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医療行為とは?看護師ができる範囲や注意点を紹介

5 days ago

「医療行為とは何かよく分からない」という方もいるでしょう。医療行為とは、法律上における「医行為」を指す言葉で、医師のみができる「絶対的医行為」と看護師もできる「相対的医行為」に分かれます。この記事では、看護師ができる医療行為の範囲や行うときの注意点について紹介します。特定看護師ができる特定行為についても解説するので、ぜひ参考にしてください。

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医療行為とは

厚生労働省「医師法第17条、歯科医師法第17条及び保健師助産師看護師法第31条の解釈について(通知)」によると、医療行為とは、医師の医学的判断や技術をもって行わなければ人体に危害を及ぼす、または危害を及ぼすおそれのある行為のことです。法律上では、「医行為」と表現されています。
医療行為を反復継続する意思をもって行うことは「医業」と呼ばれ、医業を行うには医師や歯科医師、看護師などの免許が必須です。これらの免許を保有していない人が医業を行うことは、法律によって禁止されています。

特許庁「医療関連行為発明の特許法における取扱いの在り方」によると、医療行為は、医師が行う「絶対的医行為」と、医師の指示の下であれば看護師もできる「相対的医行為」に分けられます。

絶対的医行為とは、高度で危険な行為であるため、医師が常に行わなければならない行為のことです。一方、相対的医行為とは、医師の指示・指導の下で看護師が行える、「診療の補助」にあたる行為を指します。

厚生労働省医政局「医行為範囲の明確化等について(ご要望関係事項)」によると、自身の判断により医療行為を実施できるのは、医師に限定されています。
また、ある行為が医行為であるか否かについては、医師による個別の判断が必要です。そのため、介護の現場などで判断に疑義が生じることの多い行為については、随時検討・整理されています。

参考:厚生労働省「医師法第17条、歯科医師法第17条及び保健師助産師看護師法第31条の解釈について(通知)」
特許庁「医療関連行為発明の特許法における取扱いの在り方」
厚生労働省医政局「医行為範囲の明確化等について(ご要望関係事項)」

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看護師ができる医療行為の範囲

看護師ができる医療行為には、以下のようなものがあります。

  • 静脈注射
  • 点滴
  • 採血
  • 摘便
  • 血糖測定
  • 褥瘡の処置

上記は「診療の補助」として、医師の指示の下、看護師が行うことが多い行為です。
厚生労働省「看護師が行う診療の補助について」によると、薬剤の投与量の調節や、救急医療における診療の優先順位の決定なども、医師の指示の下で行える行為に含まれると整理されています。ただし、医師の判断や患者の状況によっては、医師が行う場合もあるでしょう。

医療行為に該当しない行為

厚生労働省「医師法第17条、歯科医師法第17条及び保健師助産師看護師法第31条の解釈について(通知)」、厚生労働省「医師法第17条、歯科医師法第17条及び保健師助産師看護師法第31条の解釈について(その2)〔保健師助産師看護師法〕」によると、医療行為に該当しない行為には以下のようなものが含まれます。

  • 体温計による体温の計測
  • 自動血圧測定器による血圧の測定
  • 軽微な切り傷や擦り傷、やけどなどの処置(専門的な判断や技術を必要としない場合に限る)
  • 爪切り(爪に異常がない場合に限る)
  • 口腔内の清拭(重度の歯周病などがない場合に限る)
  • 耳垢の除去
  • インスリンの投与の準備・片付け
  • 経管栄養の準備・片付け
  • 入れ歯の着脱・洗浄

上記は、介護の現場で実施されることも多い行為です。これらは、原則として医行為には該当しないため、介護現場では介護職員が行う機会も多いと考えられます。ただし、利用者の状態によっては、医師や看護師による処置が必要となる場合もあるため、注意が必要です。
介護の現場で働く看護師や介護職員は、どういった場合の処置が医療行為に該当するのか、事前に把握しておくと良いでしょう。

参考:厚生労働省「看護師が行う診療の補助について」
厚生労働省「医師法第17条、歯科医師法第17条及び保健師助産師看護師法第31条の解釈について(通知)」
厚生労働省「医師法第17条、歯科医師法第17条及び保健師助産師看護師法第31条の解釈について(その2)〔保健師助産師看護師法〕」

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特定看護師ができる特定行為とは

厚生労働省「特定行為とは」によると、特定行為とは、診療の補助にあたる、高度で専門的な知識や技能が必要な21区分38種の行為のことです。

厚生労働省「特定行為区分とは」によると、特定行為の21区分は、以下のとおりです。

  • 呼吸器(気道確保に係るもの)関連
  • 呼吸器(人工呼吸療法に係るもの)関連
  • 呼吸器(長期呼吸療法に係るもの)関連
  • 循環器関連
  • 心嚢ドレーン管理関連
  • 胸腔ドレーン管理関連
  • 腹腔ドレーン管理関連
  • ろう孔管理関連
  • 栄養に係るカテーテル管理(中心静脈カテーテル管理)関連
  • 栄養に係るカテーテル管理(末梢留置型中心静脈注射用カテーテル管理)関連
  • 創傷管理関連
  • 創部ドレーン管理関連
  • 動脈血液ガス分析関連
  • 透析管理関連
  • 栄養および水分管理に係る薬剤投与関連
  • 感染に係る薬剤投与関連
  • 血糖コントロールに係る薬剤投与関連
  • 術後疼痛管理関連
  • 循環動態に係る薬剤投与関連
  • 精神および神経症状に係る薬剤投与関連
  • 皮膚損傷に係る薬剤投与関連

看護師が、特定行為を医師の手順書に基づき行うためには、各区分に関する研修を受講し、専門的な知識を習得することが必要です。
前述のとおり、特定行為は診療の補助にあたるため、医師の指示の下であれば、研修が修了していない区分の特定行為についても看護師自身が行えます。

特定看護師とは

「特定看護師」とは、医師があらかじめ作成した手順書に基づいて特定行為を行える看護師のことです。特定看護師として従事するためには、「特定行為研修」を修了する必要があります。

通常、看護師が特定行為を行うときは、前述のとおり、逐一医師の指示を受けて行う必要があります。ただし、医師があらかじめ手順書を作成した場合に限り、特定看護師であれば医師の指示を受けなくても、手順書の範囲内で特定行為の施行が可能です。特定看護師がいることで、医師は看護師に逐一指示を出す必要がなくなるため、業務負担の軽減につながり、患者にとっても処置が必要なときに速やかに処置を受けられるというメリットがあります。

厚生労働省「特定行為研修とは」によると、特定行為研修とは、特定行為に関する知識を身に付けるための研修です。特定行為研修は、共通科目と区分別科目から構成され、講義・演習・実習によって研修が行われます。共通科目では、すべての特定行為区分に共通して必要な能力を、区分別科目では、特定行為区分ごとに必要な能力を身に付けることが目的です。

特定行為研修は、特定行為区分ごとの受講が原則ですが、実施頻度が高い特定行為をまとめた「領域別パッケージ研修」の受講も可能です。この「領域」とは、特定行為区分や特定行為をまとめて研修した方が現場での活用に資すると考えられるまとまりのことで、2020年10月時点で在宅・慢性期領域、救急領域などの6領域があります。たとえば、救急領域では「直接動脈穿刺法による採血」や「脱水症状に対する補液による補正」、「抗けいれん薬の臨時の投与」など、救急の現場で活用できる特定行為についてまとめて研修できる仕組みです。

前述のとおり、特定看護師は研修を終えると、修了した特定行為区分に対する特定行為のみが、医師が作成した手順書により行えるようになります。

参考:厚生労働省「特定行為とは」
厚生労働省「特定行為区分とは」
厚生労働省「特定行為研修とは」

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看護師が医療行為を行うときの注意点

看護師が医療行為を行うときの注意点には、以下のようなものが挙げられます。

  • 医師の指示や手順書に基づき、看護師が実施できる内容か確認する
  • 患者の容体を確認し、看護師が行って問題ないか確認する

厚生労働省「診療の補助・医師の指示について」によると、医師の指示は、対応可能な患者の範囲や病態の変化、
看護師への指示内容が明確にされている必要があります。また、対応可能な範囲を逸脱した場合の連絡・指示の体制が整えられていることも、医師の指示が成立する条件の一つです。

看護師が医療行為を行う際には、これらを満たした指示であるか、不明な部分はないかを確認し、指示が不完全である場合は確認しないまま自身の判断で行為を行わないことが大切だといえます。

また、医療行為に該当しない医療ケアを行う機会が多い介護現場では特に、利用者の容体を事前に確認しておくことも重要です。
原則として医療行為にあたらない行為であっても、患者の容体によっては、医療行為としての処置が必要となることもあります。特に介護現場においては、介護職員でもできる行為なのか、医師や看護師が行わなければならないケースがあるのか、事前に整理しておくと良いでしょう。

参考:厚生労働省「診療の補助・医師の指示について」

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看護師は医師の指示の下で一部の医療行為を行える

  • 医療行為は、医師が行わなければならない行為と看護師もできる行為に分けられる
  • 医療行為を自身の判断により実施できるのは、原則として医師に限定されている
  • 医療行為のうち、高度で専門的な知識や技能が必要な行為は「特定行為」と呼ばれる
  • 特定行為研修を修了した特定看護師は、医師の手順書に基づき特定行為ができる

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