豆知識

当直とは?宿直・夜勤との違いやルールを解説!

a month ago

「当直とは何かよく分からない」という方もいるでしょう。当直とは、夜間や休日など通常の勤務時間外に当番制で勤務し、緊急時の対応や定期巡回などを行うことです。この記事では、宿直・夜勤との違いや当直のルールについて紹介します。医療・介護・福祉業界における施設ごとの当直の仕事内容についても解説するので、ぜひ参考にしてください。

簡単60秒!あなたにピッタリの案件が届く 無料会員登録

当直とは

厚生労働省東京労働局「2022 医療機関における宿日直の許可基準について」によると、「当直」とは、所定時間外に通常業務と異なる業務を行う勤務形態のことです。一般的に「宿日直」を指す用語として使われています。当直勤務が発生する職場は、病院や社会福祉施設、建設現場などさまざまです。

厚生労働省「断続的な宿直又は日直勤務に従事する者の労働時間等に関する規定の適用除外許可申請について」によると、当直は、常態としてほとんど労働をする必要のない勤務のことを指します。よって、一般的な当直業務は、施設内の定期巡回や緊急の電話応対、非常時の対応に備えた待機などが挙げられるでしょう。

原則として、通常の勤務時間に行うような労働の継続は、当直業務とはみなされません。ただし、医療機関や社会福祉施設では、通常の勤務と同様の勤務形態が継続しておらず、軽度または短時間の業務であれば、当直業務の範囲内として従事が可能です。

当直と宿直・夜勤の違い

当直と意味が混同しやすい用語に「宿直」と「夜勤」があります。厚生労働省東京労働局「2022 医療機関における宿日直の許可基準について」によると、「宿直」とは、当直のうち夜間に行うもののことです。前述のとおり、当直は「宿日直(宿直と日直)」を指す用語であり、夜間に業務を行うものを限定して指す「宿直」とは意味が異なります。当直の種類として、「宿直」と「日直」があると考えると良いでしょう。

また、「夜勤」とは、深夜の時間帯を含む夜間に勤務することです。e-Gov法令検索「労働基準法第61条」によると、深夜にあたる時間帯は、原則午後10時から午前5時までと定められています。
夜勤の場合、夜間に通常業務と同様の業務を行うものであり、当直のような業務内容の制限はありません。

参考:厚生労働省東京労働局「2022 医療機関における宿日直の許可基準について」
厚生労働省「断続的な宿直又は日直勤務に従事する者の労働時間等に関する規定の適用除外許可申請について」
e-Gov法令検索「労働基準法」

簡単60秒!あなたにピッタリの案件が届く 無料会員登録

当直のルール

従業員が当直勤務を行ううえで、事業場にはいくつかのルールが課せられています。従業員が当直勤務を行うために必要な許可や当直手当、当直の上限回数のルールについてみていきましょう。

届出

厚生労働省「断続的な宿直又は日直勤務に従事する者の労働時間等に関する規定の適用除外許可申請について」によると、従業員が当直勤務を行うためには、事業場が宿日直に関する許可申請を行い、許可を受けなければなりません。
ただし、厚生労働省「医療機関の宿日直許可に関する FAQ」によると、医療法第16条にて、病院は医師を宿直させなければならないと定められていることから、医師に限り、当直勤務を行うこと自体に宿日直許可は不要となっています。

宿日直許可を受けるためには、事業場が「断続的な宿直又は日直勤務許可申請書」を作成し、労働基準監督署へ届け出ることが必要です。申請書には、1回の当直員数や当直手当の金額、就寝設備の詳細などを記載しなければなりません。申請書や書類の確認、労働基準監督官による実地調査を経て、許可相当と認められる場合には、労働基準監督署長から許可を受けられます。病院や診療所の場合、診療科や職種、時間帯など、宿日直の許可対象を限定することも可能です。

事業場が宿日直許可を受けることで、当直勤務においては、労働基準法で定める労働時間や休憩、休日に関する規定が適用されなくなります。つまり、勤務先が宿日直の許可を受けている場合、当直勤務の時間は原則、労働時間にカウントされません。

ただし、厚生労働省東京労働局「2022 医療機関における宿日直の許可基準について」のとおり、緊急対応として、通常の勤務時間に行っている業務を当直勤務中に行うと、その業務に従事した時間は時間外労働とみなされる仕組みです。その場合、労働時間の上限や休憩、休日に関する規定も適用されることになるため、事業場は当直者に対して、労働基準法に定められた割増賃金の支払いを行う必要があります。

手当

前述のとおり、当直勤務は労働基準法で定める規定が除外されるため、時間外労働や休日出勤としての賃金は発生しませんが、その代わりに1回の勤務ごとに「宿日直手当」が発生します。
厚生労働省「断続的な宿直又は日直勤務に従事する者の労働時間等に関する規定の適用除外許可申請について」によると、宿日直手当の最低額は、同事業場で当直を行う同種の労働者1人あたりの1日平均賃金の3分の1を下らないものである必要があると定められています。
宿日直手当の最低額の計算方法は、以下のとおりです。

  • (当直勤務総員数の1か月所定内賃金額合計)÷(1か月所定労働日数×当直勤務総員数×3)=宿日直手当の最低額

宿直と日直のどちらも行う事業場の場合、手当の最低金額は宿直と日直それぞれで計算し、手当金の金額が設定されます。

上限回数

厚生労働省「断続的な宿直又は日直勤務に従事する者の労働時間等に関する規定の適用除外許可申請について」によると、当直勤務を行える上限回数は原則として、宿直業務は週1回、日直業務は月1回までと定められています。

ただし、18歳以上で法律上当直を行えるすべての従業員が当直を行っても人数が不足しており、かつ勤務の労働密度が薄い場合は、週1回を超える宿直、月1回を超える日直が許可されることもあるようです。

睡眠施設の設置

厚生労働省「医療機関における宿日直許可~申請の前に~」によると、宿直を行う場合、宿直者が夜間に十分な睡眠をとれることが許可の条件となっています。そのため、事業場にはベッドや寝具など、睡眠が可能な設備の設置が必須です。

参考:厚生労働省「断続的な宿直又は日直勤務に従事する者の労働時間等に関する規定の適用除外許可申請について」
厚生労働省「医療機関の宿日直許可に関する FAQ」
厚生労働省東京労働局「2022 医療機関における宿日直の許可基準について」
厚生労働省「医療機関における宿日直許可~申請の前に~」

簡単60秒!あなたにピッタリの案件が届く 無料会員登録

施設ごとの当直の仕事内容

前述のとおり、当直勤務では、どのような職場や職種であっても、通常の勤務時間に行う業務には従事しないのが原則です。では、実際に当直勤務ではどのような業務に従事しているのでしょうか。病院・介護施設・社会福祉施設での当直勤務の業務内容を紹介します。

病院

病院で当直勤務を行うことのある職種の一例は、以下のとおりです。

  • 医師
  • 薬剤師
  • 手術室看護師
  • 臨床検査技師
  • 診療放射線技師
  • 医療事務

厚生労働省「断続的な宿直又は日直勤務に従事する者の労働時間等に関する規定の適用除外許可申請について」によると、医師の場合、入院患者または軽傷の外来患者に対する問診や診察、看護師への指示・確認などが当直での主な業務内容です。

夜間や休日に緊急の検査が必要になった場合は、臨床検査技師や診療放射線技師が検査を行うこともあります。ただし、通常業務で行うような検査を当直業務として行うことは認められていません。
厚生労働省東京労働局「2022 医療機関における宿日直の許可基準について」によると、臨床検査技師の場合、通常業務ではガス検査やエコー検査などを行いますが、当直業務で行える検査は、簡単な血液検査や尿検査などの簡易な検査に限定されています。

また、病棟看護師の当直業務の内容は、病室の定期巡回や入院患者の体調が変化した場合の医師への報告などです。ただし、病棟看護師の場合、24時間体制で看護ケアや療養上の世話を行う必要があるため、宿直ではなく夜勤形態で働くことが多いでしょう。医療事務は、救急受診した外来患者の支払いなどに対応するため、宿直で夜間待機している例が多いようです。

介護施設

介護施設では、主に介護士や看護師が当直勤務を行うことがあります。
介護施設での当直は、定期巡回や入所者の体調の急変に備えた待機のほか、軽度な介助業務が主な業務内容です。厚生労働省「断続的な宿直又は日直勤務に従事する者の労働時間等に関する規定の適用除外許可申請について」によると、当直勤務中に行える介助業務は、一勤務中に1~2回含まれていることを限度とし、1回の作業が10分程度の短時間で行えるものに限られます。

介護施設で行う軽度な介助業務とは、入所者の検温やおむつの取替えなどです。要介護者を抱きかかえるような身体に負担がかかる行為は、当直業務には含まれません。

社会福祉施設

社会福祉施設では、介護施設と同様に、一般的な当直業務のほかに、短時間かつ軽度の介助業務を行うことがあります。社会福祉施設は、施設の種類によって働いている職種が異なるため、当直勤務を行うことのある職種も、介護職員や看護職員、保育士などさまざまです。

厚生労働省「断続的な宿直又は日直勤務に従事する者の労働時間等に関する規定の適用除外許可申請について」によると、児童養護施設のように子どもがいる施設では、居室の巡回や夜尿起こしなどが主な当直業務となるでしょう。生活指導や着衣指導などは通常の勤務時間に行う業務にあたるため、当直業務に含まれません。
夜間にも通常どおりの業務を行う必要がある施設では、宿直ではなく夜勤として働く従業員がいることもあります。

参考:厚生労働省「断続的な宿直又は日直勤務に従事する者の労働時間等に関する規定の適用除外許可申請について」
厚生労働省東京労働局「2022 医療機関における宿日直の許可基準について」

簡単60秒!あなたにピッタリの案件が届く 無料会員登録

当直は勤務時間外に定期巡回や緊急時対応などを行う

  • 当直とは宿日直のことで、日直と宿直の勤務に分かれる
  • 当直では軽度または短時間の業務を行うこととされており、通常業務は原則行えない
  • 通常の当直は時間外労働として扱われないが、1回ごとに当直手当が支払われる

簡単60秒!あなたにピッタリの案件が届く 無料会員登録

おすすめ記事