方と介護人材の今後のキャリアパス~」によると、介護職員基礎研修が廃止された理由の一つには、介護人材の養成体系が複雑化していたことが挙げられます。

2012年度までの介護業界では、介護職員基礎研修をはじめとする複数の研修・資格制度がありました。しかし、それぞれの研修・資格が連動した関係になっておらず、介護人材のキャリアパスは複雑なものであったようです。そこで、キャリアパスを簡素化するため、介護人材の養成体系が整備された際に、介護職員基礎研修は廃止されました。

参考:厚生労働省「今後の介護人材養成の在り方について(報告書)~介護分野の現状に即した介護福祉士の養成の在り方と介護人材の今後のキャリアパス~」

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介護職員基礎研修と介護職員初任者研修の違い

介護人材の養成体系の整備に伴い、初任者向けに創設された研修制度に「介護職員初任者研修」があります。
厚生労働省「今後の介護人材養成の在り方について(概要)」によると、介護職員初任者研修とは、介護職として働くうえで基本となる知識や技術を習得することを目的とした研修です。

2013年度以降の介護職のキャリアパスは、「初任者研修修了者→介護福祉士→認定介護福祉士」が基本となっています。
介護職員基礎研修が一本化された「介護福祉士実務者研修」は、初任者研修修了者が介護福祉士になる過程で必要な知識を習得するための研修です。つまり、介護職員基礎研修は、介護職員初任者研修の上級の研修にあたります。

参考:厚生労働省「今後の介護人材養成の在り方について(概要)」

介護職員基礎研修とホームヘルパー2級の違い

厚生労働省「今後の介護人材養成の在り方について(報告書)~介護分野の現状に即した介護福祉士の養成の在り方と介護人材の今後のキャリアパス~」によると、ホームヘルパー研修(訪問介護員養成研修)とは、介護職員基礎研修と同様に、介護職の養成体系の整備に伴い廃止された研修制度の一つです。

介護職員基礎研修とホームヘルパー2級は、研修の内容やレベル、受講時間などが異なります。
制度廃止後、ホームヘルパー2級は「介護職員初任者研修」に、ホームヘルパー1級と介護職員基礎研修は「介護福祉士実務者研修」に一本化されました。よって、介護職員基礎研修は、ホームヘルパー2級より上位にあたる研修といえます。

また、これらの研修は、教育内容の範囲や研修時間も異なります。
ホームヘルパー2級は、在宅での介護ケアに関する知識・技術の習得が主である一方、介護職員基礎研修は、在宅・施設を問わず介護業務全般の知識・技術の習得が目的です。介護職員基礎研修がより広い範囲の知識の習得を目的としていることから、研修修了にかかる時間も、ホームヘルパー2級より介護職員基礎研修のほうが長くなっています。

具体的には、厚生労働省「訪問介護員養成研修2級課程(130時間)と介護職員基礎研修(500時間)のカリキュラム比較」によると、ホームヘルパー2級課程の研修時間は130時間であるのに対し、介護職員基礎研修では500時間の研修受講が必要です。

参考:厚生労働省「今後の介護人材養成の在り方について(報告書)~介護分野の現状に即した介護福祉士の養成の在り方と介護人材の今後のキャリアパス~」
厚生労働省「訪問介護員養成研修2級課程(130時間)と介護職員基礎研修(500時間)のカリキュラム比較」

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介護職員基礎研修の修了者ができること

前述のとおり、介護職員基礎研修は廃止されていますが、すでに研修を修了している方は引き続き、キャリアアップの過程で活用が可能です。ここでは、介護職員基礎研修の修了者ができることを2つ紹介します。

訪問介護員やサービス提供責任者として働ける

介護職員基礎研修の修了者は、訪問介護員(ホームヘルパー)やサービス提供責任者として働けるのが特徴です。
厚生労働省「介護員養成研修の取扱細則について(介護職員初任者研修・生活援助従事者研修関係)」によると、介護職員基礎研修を修了している方は、介護職員初任者研修の修了要件を満たしているものとして扱われます。

介護職員基礎研修の修了者は、job tag(厚生労働省 職業情報提供サイト)「訪問介護員/ホームヘルパー」のとおり、訪問介護員になるための「介護職員初任者研修課程の修了」の要件を満たしているため、訪問介護員として従事が可能です。

また、厚生労働省「訪問介護におけるサービス提供責任者について」によると、介護職員基礎研修の修了者は、サービス提供責任者の要件にも含まれています。
サービス提供責任者の主な業務は、訪問介護計画の作成や居宅介護支援事業者との連携、訪問介護員に対する研修・技術指導などです。

介護職員基礎研修を修了していると、訪問介護員としての介護ケアやサービス提供責任者としての施設の管理など、活躍できる場が広がるでしょう。

参考:厚生労働省「介護員養成研修の取扱細則について(介護職員初任者研修・生活援助従事者研修関係)」
job tag(厚生労働省 職業情報提供サイト)「訪問介護員/ホームヘルパー」
厚生労働省「訪問介護におけるサービス提供責任者について」

介護福祉士実務者研修の一部が免除される

介護職員基礎研修の修了者は、介護福祉士実務者研修の一部受講が免除されるのも特徴です。

厚生労働省「介護福祉士の資格取得方法の見直しの延期について」によると、介護職員基礎研修を修了している場合、介護福祉士実務者研修の「医療的ケア」分野以外の履修が免除されます。計400時間以上かかる受講が免除となるため、介護職員基礎研修の修了者であれば、より短い時間で介護福祉士実務者研修の修了が可能です。

医療的ケアの分野では、50時間以上の基本研修と演習・実地研修を通して、喀痰吸引や経管栄養などに関する知識・技術が身に付けられます。

参考:厚生労働省「介護福祉士の資格取得方法の見直しの延期について」

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介護職員におすすめの研修や資格

介護職員のキャリアパスを踏まえ、介護職員におすすめの研修・資格を3つ紹介します。すでに介護職員基礎研修を修了している方は、「介護福祉士実務者研修」や「介護福祉士」をご覧ください。

介護職員初任者研修

介護職の基本的な知識や技術を身に付けるには、介護職員初任者研修の受講がおすすめです。
前述のとおり、介護職員初任者研修は、介護職への入職段階に適した研修となっています。
厚生労働省「介護員養成研修の取扱細則について(介護職員初任者研修・生活援助従事者研修関係)」によると、介護職員初任者研修は、在宅・施設を問わず介護の業務に従事する方が主な対象です。

介護職員初任者研修の概要は以下のとおりです。

研修科目
研修時間数
職務の理解 6時間
介護における尊厳の保持・自立支援 9時間
介護の基本 6時間
介護・福祉サービスの理解と医療との連携 9時間
介護におけるコミュニケーション技術 6時間
老化の理解 6時間
認知症の理解 6時間
障害の理解 3時間
こころとからだのしくみと生活支援技術 75時間
振り返り 4時間
合計
130時間

参考:厚生労働省「介護員養成研修の取扱細則について(介護職員初任者研修・生活援助従事者研修関係)」

介護職員初任者研修は、講義と演習が一体的に行われます。状況に応じて、施設の見学などの実習が行われることもあるようです。上記の130時間の研修後、1時間程度の筆記試験による修了評価が実施され、一定の水準を超えた場合、修了認定が得られます。

参考:厚生労働省「介護員養成研修の取扱細則について(介護職員初任者研修・生活援助従事者研修関係)」

介護福祉士実務者研修

介護職員として一定の実務経験を経て、より幅広い知識や技術を身に付けたい方におすすめの研修は「介護福祉士実務者研修」です。

厚生労働省「介護福祉士の資格取得方法の見直しの延期について」によると、介護福祉士実務者研修は、介護福祉士養成施設での2年以上の養成課程と同等の水準の研修となっています。

同資料によると、介護福祉士実務者研修の研修内容は以下のとおりです。

研修科目
研修時間数
人間の尊厳と自立 5時間
社会の理解I 5時間
社会の理解II 30時間
介護の基本I 10時間
介護の基本II 20時間
コミュニケーション技術 20時間
生活支援技術I 20時間
生活支援技術II 30時間
介護過程I 20時間
介護過程II 25時間
介護過程III(スクーリング) 45時間
発達と老化の理解I 10時間
発達と老化の理解II 20時間
認知症の理解I 10時間
認知症の理解II 20時間
障害の理解I 10時間
障害の理解II 20時間
こころとからだのしくみI 20時間
こころとからだのしくみII 60時間
医療的ケア 50時間(※演習を除く)
合計
450時間

参考:厚生労働省「介護福祉士の資格取得方法の見直しの延期について」

介護福祉士実務者研修では、幅広い利用者に対する基本的な介護提供能力の習得が可能です。

なお、後述する介護福祉士資格の取得方法には、介護福祉士実務者研修を活かしたルートもあります。介護福祉士を目指している方は、介護福祉士実務者研修の修了をキャリアプランに組み込むのも良いでしょう。

参考:厚生労働省「介護福祉士の資格取得方法の見直しの延期について」

介護福祉士

介護福祉士実務者研修の修了者は、次のステップとして「介護福祉士」の資格取得を目指すと良いでしょう。

介護福祉士は国家資格であるため、資格取得には国家試験への合格が必要です。
厚生労働省「ページ5:介護福祉士の資格取得方法」によると、介護福祉士になるためのルートの一つに、実務経験ルートがあります。
実務経験ルートでは、介護福祉士実務者研修の修了と3年以上の実務経験が必須条件です。もしくは、実務経験が3年以上あり、介護職員基礎研修と喀痰吸引等研修の両方を修了している場合も、介護福祉士国家試験の受験資格を得られます。

介護福祉士になると、介護の現場だけでなく、介護職員の指導や育成などマネジメント分野での活躍も見込めます。介護職員として働く際は、介護福祉士資格の取得を一つの大きな目標として、キャリアプランを立てるのも良いでしょう。

参考:厚生労働省「ページ5:介護福祉士の資格取得方法」

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介護職員基礎研修は実務者研修に一本化されている

  • 介護職員基礎研修は、在宅・施設を問わず介護全般の基本的知識の習得が目的
  • 介護職員基礎研修は、2012年度末に廃止になった
  • 介護職員基礎研修は、介護職員初任者研修の上位の研修にあたる
  • 介護職員基礎研修の修了者は、介護福祉士実務者研修の受講が一部免除される

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