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エバリュエーションとは?用語の意味や目的を紹介
3 days ago
「エバリュエーションという用語の意味がよく分からない」という方もいるでしょう。エバリュエーションとは、福祉・介護の分野でよく使われる「事後評価」を意味する用語です。この記事では、介護におけるエバリュエーションの意味や行う目的について紹介します。ケアマネジメントで使われる専門用語についても解説するので、ぜひ参考にしてください。
エバリュエーションとは
「エバリュエーション(evaluation)」とは「評価」を意味する英単語で、福祉・介護の分野では「事後評価」を指す用語として使われています。
福祉・介護の業界では、利用者の状況や目的に合ったサービスを提供するための「ケアマネジメント」が提供されています。利用者はケースワーカーや相談支援専門員、ケアマネジャーといった専門員とともに立てた利用計画に沿って、福祉・介護サービスを利用するのが一般的です。その後、サービス利用の終了や区切りの時点で、ケアマネジメントの内容全体に対する評価を行うことを「エバリュエーション」と呼びます。これまでの援助の効果を評価し、サービスの継続利用の要否を利用者とともに検討することが主な目的です。
また、厚生労働省「相談支援業務に関する手引き」によると、エバリュエーションとは、サービス利用計画に基づきプランを進め、必要に応じてプランの見直しを行いながら、利用者本人が本人らしい方向に向かうよう支援を進めることとされています。
エバリュエーションにより、問題が解決・改善したと判断された場合、援助活動は終了となります。一方で、サービスの継続利用が必要と判断した場合は、新たなサービス利用計画を組み、引き続き利用者の援助を行っていくのが基本的な流れです。
参考:厚生労働省「相談支援業務に関する手引き」
ケアマネジメントとは
「ケアマネジメント」には多様な定義がありますが、厚生労働省「ケアマネジメントの概況」によると、ケアマネジメントは、利用者の心身の状況に応じた介護サービスの一体的提供と高齢者自身によるサービスの選択を担保する仕組みのことを指しています。
介護業界でケアマネジメントを行うのは、介護支援専門員(ケアマネジャー)の役目です。そのため、居宅介護支援や介護保険制度における介護サービスの利用者には、ケアマネジャーからケアマネジメントが提供されています。
また、ケアマネジメントは、障がいのある方が自立した生活を送るための支援を行う「相談支援」の利用者にも提供されており、相談支援の場合は「相談支援専門員」によって実施されるのが特徴です。
厚生労働省「相談支援業務に関する手引き」によると、ケアマネジメントはPDCAサイクルに基づいた基本的なプロセスに沿って実施されます。ケアマネジメントのプロセスは以下のとおりです。
- インテーク
- アセスメント
- プランニング
- モニタリング
- エバリュエーション
ケアマネジメントの初めの工程は、サービス利用の前段階として、利用者のニーズや日常生活での目標を把握(インテーク・アセスメント)することです。利用者の目的に合ったサービスを活用したケアプランを作成(プランニング)した後、利用者は作成したケアプランに沿った援助やサービスを利用開始します。
サービス利用中には、効果の有無やプラン変更の要否を確認(モニタリング)しながらサービスを活用した援助を続けます。そして、すべてのプランが終了した時点でその後の援助方針や援助継続の有無を決めていく事後評価(エバリュエーション)を行うのが、ケアマネジメントの基本的な流れです。
それぞれの用語の詳細については、後述にて説明します。
参考:厚生労働省「ケアマネジメントの概況」
厚生労働省「相談支援業務に関する手引き」
ケアマネジメントで使われる専門用語
ケアマネジメントでは、英単語から派生した専門用語が多く用いられています。
ここでは、厚生労働省「相談支援の手引き」、厚生労働省「相談支援業務に関する手引き」を参考に、前述したケアマネジメントのプロセスにおいて用いられる専門用語を4つ紹介します。
インテーク
「インテーク(intake)」とは、取り入れることを意味する英単語です。ケアマネジメントにおいては、サービスの利用希望者やその家族などから相談を受け、ケアマネジメントの対象であるかどうかを判断することを指します。インテークは、利用者からの相談を通して、日常生活における問題や課題を整理し、生活の目標を明らかにしていくことが目的です。
インテークは、ケアマネジメントを行う専門員と利用者が初めて接する場面であるため、人間関係構築のための重要な工程といえます。利用者のなかには、自身の問題が明確になっていない方や、問題の核心を隠す方などもいるでしょう。
そのため、利用者が話しやすい環境作りを行ったり、利用者の思いを言語化する手伝いをしたりすることで、利用者がもつ日常生活においてのニーズや希望を引き出すことが、専門員の役割です。
アセスメント
「アセスメント(assessment)」は、評価や査定という意味をもちます。ケアマネジメントにおける「アセスメント」とは、利用者の情報や日常生活における悩みを詳しく聞きながら、問題点や課題を明確にしていく工程のことです。インテークでサービス利用希望者がケアマネジメントの対象であると判断された場合、アセスメントの工程に進みます。
アセスメントでは、利用者本人や家族が困っていることや解決したいことを専門員に共有し、問題点の改善のために話し合いを行います。利用者本人の生活環境やその背景などを通して、本人の価値観や趣向、人柄などを理解することもアセスメントで重要なポイントです。
なお、「評価」を意味する用語として、エバリュエーションと混同されやすいアセスメントですが、この2つの大きな違いは「評価のタイミング」です。計画を立てるために評価を行うのがアセスメント、計画実施後に全体の評価を行うのがエバリュエーションとされています。アセスメントは、援助の計画を立てる前に利用者の現状や課題について評価を行うことから、「事後評価」ともいわれるエバリュエーションと対照的に、「事前評価」と表現されることもあるようです。
プランニング
「プランニング(planning)」は英単語の意味のとおり、計画することを指す用語です。アセスメントで利用者本人の希望や生活の目標が明確になると、プランニングの工程に進みます。
ケアマネジメントにおけるプランニングとは、利用者とともに定めた課題解決のための具体的な方法を検討する工程のことです。専門員は利用者のニーズや希望を基に、必要なサービスの調整を行い、サービスの利用計画を立てます。
モニタリング
実際にサービスの利用が開始したら、プランニングで立てた計画どおりにサービスの利用が行われているか、プランが実情に即しているかなどを確認する工程がモニタリングです。「モニタリング(monitoring)」はケアマネジメントにおいても、一般的な意味と同様に、観察することを指す用語として用いられています。
モニタリングは直接利用者と面接を行う形で実施されますが、定期的なモニタリングからでは汲み取れない思いや課題をもっている利用者もいると考えられます。そのため、利用者と接する機会の多いサービス事業者の意見を取り入れることも、モニタリングで大切な要素の一つです。専門員はモニタリングを通して、サービス内容が利用者に適しているかを判断し、必要に応じてプランの変更を行うこともあります。
参考:厚生労働省「相談支援の手引き」
厚生労働省「相談支援業務に関する手引き」
ケアプランとは
ケアプランとは、サービスの利用計画書のことで、プランの内容によって「介護サービス計画」や「居宅サービス計画」などと呼ばれることもあります。
厚生労働省「介護サービス計画(ケアプラン)について」によると、ケアプランは、提供されるサービスの種類や内容、サービス利用によって達成を目指す目標・達成時期などが記されたものです。利用者やその家族の生活に対する意向や総合的な援助の方針、生活全般の解決すべき課題なども記載されています。
厚生労働省「介護の基礎知識」によると、介護サービスを利用するためのケアプランは、介護支援専門員(ケアマネジャー)によって原案を作成されるのが一般的です。利用するサービスは、介護支援専門員が利用者の希望やアセスメントの結果を基に、課題解決に対応するための最も適切なサービスの組み合わせが検討され、利用者や家族の合意の下決定されます。
一方で、厚生労働省「ケアマネジメントのあり方(参考資料)」によると、利用者や家族などがケアプランの原案を作成し、あらかじめ市町村に届け出た場合も、サービス利用者はケアプランに基づいたサービスを利用することになります。
ケアプランの原案は、サービス担当者会議でさらに内容の調整や検討がされた後、正式なケアプランとなりサービスの提供が始まる流れです。
参考:厚生労働省「介護サービス計画(ケアプラン)について」
厚生労働省「介護の基礎知識」
厚生労働省「ケアマネジメントのあり方(参考資料)」
サービス担当者会議
サービス担当者会議とは、原案を基に正式なケアプランを決定する場のことです。
厚生労働省「サービス担当者会議の位置づけと目的」によると、サービス担当者会議では、利用者の生活状況や課題、支援の方針に対する共通理解を深めたり、ケアプランにおける各サービス事業者の役割を互いに理解したりすることを目的としています。
サービス担当者会議の開催のタイミングは、ケアプランの作成時やプランの内容変更が発生する時などです。利用者に適したサービス利用のプランとなっているのか、複数の視点から確認し、より適切なケアプランを作成します。
同資料によると、サービス担当者会議の構成員の一例は以下のとおりです。
- 利用者とその家族
- ケアプランを作成した専門員
- サービス事業担当者
- 主治医
- インフォーマルサービスの提供者
インフォーマルサービスとは、NPO団体や地域のボランティア団体などが提供する、介護保険外のサービスのことです。インフォーマルサービスは、買い物の同行サービスや家事手伝い、介護予防のためのイベントなど多岐にわたります。ケアプランでは、公的サービスに限らず、インフォーマルサービスを組み合わせたプランが立てられることもあるようです。その場合は、インフォーマルサービスの提供者もサービス担当者会議に参加し、ケアプランに対する意見を交わし合います。
また、ケアプラン作成時のサービス担当者会議は、多職種間の情報共有の場の役割も果たしています。利用者の状態に変化があった場合やサービス内容に変更が必要になった場合などの情報連携を行うプロセスについても、サービス担当者会議の場で決められることがあるようです。このように、ケアマネジメントは多職種や複数の事業所が連携し、地域全体で利用者を援助するシステムの下で実施されています。
参考:厚生労働省「サービス担当者会議の位置づけと目的」
エバリュエーションとはケアマネジメントの事後評価
- エバリュエーションは、サービス利用計画が終了した段階で援助全体を評価すること
- ケアマネジメントは利用者の状況や目的にあったサービスを提供するための仕組み
- ケアマネジメントでは、エバリュエーションの結果を基にサービス利用の方針を検討する
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