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高齢者虐待はなぜ起こる?原因や事例、防止法について紹介

「高齢者虐待はなぜ起こるの?」と疑問に思う人もいるでしょう。高齢者虐待は介護技術・知識不足や介護職員のストレス、同居者の介護疲れなどが原因で引き起こされます。この記事では、高齢者虐待が起きる原因や事例、見かけた際や疑われる際の通報の流れを紹介しています。高齢者虐待防止法の詳細や、虐待を防ぐにはどうすれば良いのかにも触れていますので、ぜひ参考にしてください。

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高齢者虐待とは

高齢者虐待とは、高齢者に対する身体的・心理的虐待、介護や世話の放棄・放任などの行為のことです。厚生労働省「I 高齢者虐待防止の基本」による広義では、高齢者が他者からの不適当な扱いにより権利利益を侵害される状態や、生命・健康・生活が損なわれるような状態に置かれることとされています。

高齢者を取り巻く環境の中で、高齢者虐待が社会的な問題となっている背景を受け、2006年から「高齢者に対する虐待の防止、高齢者の擁護者に対する支援等に関する法律」、通称「高齢者虐待防止法」が施行されました。

厚生労働省「I 高齢者虐待防止の基本」によると、高齢者虐待防止法では、高齢者は65歳以上の人と定義されています。また、高齢者虐待を家族・親族・同居人などの養護者によるものと、養介護施設従事者によるものに分けて定義しているのが特徴です。

参考:厚生労働省「I 高齢者虐待防止の基本」

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高齢者虐待の種類と事例

実際にどのような事例が高齢者虐待に当てはまるのでしょうか。厚生労働省「I 高齢者虐待防止の基本」、北海道高齢者虐待防止・相談支援センター「高齢者虐待とは?」をもとに、高齢者虐待の種類と事例をまとめたものが以下のとおりです。

種類
内容
具体例
身体的虐待 暴力的行為などで身体にあざ・痛みを与える行為や、外部との接触を意図的・継続的に遮断する行為 - 平手打ちをする・殴る・蹴る
- 無理矢理食事を口に入れる・やけどさせる
- ベッドに縛り付けたり、意図的に薬を過剰服用させたりして、身体拘束・抑制をする
心理的虐待 脅しや侮辱などの言語や威圧的な態度・無視・嫌がらせなどによって、精神的・情緒的苦痛を与えること - 排泄の失敗を嘲笑したり、それを人前で話したりするなどにより高齢者に恥をかかせる
- 怒鳴る・ののしる・悪口を言う
- 侮辱を込めて子どものように扱う
- 高齢者が話しかけているのを意図的に無視する
性的虐待 本人との間で合意が形成されていない、あらゆる形態の性的な行為またはその強要 - 排泄の失敗に対して懲罰的に下半身を裸にして放置する
- わいせつな行為をしたり、強要したりする
経済的虐待 本人の合意なしに財産や金銭を使用し、本人の希望する金銭の使用を理由なく制限すること - 日常生活に必要な金銭を渡さない・使わせない
- 本人の自宅などを本人に無断で売却する
- 年金や預貯金を本人の意思・利益に反して使用する
介護・世話の放棄・放任 意図的・結果的であるかを問わず、介護や生活の世話を行っている家族が、その提供を放棄・放任し、高齢者の生活環境や高齢者自身の身体・精神的状態を悪化させていること - 入浴しておらず異臭がする、髪が伸び放題だったり皮膚が汚れていたりする
- 水分や食事を十分に与えられていないことで、脱水状態や栄養失調の状態にある
- 高齢者本人が必要とする介護・医療サービスを、相応の理由なく制限する・使わせない

参考:厚生労働省「I 高齢者虐待防止の基本」
北海道高齢者虐待防止・相談支援センター「高齢者虐待とは?」

高齢者虐待は、身体的・精神的虐待だけでなく、経済的な虐待やネグレクトも含まれます。
厚生労働省「令和5年度『高齢者虐待の防止、高齢者の擁護者に対する支援等に関する法律』に基づく対応状況等に関する調査結果を公表します」によると、2023年度において擁護者による高齢者虐待と判断された件数は1万7100件、養介護施設従事者による高齢者虐待と判断された件数は1123件でした。どちらの場合も、虐待の種別は身体的虐待が最も多く、次いで心理的虐待、介護等放棄、経済的虐待、性的虐待の順となっています。

参考:厚生労働省「I 高齢者虐待防止の基本」
北海道高齢者虐待防止・相談支援センター「高齢者虐待とは?」
厚生労働省「令和5年度『高齢者虐待の防止、高齢者の擁護者に対する支援等に関する法律』に基づく対応状況等に関する調査結果を公表します」

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高齢者虐待はなぜ起きる?主な原因

厚生労働省「令和5年度『高齢者虐待の防止、高齢者の擁護者に対する支援等に関する法律』に基づく対応状況等に関する調査結果を公表します」によると、養護者による虐待の発生要因は、高齢者の状態としては「認知症の症状」が最も多い結果でした。虐待者側の要因としては、「介護疲れ・介護ストレス」が最も多く、次いで「理解力の不足や低下」が多くなっています。

また、同資料によると、養介護施設従事者による虐待の発生要因は、「職員の虐待や権利擁護、身体拘束に関する知識・意識の低下」が最も多く、次いで「職員のストレス・感情コントロール」、「職員の倫理観・理念の欠如」の順となりました。

このことからも分かるように、養護者と養介護施設従事者に共通している高齢者虐待の原因は、「ストレス」と「高齢者・認知症に対する知識不足」となっています。
介護に携わる人は行わなければならないことが多いうえ、高齢者から目が離せません。そのうえ、養護者や養介護施設従事者にとって、介護は毎日のことになるため、気を張った状態や忙しさに疲れてしまい、ストレスから高齢者虐待に及ぶケースが考えられます。

また、認知症の症状や、高齢者の権利擁護、身体拘束に関する知識があれば、防げたかもしれない虐待があることも調査結果から分かります。

参考:厚生労働省「令和5年度『高齢者虐待の防止、高齢者の擁護者に対する支援等に関する法律』に基づく対応状況等に関する調査結果を公表します」

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高齢者虐待防止法とは

前述のとおり、「高齢者に対する虐待の防止、高齢者の擁護者に対する支援等に関する法律」、通称「高齢者虐待防止法」は、高齢者虐待を防止し、高齢者の安全や権利、利益を守るために施行された法律です。

厚生労働省「I 高齢者虐待防止の基本」によると、高齢者虐待防止法では、高齢者虐待にあたる行為を定義しています。また、高齢者虐待が行われているのを目にしたときに自治体の相談窓口に通報することや、国や自治体、保健・医療・福祉関係者は、高齢者虐待の防止や早期発見につとめることなどが定められている法律です。

参考:厚生労働省「I 高齢者虐待防止の基本」

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高齢者虐待の通報の流れ

前述のとおり、虐待を受けていると思われる高齢者を発見したら、発見者は自治体の窓口に通報しなければなりません。虐待を受けている高齢者本人が通報することも可能です。通報先は、市区町村の高齢者虐待対応所管課や地域包括支援センターになります。

厚生労働省「I 高齢者虐待防止の基本」によると、養護者による虐待の場合は、市区町村が自宅訪問などにより虐待についての情報収集を行い、虐待の有無や緊急性を判断します。その後は、状況に応じて被虐待者の居室確保・保護など、ケースごとに対応するのが通常の流れです。

養介護施設従事者による虐待の場合は、市区町村が老人福祉法・介護保険法の規定に基づく権限を行使し、事実調査に介入します。その後、虐待の有無や緊急性を判断し、個別に対応する部分は養護者による高齢者虐待の場合と同様です。また、都道府県も監督権限を適切に行使して対応するとともに、施設従事者による虐待発生件数や対応措置などを毎年度公表しています。

参考:厚生労働省「I 高齢者虐待防止の基本」

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高齢者虐待を防ぐには

介護に携わる人の高齢者虐待を防ぐには、どうすれば良いのでしょうか。

養護者は介護についての知識がなかったり、介護の悩みを共有できる相談相手がいなかったりし、不安や孤独を感じながら介護を行っていることも。そのため、市区町村や医療・介護サービス事業者が、包括的に養護者や高齢者を支えるシステムづくりが必要です。

高齢者の介護サービス利用時に、介護職員は利用者の体にあざがないか、食事量は減っていないかなどを確認することで、虐待の徴候に気づけるでしょう。地域包括支援センターは養護者からの相談に対応することで、養護者の介護疲れやストレスの解消の一助を担うだけでなく、必要に応じて適切な対応を行えます。

養介護施設従事者の場合は、虐待の発生要因として「職員の虐待や権利擁護、身体拘束に関する知識・意識の低下」が最も多くなっているため、養介護施設では、高齢者虐待に関する研修や教育を行うことが大切です。職員の感情コントロールがうまくいかず、虐待に至る例も多くみられるため、アンガーマネジメントについて学ぶ機会を設けるのも良いでしょう。

また、介護施設は利用者と従事者のみの閉ざされた空間になりがちなため、虐待が起きても事実が明るみになりにくい傾向があります。そのため、地域住民との交流の機会を設けたり、地域支援事業の介護相談員派遣事業を活用したりと、開かれた施設づくりを行うことで、高齢者虐待の抑制につながるでしょう。

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高齢者虐待は介護疲れなどが原因で起こり防止策が大切

  • 高齢者虐待には身体的・精神的虐待だけでなく、経済的虐待や世話の放棄も含まれる
  • 高齢者虐待の通報があれば、高齢者虐待防止法に基づき市区町村や都道府県が対応する
  • 高齢者虐待を防止するには養護者の孤立を防ぐ取り組みや施設職員への教育が必要

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