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医療情報技師とは?資格概要や仕事内容、将来性を解説

a month ago

「医療情報技師とは?」と疑問に思う方もいるでしょう。医療情報技師とは、病院で情報システムの導入や運用、保守などを行っている職種です。この記事では、医療情報技師の詳しい仕事内容や資格概要を紹介しています。資格の難易度や資格更新について、医療情報技師のやりがいにも触れていますので、ぜひ参考にしてください。

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医療情報技師とは

医療情報技師とは、病院で医療情報システムの導入・開発や、運用、保守を行う職種です。医療情報技師は、電子カルテやオーダシステムを導入している大規模病院や大学病院に勤務しているケースが多くみられます。ほかにも、電子カルテを開発・販売しているシステムメーカーや、病院にPCなどを卸している企業などに医療情報技師がいるケースもあるようです。

医療情報技師は医療情報システムの整備をとおして、医療従事者の業務を効率化し、医療に貢献しています。業務にあたっては医療分野だけでなく、ITに関する知識が必要なのが特徴です。

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医療情報技師の仕事内容

医療情報技師の仕事は、医療機関勤務であれば自施設の医療情報システムに関する業務、システムメーカーや企業勤めであれば、派遣先の医療機関の医療情報システムに関する業務にあたるのが一般的です。ここでは、主に医療機関に勤務する医療情報技師の仕事内容を紹介します。

医療情報システムの導入提案

医療情報技師は、病院内で現在使用されているシステムに問題点や改善点がないか調査し、新システムの導入や新機能の追加などを、医師をはじめとする医療従事者、病院の経営陣などに提案します。

ITに詳しくない人にも分かるように説明することが求められる上、使いやすいシステムの構築を目指す必要があるでしょう。追加の要望や導入に関する費用の質問などがあったときには、医療情報技師からメーカーに確認を取ることが多いようです。

医療情報システムの開発

新システム導入や新機能の追加が決定したら、医療情報技師はシステム開発を開始します。医療機関に勤務する医療情報技師のみで開発するのではなく、提携するシステム会社と連携して進めていくのが一般的です。

医療情報技師は医療機関側の立場として、医師や医療従事者の意見が反映されていないシステムにならないよう、使いやすく必要な機能が搭載されているかも確認しながら、自分でシステムを構築したり、システム会社に要望を出したりします。
大きなシステムの導入の際はリリース前にパイロット版を作成し、医療従事者に実際に使用してもらい、問題点や要望を聞き出して、細かい修正を加えることもあるようです。

医療情報システムの運用・保守管理

医療情報技師はシステムがリリースされたら、現場で問題なく利用できているか、問題が発生していないかを調査し、スムーズな運用に繋げています。
軽微な修正で問題が解決できそうな場合は、医療情報技師がシステムの修正を行うことも。問題がなかった場合でもシステムを常時監視しつつ、ウイルスや異常な動作の探知に備えて、システムダウンや通信障害を防ぐ対策を取ります。

医療情報システムのセキュリティ対策

医療情報システムのセキュリティ対策も、医療情報技師の重要な仕事の一つです。
医療情報システムには、患者の個人情報や病名・病状などの重要な情報が多く含まれます。それらの情報漏洩を防ぐため、医療情報技師は外部からの攻撃に備えて対策を行うことを求められます。

情報漏洩は、「患者情報をUSBに抜き出して持ち歩いていたらUSBを紛失した」など、意図しない形で人の手で漏洩してしまうことも。そのため、情報の取り扱いについて医療情報技師が医療従事者に教育を行うこともあるようです。

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医療情報技師になるには?

医療情報技師になるには、民間資格を取得するのが一般的な方法でしょう。

資格がなければ医療情報技師として勤務できないと決められているわけではありませんが、日本医療情報学会が認定する「医療情報技師能力検定試験」に合格して資格を得なければ、そもそも求人に応募できない場合も珍しくないようです。

資格取得までの道のりは、主に独学する場合と、学校に通って学ぶ場合に分けられます。既に病院で情報システムに携わっている方や、電子カルテを取り扱うシステム会社に勤務している方は、独学で資格を取得するよう勤務先に言われることが多いようです。社会人として病院に出入りしている方であれば、医療に関する知識がゼロではないため、全くの未経験者に比べると独学での勉強が進めやすいでしょう。

一方、医療現場での経験がない方であれば、医療情報技師を目指して学校に通うルートがあります。大学や専門学校の医療情報やITについて学べる学科では、医療情報技師の試験内容を学べるケースも多いでしょう。卒業までには年数と学費がかかりますが、医療情報技師だけでなく、診療情報管理士や基本情報技術者など、医療やITに関するほかの資格も同時に取得を目指せる場合もあります。

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医療情報技師能力検定試験について

前述のとおり、医療情報技師の民間資格として広く認められているのが、「医療情報技師能力検定試験」です。一般社団法人日本医療情報学会 医療情報技師育成部会「医療情報技師能力検定試験」によると、医療情報技師能力検定試験は、下記の3点を評価します。

  • 情報処理技術の業務改善への活用を担える
  • 医療情報の安全で適切な管理を担える
  • 診療データの利活用を担える人材として必要な一定の知識・技術を有している

ここでは、試験概要や難易度をみていきましょう。

試験概要

一般社団法人日本医療情報学会 医療情報技師育成部会「医療情報技師能力検定試験」によると、「受検のための資格は問いません。」とあり、受検には学歴などの受検資格は必要ないことが分かります。そのため、医療情報やITについての業務経験がない方が、独学で合格を目指すことも可能です。試験時期は「毎年8月下旬(年1回)」で、「全国13会場」の都道府県で実施されます。

試験は、受験科目ごとに問題数と試験時間が以下のように決まっています。

  • 医学・医療系(50問、60分)
  • 情報処理技術系(50問、60分)
  • 医療情報システム系(60問、90分)

なお、問題の形式は「マークシート方式による多肢選択試験」となっています。

出題範囲

一般社団法人日本医療情報学会 医療情報技師育成部会「医療情報技師能力検定試験」によると、主な出題範囲は、医療情報技師育成部会が発行している下記の教科書の内容です。

  • 『医療情報 医学・医療編』
  • 『医療情報 情報処理技術編』
  • 『医療情報 医療情報システム編』

ただし、「医療制度の改正や情報技術の発展の動向など、医療情報技師として知っておくべき事柄については、教科書に記載がなくても出題することがあります。」とも明記されており、時事問題が出題されることにも留意して試験勉強をする必要があるでしょう。

合格条件

一般社団法人日本医療情報学会 医療情報技師育成部会「医療情報技師 試験実施概要」によると、「『医療情報技師』として認定されるには、3科目すべてに合格しなければなりません。合格しなかった科目があるときは、その科目を再受検してください。」とあります。また、受検して合格した科目は「『科目合格』として2年間有効」とあり、「受検した翌年と翌々年に限って、受検しなくても合格が有効」とされています。

つまり、資格を得るには3科目すべての合格基準を満たさなければなりません。3科目を1回ですべて合格できなくても、合格した科目は2年間有効となるため、それまでに不合格となった科目に2年以内に合格すれば、資格が得られる仕組みです。

合格率

実際に、医療情報技師能力検定試験の合格率はどれくらいなのでしょうか。2019年~2024年までの医療情報技師能力検定試験の認定者数をみてみましょう。

試験 受検者総数 認定者 取得率
第17回 2019年8月25日 4210名 1410名 33.5%
第19回 2021年8月22日 3489名 1357名 38.9%
第20回 2022年8月21日 3400名 1161名 34.2%
第21回 2023年8月20日 3170名 1153名 36.4%
第22回 2024年8月25日 2974名 1111名 37.4%

参考:一般社団法人日本医療情報学会 医療情報技師育成部会「医療情報技師 年度別認定者数」

医療情報技師能力検定試験の取得率(合格率)は、例年30%台で推移しており、難易度は高いほうだといえるでしょう。ここでの取得率は、1回の試験で3科目すべてに合格した人と、合格していない2科目または1科目に追加で合格して3科目合格となった人の総計です。3科目申込者の取得率はさらに低くなってます。

引用:一般社団法人日本医療情報学会 医療情報技師育成部会「医療情報技師能力検定試験」
一般社団法人日本医療情報学会 医療情報技師育成部会「医療情報技師 試験実施概要」
一般社団法人日本医療情報学会 医療情報技師育成部会「医療情報技師 年度別認定者数」

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医療情報技師の資格更新について

医療情報技師の資格は、更新制です。一般社団法人日本医療情報学会 医療情報技師育成部会「資格更新制度について」によると、医療情報技師能力検定試験の有効期限は「認定日から5年」であるうえ、資格更新には条件があり、以下の条件を満たす必要があります。

  • 有効期間内に資格更新ポイント(50ポイント以上)の取得
  • 生涯研修セミナーの受講は必須(有効期間内に1回以上)
  • 申請書類の提出
  • 更新手数料10000円を振り込む

一般社団法人日本医療情報学会 医療情報技師育成部会「更新手続き」によると、資格更新のポイントは「国際学会・研究会などの参加」「学術論文の著者」「医療情報に関連する実務活動」などの活動で取得できます。資格を取得したらそこで終わりではなく、継続して新しい知識を得る姿勢や意欲が求められるでしょう。

引用:一般社団法人日本医療情報学会 医療情報技師育成部会「資格更新制度について」
一般社団法人日本医療情報学会 医療情報技師育成部会「更新手続き」

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医療情報技師のやりがい

医療情報技師のやりがいは、医療現場の負担軽減に貢献できる点です。

新システム導入やシステムの機能追加では、意見集めや打ち合わせを経てリリースに至るまで長くて半年以上かかることも。現場の希望を形にするには壁に当たることもありますが、無事にリリースできると、医療従事者の負担軽減につながります。

その分、医療従事者は診療や治療に集中できるため、患者にとっても良い効果をもたらすことになるでしょう。医療従事者からの要望を反映できたときは、感謝の言葉をかけられることもあり、それらが医療情報技師のやりがいにもつながるようです。

また、特段、リリース予定がないときでも、常時保守管理を行うことで、医療情報技師はシステムダウンなどのトラブルを未然に防ぐ役目も担っています。自施設で滞りなく診療や治療が行われているのは、自分の仕事のおかげでもあることが感じられると、やりがいを得られるでしょう。

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医療情報技師の需要と将来性は?

電子カルテやオーダシステムなどが多用されている医療現場において、医療情報技師の需要は高く、将来性もある職業だといえます。

オンライン診療やAIを用いた診療効率化の動きなど、医療現場においてITの必要性はこれからも高まっていくことが見込まれています。ソフトの進化が進み、運用や改善にかかる手間が少なくなっていったとしても、電子カルテのPCや院内サーバーなどハード面の保守管理の必要性は下がることはありません。そのため、医療情報技師の需要はこれからも減ることはないと考えられます。

ただし、医療情報技師能力検定試験の試験範囲でも述べられているように、情報技術やIT関連は年々新しい技術が誕生しており、医療制度においても診療報酬改定をはじめとして数年で改正されることもあります。医療情報技師として自身の将来性を高めるには、常に最新の情報に触れて、情報をアップデートし続けることが求められるでしょう。

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医療情報技師は病院で情報システムの運用管理を行う

  • 医療情報技師は医療機関で医療情報システムの導入や運用、保守管理を行う
  • 医療情報技師には医療情報技師能力検定試験という民間資格がある
  • 医療情報技師能力検定試験の資格は更新制で、5年間で規定のポイントの取得が必要
  • 医療情報技師は医療現場の負担軽減に貢献していることがやりがいにつながる

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