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急性期看護で大切なこととは?仕事内容やスケジュールを紹介

a day ago

「急性期看護とは?」と疑問に思う方もいるでしょう。急性期看護とは、病状が不安定で急変のリスクがある患者の看護ケアを行うことです。この記事では、急性期看護の特徴や仕事内容、1日のスケジュールを紹介しています。急性期看護で働くのに大切なことや、メリット・デメリットにも触れていますので、ぜひ参考にしてください。

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急性期看護の特徴とは?

厚生労働省「病床区分の見直しについて」によると、急性期とは、患者の病態が不安定な状態から、治療によりある程度安定した状態に至るまでとされています。

また、急性期入院医療とは、疾病や外傷など急性発症した疾患や慢性疾患の急性増悪の治療を目的とし、一定程度の改善まで行う医療のことです。
 
急性期看護は、上記のような急性期における看護ケアのことを指しており、高度な手技や急性疾患・専門治療に対する知識が求められるという特徴があります。以下では、急性期看護の特徴について詳しくみていきましょう。

入院期間

厚生労働省「平成30年度(2018年度)病床機能報告の結果について」によると、2018年度速報値における急性期病棟の平均在棟日数の中央値は、13.5日でした。なお、ほかの医療機能である高度急性期では9日、回復期では50.8日、慢性期では233.6日となっているため、急性期は病院のなかでも比較的入院期間が短い方といえるでしょう。

また、厚生労働省「令和6年度診療報酬改定の概要【入院II(急性期・高度急性期入院医療)】」によると、令和6年度診療報酬改定にて、入院基本料において急性期一般入院基本料1を算定する場合は、平均在院日数が16日以内であることとの規定が設けられました。つまり、「急性期の入院期間は長くても2週間程度にすべき」という考えが反映された加算であるといえます。

このように、急性期病棟は長期入院を予定していない病棟となっているため、退院先は自宅だけではなく、回復期・慢性期病棟や介護施設に転棟・転院するケースも多くみられるようです。

急性期看護に入院する患者の特徴

厚生労働省「病床区分の見直しについて」によると、急性期病棟は緊急度や重症度などを含め、より高密度な医療を必要とする患者を対象としています。具体的には、重度の急性疾患(心筋梗塞や脳動脈瘤破裂など)や悪性腫瘍に罹患している患者が多く、ほかにも高度な専門手術・治療などを必要とする患者も急性期病棟に入院するようです。

看護師の働き方と役割

前述のとおり、急性期病棟では病状が不安定な方や急性疾患の方が医療を受けるため、集中的な治療・観察や急変時の対応を行うのが急性期看護を提供する看護師の役割です。

また、急性期の患者は入院して24時間体制で医療ケアを受ける必要があるため、急性期に携わる看護師は基本的に病棟勤務となります。24時間体制での勤務は、日勤・夜勤の2交代制か日勤・準夜勤・深夜勤の3交代制が一般的で、施設や病棟によってどちらかの形態でシフトが組まれるでしょう。

参考:厚生労働省「病床区分の見直しについて」
厚生労働省「平成30年度(2018年度)病床機能報告の結果について」
厚生労働省「令和6年度診療報酬改定の概要【入院II(急性期・高度急性期入院医療)】」

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急性期看護とほかの医療機能との違い

医療サービスは、患者の病態や必要な治療により提供する医療の機能が分けられており、それぞれの区分のことをまとめて「医療機能」と呼びます。急性期も医療機能の一つです。ここでは、急性期看護とほかの医療機能との違いについて紹介します。

高度急性期

厚生労働省「入院(その3)回復期入院医療について」によると、高度急性期とは、急性期の患者に対し、状態の早期安定化に向けて、診療密度が特に高い医療を提供する機能のことです。

急性期よりも高度な医療が提供されることが特徴で、救命救急病棟や集中治療室(ICU)、新生児集中治療室(NICU)などが高度急性期病棟に該当します。

高度急性期で働く看護師は、救命処置や生命維持装置などに関する知識やスキルが求められるでしょう。高度急性期病棟に入院する患者がそのまま自宅退院するケースはほぼなく、容体が落ち着いたら急性期病棟へ転棟して加療を継続することが多いようです。

回復期

厚生労働省「入院(その3)回復期入院医療について」によると、回復期とは、急性期を経過した患者への在宅復帰に向けた医療やリハビリテーションを提供する機能のことです。
ADLの向上や在宅復帰を目的としたリハビリテーションを集中的に提供するのが特徴で、看護師の業務はリハビリや日常生活のサポートがメインとなります。

慢性期

厚生労働省「入院(その3)回復期入院医療について」によると、慢性期とは、長期にわたり療養が必要な患者を入院させる機能のことです。
重度の障がいがある人や難病患者などが入院しているため、看護師は主に療養上の世話を行うことが求められるでしょう。

参考:厚生労働省「入院(その3)回復期入院医療について」

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急性期看護における仕事内容

急性期看護における看護師の仕事内容について、紹介します。

診療補助・看護処置

集中的・専門的な治療が行われる急性期では、看護師は医師の診療補助業務を多く任されます。具体的には、バイタル測定や点滴・注射、採血などです。患者の疾患や診療科により、創部の消毒・ガーゼ交換や摘便などを行うこともあります。

手術・検査前後の管理

急性期病棟には手術や特殊な検査を受ける目的で入院する患者も多いため、手術・検査前後の管理も看護師の仕事です。

術前や検査前は、医師から休薬や絶飲食などの指示が出るため、患者が指示どおりに過ごせているか看護師が確認します。検査の場合は、多量の造影剤や下剤などを数時間かけてすべて飲み切るよう指示が出ていることも。指示が守れないと手術や検査ができなくなるため、看護師は適宜患者の様子を観察・確認します。

手術・検査直前の準備から送迎までは「手術出し」「検査出し」と呼ばれ、看護師は医師や手術室から指定されたとおりの状態に患者の身の回りを整える業務があります。
手術終了後は、病棟の看護師が患者を手術室・検査室に迎えに行くのが一般的です。術中から継続している補液や排液・尿をみて、排液量・色に異常がないか、ドレーン挿入部は感染を起こしていないかなどを確認します。

ナースコール対応

病棟では、入院中の患者から呼び出しがあればすぐに対応しなければなりません。
ナースコールには2種類あり、1つは通常コールです。トイレへの付き添い依頼などの呼び出しや、点滴が終わりそうなどの通知が通常コールとして鳴らされます。もう1つは緊急コールです。患者が急に激しい苦痛を感じたときや転倒して動けないときなどにコールが鳴らされます。

通常コールへの対応も重要ですが、緊急コールが鳴ったときは、担当の看護師を中心に看護師はすぐに駆けつけて、迅速に対応しなければなりません。必要があれば医師に連携し、指示を仰ぎます。

患者の療養上の世話・精神的ケア

急性期看護は病棟業務であるため、入院中の患者の身の回りの世話を行うことも看護師の仕事です。患者は介護が必要な高齢者や、治療中・手術前後で日常生活が制限されるケースも多いため、看護師は食事や入浴、排泄などの介助や、ベッドや車いすへの移乗などを行います。

また、急性期病棟にはがんの治療や大手術を控えている患者もおり、不安な気持ちで入院している患者も多いでしょう。そのため、看護師は患者や家族の不安に寄り添い、精神的なケアを行うのも急性期看護において重要な役割です。

退院支援

前述のとおり、急性期病棟に入院する患者は、2週間以内の退院が目標とされます。そこで、看護師は退院支援を行って、患者の早期退院をアシストしています。

看護師は担当の患者の退院目途がついたら、患者や家族の状況・希望や入院前の医療・福祉サービスの利用状況、今後の予見などの情報を集めます。そして、主治医や病棟の看護師長、退院支援看護師、医療ソーシャルワーカー(MSW)などと連携し、患者ごとに適した退院先の選定や退院後のフォロー方針の決定に携わります。

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急性期看護のスケジュール

急性期看護は日々どのようなスケジュールで進んでいるのでしょうか。ここでは2交代制の日勤・夜勤を例に挙げ、急性期看護のスケジュールを紹介します。

日勤

急性期病棟の看護師の日勤(2交代制)のスケジュール例は、以下のとおりです。

時刻
スケジュール
午前8時30分 出勤、受け持ち患者確認、夜勤からの申し送り
午前9時 手術出し、退院患者対応
午前10時 点滴交換、採血、入院患者対応
午前11時 入浴介助、IC同席
正午 昼食配膳・下膳、食事介助、配薬
午後1時 昼食休憩
午後2時 検査出し、バイタル測定
午後3時 IC出席、退院支援カンファレンス出席
午後4時 点滴交換、手術後のお迎え、術後管理開始
午後4時30分 夜勤への申し送り
午後5時 退勤

急性期病棟の日中は、療養上の世話に加えて手術や検査が多く予定されています。看護師は入退院患者への対応やIC同席なども求められるため、常に忙しい現場が多いでしょう。

夜勤

一方、急性期病棟の看護師の夜勤(2交代制)のスケジュール例は、以下のとおりです。

時刻
スケジュール
午後4時30分 出勤、受け持ち患者確認、日勤からの申し送り
午後5時 巡回
午後6時 夕食配膳・下膳、食事介助、配薬
午後7時 バイタル測定、トイレ介助
午後8時 巡回、就寝準備介助
午後9時 病棟消灯、休憩
午後10時 トイレ介助、書類整理
午後11時 体位交換
午前1時 巡回
午前2時 休憩
午前3時 点滴交換、トイレ介助
午前4時 体位交換
午前6時30分 起床、更衣・トイレ介助
午前7時 朝食配膳・下膳、食事介助、配薬
午前8時 バイタル測定、トイレ介助、退院準備支援
午前8時30分 日勤への申し送り
午前9時 退勤

夜勤は、日勤よりもスケジュールに比較的余裕があり、特に深夜帯は行うことが少なくなっています。ただし、出勤・退勤直後は療養上の世話と食事に関する業務が集中するため、忙しいでしょう。また、夜間に急変や緊急入院があった場合は、日勤より少ない人数で対応しなければならないため、日によっては仮眠を取れないほど忙しいこともあるようです。

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急性期看護で働くメリット

急性期看護に携わるメリットについて紹介します。

基本スキルから専門知識まで幅広く身に付けられる

急性期看護は、点滴や採血、療養上の世話など、看護師として基本的な手技を日常的に経験するため、看護師としての基礎を固められます。また、配属される診療科によって、疾病や治療に対する専門的な知識も身に付けられる点が特徴です。

このことから、急性期病棟を有する医療機関において、急性期病棟は基本スキルが身につく現場として、新卒看護師の配属先になることが多くなっています。新卒の受け入れが多いことから急性期病棟では教育体制も整っており、看護師歴が浅い人でもサポートを受けながらスキルを身に付けられる点がメリットです。

判断力や応用力が身につく

急性期看護を経験すると、判断力や応用力が身につくでしょう。急性期の現場では、急変や緊急入院によりイレギュラー対応を求められ、スケジュールどおりに仕事が進まないことも多々あるようです。慣れないうちは適応するのに大変さを感じる人もいるかもしれませんが、経験を積むことでそのような事態にも徐々に対応できるようになるでしょう。

急性期看護で身についたとっさの判断力や応用力は、ほかの医療機能の病棟やクリニックなどに転職したときも活かせます。そのため、看護師としてのスキルアップだけでなく、異動・転職後のキャリア形成もしやすくなるでしょう。

やりがいや達成感を得やすい

急性期看護は忙しく、楽ではない現場ですが、やりがいや達成感を得やすいというメリットもあります。
急性期病棟では患者の入れ替わりが激しい反面、回復の早い患者を見届けられることもあるようです。看護師は入院時よりも元気になって退院していく患者をみられることもあり、やりがいや達成感を得やすいでしょう。

また、急性期病棟では手術や急性疾患の治療を乗り越えて退院する患者が多く、医療従事者へ感謝の気持ちを直接述べて退院していく人も多いようです。

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急性期看護で働くデメリット

急性期看護で働くにはデメリットもあります。どのようなデメリットがあるのかも理解しておきましょう。

患者とじっくり向き合うのが難しい

前述のとおり、急性期看護は日々バタバタとしているうえ、患者の入れ替わりが激しい現場です。そのため、看護師は日々のタスクに追われて、患者一人ひとりとじっくり向き合う時間が取れないこともあるでしょう。

時間をかけて丁寧な看護ケアを提供したい人や、患者とのふれあいを大切にしたい人には、不向きな現場かもしれません。

精神的につらい場面に立ち会うこともある

急性期看護に携わっていると、精神的につらい場面に立ち会うこともあるでしょう。
急性期病棟で治療を受ける患者は、容体が重篤で生死の境をさまよっている人もいます。意識がない患者やつらい思いをしている家族を目の当たりにすると、看護師自身もつらくなってしまうことも。手を尽くした結果、残念ながら亡くなる患者もいるなかで、看護師は蘇生処置から看取りやエンゼルケア、お見送りを担当しなければなりません。

気持ちの切り替えがうまくできない場合、つらい気持ちが蓄積してしまい、精神的に働き続けるのが難しくなってしまう看護師もいるようです。

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急性期看護で大切なこととは

ここまで、急性期看護について紹介してきましたが、急性期看護で働くうえで大切なことはどのような点なのでしょうか。

まず、急性期看護で働くときには、看護の基礎スキル・知識だけでなく、専門分野の知識や判断力・対応力も身に付けられるよう意識して仕事に取り組むことが大切です。忙しさのなかでも、向上心を持って働ける人は急性期看護に向いているでしょう。

また、急性期看護の業務は忙しいため、次々にタスクをこなしていくことが大切です。タスクに追われていても一つ一つ正確に、テキパキ仕事をこなすのが好きな人や、忙しい環境に対応できる体力や精神力を持つ人は向いているかもしれません。

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急性期看護では病状が不安定な患者のケアを行う

  • 急性期看護では患者が24時間体制で集中的な治療・観察を受けている
  • 急性期に携わる看護師は基本的に夜勤を求められることが多い
  • 急性期看護で働くと、基本スキルだけでなく判断力や応用力も身に付けられる
  • 急性期看護で大切なことは向上心や十分な体力を持って働くこと

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