職種・資格情報
こども家庭ソーシャルワーカーの仕事内容や資格取得方法を紹介
a month ago

「こども家庭ソーシャルワーカーとは何かよく分からない」という方もいるでしょう。こども家庭ソーシャルワーカーとは、こども家庭福祉に係る支援の専門性向上を目的として2024年度に創設された認定資格です。この記事では、こども家庭ソーシャルワーカーの仕事内容や資格取得方法について解説します。こども家庭ソーシャルワーカーに必要なスキルについても紹介するので、ぜひ参考にしてください。
こども家庭ソーシャルワーカーとは
一般財団法人日本ソーシャルワークセンター こども家庭ソーシャルワーカー認定資格特設サイト「こども家庭ソーシャルワーカー認定資格が創設されました」によると、こども家庭ソーシャルワーカーとは、こども家庭福祉の実務者の専門性向上を目的として創設された認定資格です。こども家庭ソーシャルワーカーは、認定機関である一般財団法人日本ソーシャルワークセンターによって、研修や試験、資格者登録などが実施されています。
こども家庭庁「児童福祉法等の一部を改正する法律(令和4年法律第66号)の概要」によると、こども家庭ソーシャルワーカーは、2024年4月に施行された児童福祉法の改正に伴い創設された資格です。
児童福祉法改正の背景には、児童虐待の相談対応件数の増加をはじめとして、子育てに課題をもつ世帯が顕在化してきている状況があります。この現状を踏まえ、子育て世帯に対する包括的な支援のための体制強化を目的とした対策の一つが、こども家庭ソーシャルワーカーの創設です。
こども家庭ソーシャルワーカーは、ソーシャルワークを専門的に学び、こども家庭福祉に係る支援の専門性を担保する役割を担っています。
参考:一般財団法人日本ソーシャルワークセンター こども家庭ソーシャルワーカー認定資格特設サイト「こども家庭ソーシャルワーカー認定資格が創設されました」
こども家庭庁「児童福祉法等の一部を改正する法律(令和4年法律第66号)の概要」(参照:2025年1月17日)
こども家庭ソーシャルワーカーの仕事内容
こども家庭ソーシャルワーカーの主な仕事内容は、福祉施設や教育機関などで、児童やその保護者からの相談に応じ、こども家庭福祉に係る支援を行うことです。児童虐待をはじめとする家庭での問題により、保護や支援が必要な子どもたちを守るだけでなく、家庭内の問題そのものを防ぐための支援も行われることが期待されています。
一般財団法人日本ソーシャルワークセンター こども家庭ソーシャルワーカー認定資格特設サイト「こども家庭ソーシャルワーカー(認定資格)について」によると、こども家庭ソーシャルワーカーに掲げられている3つの「専門性の柱」は以下のとおりです。
- こども家庭福祉を担うソーシャルワークの専門職としての姿勢を培い維持すること
- 子どもの発達と養育環境などの子どもを取り巻く環境を理解すること
- 子どもや家庭への支援の方法を理解・実践できること
また、こども家庭庁「児童福祉法等の一部を改正する法律(令和4年法律第66号)の概要」によると、こども家庭ソーシャルワーカーは、児童虐待を受けた児童の保護などについて、的確な措置を実施するのに十分な知識を有する者として規定されています。
このことからもわかるように、専門的な対応を要する事項に関する知識をもって、多くの子どもが自分らしい生活を送れるような支援を行うのが、こども家庭ソーシャルワーカーの仕事です。
参考:一般財団法人日本ソーシャルワークセンター こども家庭ソーシャルワーカー認定資格特設サイト「こども家庭ソーシャルワーカー(認定資格)について」
こども家庭庁「児童福祉法等の一部を改正する法律(令和4年法律第66号)の概要」(参照:2025年1月17日)
こども家庭ソーシャルワーカーの主な職場
一般財団法人日本ソーシャルワークセンター こども家庭ソーシャルワーカー認定資格特設サイト「こども家庭ソーシャルワーカー(認定資格)について」によると、こども家庭ソーシャルワーカーの主な職場は以下のとおりです。
- 児童相談所
- 市区町村のこども家庭センター
- 児童養護施設などの福祉施設
- 学校などの教育機関
- 保育園
こども家庭庁「児童福祉司の任用資格要件に関する『指定施設』の範囲の拡充等について」によると、こども家庭ソーシャルワーカーは、児童相談所の児童福祉司や市町村こども家庭センターの統括支援員、地域子育て相談機関の職員など、さまざまな職種の要件の一つに位置付けられています。よって、こども家庭ソーシャルワーカーは、子どもや家庭の側にある多くの場所で活躍することとなるでしょう。
参考:一般財団法人日本ソーシャルワークセンター こども家庭ソーシャルワーカー認定資格特設サイト「こども家庭ソーシャルワーカー(認定資格)について」
こども家庭庁「児童福祉司の任用資格要件に関する『指定施設』の範囲の拡充等について」(参照:2025年1月17日)
こども家庭ソーシャルワーカーの資格取得方法
一般財団法人日本ソーシャルワークセンター こども家庭ソーシャルワーカー認定資格特設サイト「資格取得までの流れ」によると、こども家庭ソーシャルワーカーの資格取得までの流れは、保有資格や実務経験の有無によって、第1号から第4号までの4つのルートに分けられています。
こども家庭ソーシャルワーカーになるには、いずれかのルートの条件を満たし、全ルート共通の指定研修を修了した後、資格認定試験へ合格することが必要です。
それぞれのルートの詳細について、一般財団法人日本ソーシャルワークセンター こども家庭ソーシャルワーカー認定資格特設サイト「資格取得までの流れ」やこども家庭庁「こども家庭ソーシャルワーカーの要件について」を参考に解説していきます。
第1号ルート
第1号ルートとは、社会福祉士または精神保健福祉士の資格を保有しており、主として児童の福祉に係る相談援助業務に従事した経験が2年以上ある人のためのルートです。業務の経験期間は、社会福祉士または精神保健福祉士の資格取得後に従事した期間が対象となります。
なお、「主として児童の福祉に係る相談援助業務に従事した経験」とは、指定施設において常勤による勤務を想定した場合、労働時間全体の5割以上、「児童の福祉に係る相談援助業務」に従事した期間のことです。
第2号ルート
第2号ルートとは、社会福祉士または精神保健福祉士の資格を保有しており、指定施設において「児童の福祉に係る相談援助業務」を含む相談援助業務に従事した経験が2年以上ある人のためのルートです。
第2号ルートでは、第1号ルートと異なり、労働時間全体に対する児童の福祉に係る相談援助業務に携わった時間の割合や労働時間数は問われません。ただし、直接児童の福祉に係る相談援助業務を行っていなかったり、従事した時間がごく一部であったりする場合は第2号ルートの対象外となります。また、第2号ルートでは、第1号ルートでは不要な追加研修の受講が必要です。
第3号ルート
第3号ルートとは、指定施設において、主として児童の福祉に係る相談援助業務を4年以上行った経験がある人のためのルートです。
第3号ルートでは、特定の資格の保有は必要ありません。その代わり、第1号ルートより2年長い「4年以上」の実務経験と97.5時間以上のソーシャルワーク研修の受講が必要です。
第4号ルート
第4号ルートとは、保育士資格を保有しており、保育所や幼保連携型認定こども園などの施設において、児童の福祉に係る相談援助を含む業務に4年以上従事した経験がある人のためのルートです。第4号ルートでは、165時間以上のソーシャルワーク研修を受講する必要があります。
参考:一般財団法人日本ソーシャルワークセンター こども家庭ソーシャルワーカー認定資格特設サイト「資格取得までの流れ」
こども家庭庁「こども家庭ソーシャルワーカーの要件について」(参照:2025年1月17日)
こども家庭ソーシャルワーカーの研修内容
前項でも触れたとおり、こども家庭ソーシャルワーカーになるための研修には、「指定研修」「追加研修」「ソーシャルワーク研修」の3つがあります。厚生労働省「こども家庭福祉の認定資格(こども家庭ソーシャルワーカー)検討概要(子ども家庭福祉の認定資格の取得に係る研修等に関する検討会及びワーキンググループ)」によると、それぞれのルートで受講が必要な研修は、以下のとおりです。
研修種類 | 第1号ルート | 第2号ルート | 第3号ルート | 第4号ルート |
---|---|---|---|---|
指定研修 | 100.5時間以上 | |||
追加研修 | - | 24時間以上 | - | - |
ソーシャルワーク研修 | - | - | 97.5時間以上 | 165時間以上 |
参考:厚生労働省「こども家庭福祉の認定資格(こども家庭ソーシャルワーカー)検討概要(子ども家庭福祉の認定資格の取得に係る研修等に関する検討会及びワーキンググループ)」
指定研修とは、前述の4つのルートに関わらず、すべての人が受講する必要がある研修です。指定研修では、講義33時間と演習67.5時間の計100.5時間のカリキュラムが組まれています。
一般財団法人日本ソーシャルワークセンター こども家庭ソーシャルワーカー認定資格特設サイト「【別表6 追加研修の研修課程(カリキュラム)】」によると、第2号ルートで受講が求められる追加研修は、講義9時間+演習9時間+見学実習6時間の計24時間です。ただし、社会福祉士養成課程において「児童・家庭福祉」に該当する科目を履修している場合は、講義の受講が免除されるため、演習+見学実習の計15時間以上の受講が条件となります。
また、ソーシャルワーク研修は、講義78時間+演習78時間+見学実習9時間の計165時間での構成です。ただし、相談援助の実務経験のある第3号ルートの場合、一部の受講が免除されるため、必要な受講時間は計97.5時間以上となっています。
参考:厚生労働省「こども家庭福祉の認定資格(こども家庭ソーシャルワーカー)検討概要(子ども家庭福祉の認定資格の取得に係る研修等に関する検討会及びワーキンググループ)」
一般財団法人日本ソーシャルワークセンター こども家庭ソーシャルワーカー認定資格特設サイト「【別表6 追加研修の研修課程(カリキュラム)】」
こども家庭ソーシャルワーカーの認定試験
一般財団法人日本ソーシャルワークセンター こども家庭ソーシャルワーカー認定資格特設サイト「試験について」によると、2025年3月に実施されるこども家庭ソーシャルワーカー認定試験の概要は以下のとおりです。
試験時間 | 2時間(午後1時から午後3時まで) |
---|---|
方法 | 筆記試験(マークシート) |
試験科目・問題数 | - こども家庭福祉:18問 - 関連知識:14問 - こども家庭福祉とソーシャルワーク(総合):20問 - ソーシャルワーク:12問 |
合格基準 | - 問題の総得点の60%程度を基準として、問題の難易度で補正した点数以上の得点の者 - 上記を満たし、4科目すべてにおいて得点があった者 |
費用 | 2万5000円(税込) |
参考:一般財団法人日本ソーシャルワークセンター こども家庭ソーシャルワーカー認定資格特設サイト「試験について」
2025年3月に実施されるこども家庭ソーシャルワーカー認定試験は、第1回目になります。まだ設立したての資格のため、第1回試験の結果を受け、問題構成や難易度、試験方法などが今後変わる可能性もあるでしょう。
参考:一般財団法人日本ソーシャルワークセンター こども家庭ソーシャルワーカー認定資格特設サイト「試験について」
こども家庭ソーシャルワーカーに必要なスキル
こども家庭ソーシャルワーカーには、以下のようなスキルが求められると考えられます。
- コミュニケーションスキル
- 観察力
- 問題解決スキル
こども家庭ソーシャルワーカーは、保護が必要な子どもやその親を対象に支援業務を行います。そのため、支援を行う相手との信頼関係を築くためにも、高いコミュニケーションスキルが必要です。
また、家庭内の課題や問題は、他人には話しづらいと感じる方も多いと考えられます。そのため、相談に応じるなかでの会話や行動から状況を汲み取り、問題解決につながる策を見出す観察力や問題解決スキルも求められるでしょう。
こども家庭ソーシャルワーカーは子どもの問題を扱う
- こども家庭ソーシャルワーカーは、家庭内で問題をもつ子どもや親に対して支援を行う
- こども家庭ソーシャルワーカーは、福祉施設や教育機関などでの活躍が期待されている
- こども家庭ソーシャルワーカーになる方法は、資格や実務経験の有無によって異なる
- こども家庭ソーシャルワーカーにはコミュニケーションスキルや観察力が必要