NEW豆知識
就労選択支援とは?内容やほかの就労支援サービスとの違いを解説
a day ago
「就労選択支援の内容がよく分からない」という方もいるでしょう。就労選択支援とは、障がいのある方が自分に合った働き方や就労先を選択できるよう支援を行うサービスです。この記事では、就労選択支援の概要やほかの就労支援サービスとの違いについてわかりやすく紹介します。就労選択支援で働くための養成研修についても解説するので、ぜひ参考にしてください。
就労選択支援とは
厚生労働省「就労選択支援に係る報酬・基準について≪論点等≫」によると、就労選択支援とは、障がいのある方が本人の希望や就労能力、適性に合った就労先や働き方を選択できるよう支援するサービスのことです。2024年12月現在では施行準備中であり、サービス開始は、2025年10月1日の予定となっています。利用者のサービス利用期間は2週間程度を想定しており、最大でも2か月程度とされる見込みです。
現在の障がい者の就労においては、就労能力や適性を客観的に評価して、申請時にサービスの種類を選択しなければなりませんでした。そのため、本人の就労に関する選択や具体的な支援内容に活用できていないことや、就労の次のステップを促す体系が整っていないことなどが課題として挙げられています。そのような現状を受け、就労選択支援サービスでは、障がい者本人とともに就労能力や適性を評価したり、就労選択支援事業所と市町村やハローワークなどとが連携を行ったりと、課題解決につながるシステムの構築が検討されているようです。
就労選択支援の利用対象者
厚生労働省「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定における主な改定内容」によると、就労選択支援を利用できる対象者は以下のように定められています。
- 就労移行支援または就労継続支援を利用する意向を有する方
- 現在、就労移行支援または就労継続支援を利用している方
2025年10月以降、就労継続支援B型の利用を検討している場合は、就労継続支援B型の利用申請前に、就労選択支援を利用することが原則となります。また、就労継続支援A型の利用や就労移行支援の標準利用期間を超えた利用を検討している場合は、2027年4月以降に就労選択支援の利用が可能です。
就労選択支援を利用するには?
厚生労働省「就労選択支援に係る報酬・基準について≪論点等≫」によると、就労選択支援の基本プロセスは以下のとおりとなっています。
- 障がい者本人によるサービスの利用希望を受け、就労選択支援の申請を行う
- 就労選択支援の支給決定
- 障がい者本人と協同し、アセスメント(状況把握)を行う
- アセスメント結果を基に、障害福祉サービスの申請や就労支援機関との調整を行う
就労選択支援を利用するにはまず、サービスの利用を希望する本人が市町村に相談・申請を行うことが必要です。就労選択支援は、サービス提供側が利用者の就労可否やどの就労支援サービスが適しているかを判断するものではないため、その後は上記のプロセスに沿って本人の選択をサポートする支援活動を行います。
参考:厚生労働省「就労選択支援に係る報酬・基準について≪論点等≫」
厚生労働省「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定における主な改定内容」
就労選択支援とほかの就労支援サービスとの違い
厚生労働省「障害者の就労支援対策の状況」によると、就労支援サービスには、就労選択支援のほかに「就労移行支援」「就労継続支援(A型・B型)」「就労定着支援」があります。これらのサービスと就労選択支援とで大きく異なるのが「利用対象」です。
一般企業での雇用が難しい方を対象としているのが「就労継続支援」、一般企業での雇用の見込みがある方が対象となるのが「就労移行支援」です。そして、就労継続支援や就労移行支援を利用して一般企業へ雇用された障がい者を対象としているのが「就労定着支援」となっています。
一方、「就労選択支援」は、障がい者の就労活動をより総括的にサポートするものです。そのため、利用対象が障がい者の就労状況によらない点が、ほかの就労支援サービスとは異なります。
ここからは、厚生労働省「障害者の就労支援対策の状況」、厚生労働省「就労系障害福祉サービスの概要」を参考に、各就労支援サービスの概要を紹介します。
就労移行支援
就労移行支援は、就労を希望しており、一般企業に雇用されることが可能と見込まれる障がい者に対して、就労に必要な知識・能力の向上のための訓練を行うサービスです。就労移行支援の利用期間は、原則2年間となっています。
また、就労移行支援の利用は、65歳未満の方が対象です。ただし、65歳に達する前の5年間のうちに障害福祉サービスの支給決定を受けており、65歳に達する前日において就労移行支援の支給決定を受けていた場合は、65歳以降も就労移行支援を利用できます。
就労継続支援A型
就労継続支援は、一般企業に雇用されることが困難である障がい者を対象としたサービスです。就労継続支援A型では、雇用契約に基づく就労が可能な方に対して、就労や生産活動の機会の提供を行います。就労継続支援A型の利用対象年齢は、就労移行支援と同じく、原則65歳未満の方です。また、就労継続支援A型の利用期間には制限がありません。
就労継続支援B型
一方、就労継続支援B型は、雇用契約に基づく就労が困難な方に対して、就労や生産活動の機会の提供を行うサービスです。就労継続支援B型の利用要件には以下のようなものがあります。
- 企業や就労継続支援A型での就労経験があり、年齢や体力の面で雇用されることが困難となった方
- 50歳に達している方または障害基礎年金1級を受給している方
- 上記2項目に該当せず、就労移行支援事業者によるアセスメント(査定・評価)により、就労面に関わる課題などの把握が行われている方
- 通常の事業所に雇用されており、当該事業所での就労に必要な知識・能力の向上のための支援を一時的に必要とする方
上記のいずれかの要件を満たしている場合、就労継続支援B型を利用できます。なお、就労継続支援B型の利用期間については、就労継続支援A型と同様に制限はありません。
就労定着支援
就労定着支援は、就労支援サービスなどを利用して一般企業に雇用された障がい者に対して、雇用に伴い生じた日常生活・社会生活での問題に関する相談や指導を行うサービスです。就労定着支援の利用期間は3年間となっており、3年経過後は必要に応じて、就労支援機関などへ引き継ぎがされます。
参考:厚生労働省「障害者の就労支援対策の状況」
厚生労働省「就労系障害福祉サービスの概要」
就労選択支援はどこがやる?
厚生労働省「就労選択支援に係る報酬・基準について≪論点等≫」によると、就労選択支援は、市町村・計画相談支援事業所・就労選択支援事業所によって実施されます。
支給決定の役割を担っているのは市町村です。市町村では、支給決定のほかにも、障がい者本人のサービス利用の意向聴取や、心身の状況などに関する調査なども行います。
また、サービスの利用計画案の作成や支給決定後の計画作成を行うのが計画相談支援事業所です。計画相談支援事業所は、就労支援を利用している障がい者に対して、利用状況のモニタリングを行う役割も担います。
そして、就労選択支援の中心的な役割を担うのが就労選択支援事業所です。就労選択支援事業所は、働き方に関するアセスメント結果を作成したり、その結果を基に、ほかの就労支援サービスを行う機関や地域の企業などと連携・調整を行います。
参考:厚生労働省「就労選択支援に係る報酬・基準について≪論点等≫」
就労選択支援で働くには?養成研修について
厚生労働省「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定の基本的な方向性について」によると、就労選択支援事業所では、「就労選択支援員」により、障がい者の支援が行われる予定です。
就労選択支援員になるには、2025年度からの開始が検討されている「就労選択支援員養成研修」を修了しなければなりません。ただし、就労選択支援員養成研修の受講には、以下の要件を満たしている必要があります。
- 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構などが実施する基礎的研修(2025年度開始予定)を修了していること
- 就労支援に関して一定の経験を有していること
つまり、就労選択支援員になるには、基礎的研修と就労選択支援員養成研修の両方の修了が必須となります。ただし、2027年度末までは、就労支援について一定の経験を有し、基礎的研修と同等以上の研修を修了している方であれば、基礎的研修が未受講であっても就労選択支援員養成研修の受講が可能です。
また、厚生労働省「就労選択支援に係る報酬・基準について≪論点等≫」によると、就労選択支援員養成研修開始から2年間は、基礎的研修または基礎的研修と同等の研修の修了者を就労選択支援員としてみなすことも検討されています。2025年10月の就労選択支援サービスの開始以降、サービスや研修の実施状況によっては、各研修の受講要件が変わる可能性もあるでしょう。
参考:厚生労働省「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定の基本的な方向性について」
厚生労働省「就労選択支援に係る報酬・基準について≪論点等≫」
就労選択支援は障がい者の就労活動を支援するサービス
- 就労選択支援は、2025年10月以降にサービスが開始される予定
- 就労選択支援は、市町村・計画相談支援事業所・就労選択支援事業所が主体となって行う
- 就労選択支援員になるには、就労選択支援員養成研修の修了が必要
人気の記事
NEWお役立ち情報
介護現場の業務効率化をサポート!機能性抜群の製品を紹介
NEW豆知識
就労選択支援とは?内容やほかの就労支援サービスとの違いを解説
NEW職種・資格情報