職場・施設情報
障害者グループホームとは?種類や人員配置・給料について解説
「障害者グループホームとは、どのような事業所なのだろう」「生活支援と世話人の仕事内容について、違いを知りたい」などと気になる方もいるでしょう。
障害者グループホームは3種類に分かれています。それぞれでサービス内容や入居者が異なるという点を理解しておきましょう。
本記事では障害者グループホームの概要を説明し、種類や特徴、職員の仕事内容などを解説します。障害者グループホームや福祉業界への就職・転職を検討している方はぜひご覧ください。
障害者グループホームとは
障害者グループホームとは障害者が共同生活し、相談や介護などのサービスを入居者に提供する事業所で、正式名称を共同生活援助といいます。
障害者グループホームの運営目的は、障害者が地域住民と交流しながら、家庭的な雰囲気で共同生活を過ごせる場を提供することです。家庭的な雰囲気を重視しているため、障害者グループホーム1件あたりの入居者数は6名程度と、小規模になる傾向にあります。
小規模であることから、一人ひとりの入居者に寄り添った支援がしたい方に適した事業所であるといえるでしょう。
障害者グループホームの種類
障害者グループホームは、主に介護サービス包括型、日中活動サービス支援型、外部サービス利用型の3種類に分かれています。
種類によってサービスの提供方法や障害の程度、定員が異なるのが特徴です。
介護サービス包括型 | 事業所の職員が介護サービスを提供 | 地域で自立して生活するために、相談・介護・そのほかの援助が必要な障害者 | 新築建物:10名以下 既存建物:20名以下 都道府県知事が必要と認める場合:30名以下 共同生活住居:原則2~10名 |
日中活動サービス支援型 | 事業所の職員がつねに介護サービスを提供 | 地域で自立して生活するために、相談・介護、そのほかの援助が必要な障害者 | 原則:20名以下 +短期入所(定員1~5名) 都道府県知事が必要と認める場合:30名以下 共同生活住居:原則2~10名 |
外部サービス利用型 | 委託された外部の居宅介護事業所が介護サービスを提供 | 地域で自立して生活するために、相談・そのほかの援助が必要な障害者 | 新築建物:10名以下 既存建物:20名以下 都道府県知事が必要と認める場合:30名以下 共同生活住居:原則2~10名 |
介護サービス包括型
介護サービス包括型グループホームの主なサービスは次のとおりです。
- 相談対応や介護(入浴や排泄、食事など)
- 余暇活動といった社会生活上の援助
- そのほかの援助
厚生労働省によると、全国の介護サービス包括型の事業所数は9,134と、3種類の障害者グループホームの中で最も多くなっています(2021年9月時点)。また、入居者の6割以上が知的障害者で、ほかの施設に比べて知的障害の方の割合が大きい点も特徴です。
日中活動サービス支援型
日中活動サービス支援型グループホームの主なサービスは次のとおりです。
- 相談対応や介護(入浴や排泄、食事など)
- 余暇活動といった社会生活上の援助
- そのほかの援助
ほか2種類のグループホームとは違い、昼夜にわたって1人以上の職員がいます。
全国の日中活動サービス支援型の事業所数は419と、3種類の中で最も少数です(2021年9月時点)。これは日中活動サービス支援型の創設が2018年度であることも関係しているでしょう。
また、日中活動サービス支援型全体における入居者の2割弱は、身体障害者です。ほかのグループホームと比較すると、日中活動サービス支援型のグループホームでは、身体障害のある方の占める割合がやや大きいことが分かります。
さらに、入居者の80%弱が障害支援区分4以上で、ほかのグループホームに比べて支援が必要な度合いが高いのも特徴です。
外部サービス利用型
外部サービス利用型グループホームの主なサービスは次のとおりです
- 相談や援助
- 余暇活動といった社会生活上の援助
ほかの2種類のグループホームとは違い、外部サービス利用型では、外部の介護事業所に介護サービスを委託します。相談業務に専念したい職員や、介護業務に体力的不安を感じている職員に適したグループホームといえるでしょう。
全国にある事業所数は1,300(2021年9月現在)です。
また、外部サービス利用型では、精神障害者の占める割合が3種類のグループホームの中で最も大きいのが特徴です。入居者のうち、精神障害者は全体の6割弱を占めています。障害支援区分については、必要な支援の度合いがもっとも低いとされる「区分なし」の入居者が7割弱というのも特筆すべき部分です。
障害者グループホームの利用条件
障害者グループホームの利用条件は次のとおりです。
- 障害者(18歳以上・障害種別は問わない)
- 障害支援区分は関係ない
- 身体障害者の場合は65歳未満の方か、64歳以前に障害福祉サービス(準ずるサービスも含む)を利用した方に限る
障害支援区分が利用の条件ではないため、18才未満の方や一部の身体障害者を除き、障害のある方は原則誰でも利用できます。ただし、施設によっては個別に入居の要件を定めているケースも少なくありません。
障害者グループホームの人員配置
障害者グループホームについて深く理解するためには、人員配置や職種ごとの仕事内容、年収などの理解が大切です。
障害者グループホームの人員配置は基準が定められています。また、種類によって職員の数が異なるの特徴です。
介護サービス包括型 | 1人 | 1人 | 6人に対して1人 | 9人に対して1人 | 0人 | 0人 |
日中活動サービス支援型 | 1人 | 1人 | 5人に対して1人 | 9人に対して1人 | 1人 | 1人 |
外部サービス利用型 | 1人 | 1人 | 6人に対して1人 | 0人 | 0人 | 0人 |
上記は人員基準上の最低配置人数であり、実際に必要な人数は全体の入居者数や入居者の障害支援区分などによって異なるため注意してください。
サービス管理者の数は、入居者数が30人以下の場合を表しています。入居者が31人以上になると、サービス管理者はもう1人必要です。
世話人と生活支援員の数は、入居者数に対して必要な職員の数を意味します。たとえば「6人に対して1」とは「入居者6人に対して1人以上の職員が必要である」という意味です。
障害者グループホームに勤務する職種の役割と年収
この項では、 障害者グループホームで働く職種の役割と年収を見ていきましょう。年収は、介護サービス包括型と外部サービス利用型の2種類の施設における平均額を紹介します。
管理者
管理者は障害者グループホームの最高責任者で、事業所のスタッフや業務など全体のマネジメントが主な仕事です。事業所によっては施設長と呼ばれることもあります。
厚生労働省によると、障害者グループホームで働く管理者の2016年度の平均年収は、以下の表のとおりです。
介護サービス包括型 | 513万6,504円 | 619万5,097円 |
外部サービス利用型 | 423万6,833円 | 302万7,733円 |
管理者の具体的な仕事内容は次のとおりです。
- 利用者の安全確保・健康管理
- 関係機関・地域との連携
- 予算執行と運営管理
- 職員の勤務管理・評価
- 職員教育
上記のように管理者は事業所運営におけるさまざまな仕事を担当するため、障害者福祉の経験やマネジメント能力が求められます。
サービス管理責任者
サービス管理責任者(サビ管)とは、障害者グループホームの入居者に対するサービス提供の責任者です。入居者一人ひとりの個別支援計画作成や、ほかの職員に向けた指導などを行います。
厚生労働省によると、障害者グループホームで働くサービス管理責任者の2016年度の平均年収は、以下の表のとおりです。
介護サービス包括型 | 438万6,100円 | 342万4,997円 |
外部サービス利用型 | 394万9,500円 | 239万4,668円 |
サービス管理責任者の具体的な仕事内容は次のとおりです。
- 入居者のアセスメント
- 個別支援計画の作成と入居者への説明・同意
- 事業所内の支援会議の開催
- 管理者への支援状況の報告
- 職員への技術的指導
このように、サービス提供の管理に関連したさまざまな仕事があります。
なお、サービス管理責任者になるためには、実務経験と研修の受講が必要です。誰でもなれるわけではないため、あらかじめ要件を確認しておきましょう。
世話人
世話人とは、入居者に対する生活全般の世話を担当する職種です。入居者が安心して生活できるよう、生活面での支援や相談対応などを行います。そのため、入居者一人ひとりとのコミュニケーションが重要です。
厚生労働省によると、障害者グループホームで働く世話人の2016年度の平均年収は、以下の表のとおりです。
介護サービス包括型 | 276万2,500円 | 194万2,034円 |
外部サービス利用型 | 272万3,018 円 | 182万6,844円 |
管理者やサービス管理責任者に比べると、平均年収が低くなっています。
世話人の具体的な仕事内容は次のとおりです。
- 食事の準備や清掃、洗濯などの家事全般
- 買い物や病院などへの同行
- 生活記録の作成
- 入居者の相談対応
生活全般の世話が中心で、生活支援の経験や相談業務の能力が求められます。必要資格等はありません。
生活支援員
生活支援員とは、入居者の身体介護を担当する職種です。入居者が生活に困らないよう、さまざまな場面で身体介護や相談対応などを行います。入居者の障害特性を踏まえた身体介護が求められる仕事です。
厚生労働省によると、障害者グループホームで働く生活支援員の2016年度の平均年収は、以下の表のとおりです。
介護サービス包括型 | 334万7,431円 | 230万9,604円 |
外部サービス利用型 | 329万4,546円 | 245万2,234円 |
生活支援員の主な仕事内容は次のとおりです。
- 食事介助
- 入浴介助
- 排泄介助
- 生活記録の作成
- 入居者の相談対応
このように、身体介護が業務の中心となっています。
基本的に資格は必要ないため、未経験でも生活支援員として活躍可能です。ただし、事業所によっては社会福祉士の資格保持者を応募要件として定めていたり、介護関連の資格保持者を優遇したりするケースもあります。生活支援員を目指す場合、資格取得を視野に入れることもおすすめします。
障害者グループホームの仕事はやりがいがある
- 障害者グループホームは、障害者が共同生活を送れる場の提供を目的として運営している
- 障害者グループホームは、地域で自立した生活を目指す障害者に相談対応や介護、そのほかの援助を提供している
- 障害者グループホームには3種類がある
- 管理者やサービス管理責任者、世話人などの人員配置が定められている
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