職種・資格情報

管理薬剤師になるための要件は?仕事内容や必要なスキルを紹介

2 months ago

「管理薬剤師とは?」と疑問に思う人もいるでしょう。管理薬剤師は薬局や薬剤製造拠点の責任者の薬剤師で、医薬品の管理などを行っています。この記事では、管理薬剤師の仕事内容やなるための要件、求められるスキルを紹介しています。薬剤師・薬局長との違いや管理薬剤師になるメリット・デメリットにも触れていますので、ぜひ参考にしてください。

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管理薬剤師とは

管理薬剤師とは、e-Gov法令検索「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」などにより設置が義務付けられている、薬局の店舗責任者の薬剤師のことです。医薬品製造業では、拠点責任者として管理薬剤師が配置されます。管理薬剤師は一般的な薬剤師の業務に加え、各店舗や拠点の管理業務を任されている職種です。

厚生労働省「管理薬剤師等の責務の内容について」によると、薬局の管理者はその薬局を実地に管理させなければならないと薬事法で定められており、原則として兼業や副業はできず、1つの施設で働くことが求められます。勤務時間に規定はありませんが、1日あたり8時間の勤務が目安とされるようです。

管理薬剤師と薬剤師の違い

管理薬剤師と薬剤師の大きな違いは、仕事内容にあります。管理薬剤師は、薬剤師の仕事内容である調剤や服薬指導、購入者への情報提供なども行いますが、逆に薬剤師は管理薬剤師だけが行える管理業務などは行えません。

また、管理薬剤師になるには、薬剤師免許以外にいくつか条件があります。その分、給与も管理薬剤師の方が高い傾向にあるようです。管理薬剤師の仕事内容や給与については、後述します。

管理薬剤師と薬局長の違い

管理薬剤師と薬局長は、多くは同じ役職を指していることが多いでしょう。
前述のとおり、管理薬剤師は薬局の店舗責任者の薬剤師を指します。薬局長も薬局で一番上の役職の人、つまり店舗責任者を指すことがほとんどです。
そのため、薬局の店舗責任者は法令やガイドラインでは「管理薬剤師」となっていますが、店舗によっては管理薬剤師が薬局長と呼ばれている場合もあり、ほとんどの場合で大きな違いはありません。

参考:e-Gov法令検索「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」
厚生労働省「管理薬剤師等の責務の内容について」

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管理薬剤師の仕事内容

管理薬剤師の仕事内容は、どのようなものなのでしょうか。厚生労働省「管理薬剤師等の責務の内容について」を参考に、ここでは主に薬局の管理薬剤師の仕事内容について紹介します。

従業員の監督

管理薬剤師は、管理薬剤師以外の薬剤師や、薬剤師以外の従業員の業務を監督します。薬剤師や従業員が適切な接客や情報提供を行えているか、法令を遵守して業務を遂行しているかなどを監督し、必要に応じて指導や教育を行うのが、管理薬剤師の役目です。
薬剤師以外の従業員が、薬学の専門的な知識が必要な事例にあたった場合は、監督している管理薬剤師が対応します。

医薬品等の管理

管理薬剤師は、医薬品や医薬部外品、化粧品などを区別して適正な管理、陳列を行うことが任されています。
また、遮光や冷所管理など個々の医薬品にあった適正な保管を行うことも管理薬剤師の仕事です。不良品や有効期限切れ・表示不備品などの不正表示品があった場合は発見次第、処分します。

副作用情報の収集、報告

医薬品に関する副作用の情報は日々更新されるため、必要な情報が常に入手・活用・提供できる体制を整備するのも、管理薬剤師の仕事です。管理薬剤師は、緊急安全性情報や医薬品の有効性・安全性情報を収集し、薬局内の薬剤師に共有します。

薬局に来た購入者から副作用の相談や報告があった場合は管理薬剤師が対応し、厚生労働省へ副作用情報の報告も行います。

情報提供業務

厚生労働省「管理薬剤師等の責務の内容について」によると、情報提供業務は管理薬剤師自ら行うか、ほかの薬剤師に行わせるものとされており、一般の薬剤師も行う内容であることが分かります。

管理薬剤師および薬剤師は、購入者の求めている医薬品が不適当ではないか判断し、服薬指導や情報提供を行うのが薬局での主な仕事です。購入者から医薬品副作用の苦情や相談がある場合は受け付け、アフターケアを実施します。
また、医師の処方せんがなくても購入できる一般用医薬品を購入しようとしている人の症状や訴えを聞き、一般用医薬品で対応できないと判断した場合は、医療機関への受診を勧めることもあるようです。

意見申出

厚生労働省「『薬局開設者及び医薬品の販売業者の法令遵守に関するガイドライン』について」によると、管理薬剤師は、設備に不備や問題があった場合、改善するよう薬局開設者に意見を書面で伝えなくてはなりません。
薬局の営業に際し保健衛生上支障が出ないよう、管理薬剤師は必要に応じて適切な報告を行うことが求められます。

参考:厚生労働省「管理薬剤師等の責務の内容について」
厚生労働省「『薬局開設者及び医薬品の販売業者の法令遵守に関するガイドライン』について」

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管理薬剤師になるための要件

以前は、管理薬剤師になるのに薬剤師免許以外の特別な資格は必要ありませんでした。しかし、2019年に薬機法が改正され、管理薬剤師にも資格や要件が求められるようになっています。

厚生労働省「『薬局開設者及び医薬品の販売業者の法令遵守に関するガイドライン』について」によると、管理者の選任義務を適切に果たすために、薬局における実務経験が少なくとも5年以上ある人が管理薬剤師になるよう推奨されています。また、公益社団法人薬剤師認定制度認証機構などの中立性かつ公共性のある団体の制度に基づいて認定された薬剤師であることも推奨されています。

公益社団法人薬剤師認定制度認証機構は認定薬剤師資格の認定を行っており、管理薬剤師になるには、薬剤師として5年以上の実務経験と認定薬剤師資格の取得が求められると考えて良いでしょう。

なお、この規定はガイドライン上のものであり、法的拘束力を持つ法律・法令ではありません。そのため、実務経験5年未満の薬剤師や、認定薬剤師の資格を持っていない薬剤師が、人数不足などでやむを得ず管理薬剤師になっているケースも中にはみられます。ただし、この推奨条件を満たさずに管理薬剤師になれるケースは少ないため、これから管理薬剤師を目指す人は、実務年数と資格要件を満たせるよう努めるのが良いでしょう。

参考:厚生労働省「『薬局開設者及び医薬品の販売業者の法令遵守に関するガイドライン』について」

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管理薬剤師の年収

ここまで、管理薬剤師の仕事内容や資格要件をみてきましたが、管理薬剤師の年収はどのくらいなのでしょうか。
厚生労働省 中央社会保険医療協議会「第24回医療経済実態調査(医療機関等調査)報告」によると、2022年度の管理薬剤師と薬剤師の年収は以下のとおりです。

職種 [1]平均給料年(度)額 [2]賞与 年収([1]+[2])
管理薬剤師 648万2871円 86万5854円 734万8725円
薬剤師 417万9122円 68万5165円 486万4287円

参考:厚生労働省 中央社会保険医療協議会「第24回医療経済実態調査(医療機関等調査)報告」

管理薬剤師の給与は、給料や賞与のみをみても薬剤師より高く、年収で比較すると約250万円もの差があることが分かります。年収を増やしたいという薬剤師は、管理薬剤師を目指すのもおすすめです。

参考:厚生労働省 中央社会保険医療協議会「第24回医療経済実態調査(医療機関等調査)報告」

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管理薬剤師になるメリット

管理薬剤師になることで得られるメリットは、以下のとおりです。

  • キャリアアップできる
  • 薬剤師と比べると給与アップが見込める
  • 転職時の需要が高い

管理薬剤師は一般の薬剤師よりも医薬品管理や法令などの幅広い知識が身に付く上、マネジメントや人材育成のスキルも得られます。そのため、管理薬剤師になることでキャリアアップにつながることは間違いないでしょう。

また、管理薬剤師になると、前述のとおり給与アップが見込める点もメリットです。その上、管理薬剤師を経験しているという経歴は、薬剤師として多くの知識や経験を積んでおり、管理者としての経験もあるという証明になります。管理薬剤師になれるもしくは管理薬剤師を経験している薬剤師は、一般の薬剤師に比べてそれほど多くないため、転職時の需要も高いでしょう。

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管理薬剤師になるデメリット

管理薬剤師になるにあたって、デメリットも存在します。主なデメリットは以下のとおりです。

  • 業務範囲が広くなり、仕事の責任が重くなる
  • 原則として副業・兼業ができなくなる

前述のとおり、管理薬剤師は一般の薬剤師の業務だけでなく、薬局の管理業務や厚労省への報告業務など、業務範囲が広くなるため、ほとんどの場合、薬剤師よりも業務が忙しくなります。管理薬剤師にしかできない医薬品の管理や届出などの業務は、適正な対応を怠ると法律違反となる場合もあり、仕事の責任もより重くなるでしょう。

また、薬剤師は系列店同士など複数の薬局で兼業している人もいます。しかし、前述のとおり、原則として管理薬剤師は1つの施設で従事することが薬事法により定められています。そのため、管理薬剤師になることで今まで行えていた副業・兼業ができなくなる場合もあるというデメリットもあります。

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管理薬剤師に求められる知識・スキル

ここまで、管理薬剤師の仕事内容やなるための方法などに触れてきました。では、実際に管理薬剤師として働く場合、どのような知識やスキルが求められるのでしょうか。

医薬品に関する豊富な知識

管理薬剤師は、経験の浅い薬剤師を指導する立場になるため、医薬品に関する知識は指導できるレベルである必要があります。

医薬品に関する情報は日々追加・更新されるため、管理薬剤師は常に最新の情報が手に入れられるようにしておき、知識をアップデートしてほかの薬剤師にも共有・周知していくことが求められるでしょう。医薬品に関して自ら新しい知識を学ぶのが好きな人は、管理薬剤師に向いているかもしれません。

マネジメントスキル

管理薬剤師は管理職であるため、マネジメントスキルが不可欠です。
管理薬剤師は、従業員に指示を出し、必要に応じて適切に指導や教育を行うマネジメントスキルが特に求められます。それだけでなく、医薬品の適切な管理や薬局の運営、施設の管理といった、あらゆる面でマネジメントを行う能力が必要です。

コミュニケーションスキル

管理薬剤師には、コミュニケーションスキルも求められます。
一般の薬剤師と同様に、患者(利用客)や薬局内のほかのスタッフとのコミュニケーションだけでなく、管理薬剤師は薬の卸業者や処方医、店舗のオーナーなど、より多くの人と関わる機会があるでしょう。どの立場の人とも円滑にコミュニケーションをとることで、適正な薬局運営につなげていくことが大切です。

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管理薬剤師とは薬局や薬剤製造拠点の責任者

  • 管理薬剤師は薬局の責任者として、従業員の監督や医薬品の管理を行う
  • 管理薬剤師になるには原則として5年以上の実務経験と認定薬剤師の資格が求められる
  • 管理薬剤師には医薬品に関する知識とマネジメントスキルが必要

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