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介護職員の腰痛対策が知りたい!原因や予防法を紹介
3 days ago
「介護の仕事は腰痛が大変なの?」と心配に思っている方もいるでしょう。介護職員は利用者を抱え上げたり腰をかがめたりと、腰痛を引き起こす動作の多い職業です。対策や予防をせずに介護職を続けていると、腰痛を発症してしまうこともあるでしょう。この記事では、介護職員が腰痛になる原因やおすすめ対処法、予防法を紹介しています。介護職員が腰痛になったら労災がおりるのかにも触れていますので、ぜひご覧ください。
介護職員は腰痛になりやすい?
介護職員は利用者を抱え上げたり腰をかがめたりする動作の多い職業のため、腰痛になりやすいといえるでしょう。
厚生労働省「保健衛生業における腰痛の予防」によると、職場における腰痛発生件数において、社会福祉施設や医療保健業が含まれる保健衛生業は、集計を開始した1993年以降、発生件数が増加を続けています。腰痛発生率(死傷年千人率)は全職種平均が0.1に対し、保健衛生業の腰痛発生率は0.25と全職種の2倍以上です。
このような現状を受けて、国や厚生労働省も介護職員の腰痛予防に関する対策に乗り出しています。
参考:厚生労働省「保健衛生業における腰痛の予防」
介護職員が腰痛になる原因
介護職員が腰痛になる原因を、詳しくみていきましょう。
無理な姿勢を取ることがある
介護職員が腰痛になる原因として一番に挙げられるのは、「無理な姿勢を取ることがある」点です。厚生労働省「介護業務で働く人のための腰痛予防のポイントとエクササイズ」によると、介護職員は業務中、前かがみ・中腰での作業や腰のひねりを長く保つ作業があり、それらが腰部への負担につながっていると考えられます。
移乗やおむつ交換などは前かがみや中腰のまま介助することになり、食事介助の際は、食事を利用者の口に運ぶ際に腰を何度もひねることもあるでしょう。これらの無理な姿勢や動作を繰り返すことで、腰に負担が蓄積して腰痛を発症すると考えられます。
腰痛になりやすい環境で働いている
腰痛の原因として、そもそも腰痛になりやすい環境で働いている介護職員もいることが挙げられます。
施設の通路やトイレ、浴槽などが狭いと、介助のときの姿勢が限定されるため、無理な姿勢を長時間取らざるを得ないケースもあるでしょう。椅子や介護器具が古い場合も、介助のたびに余計な動作が必要となります。また、人員が少ないと急いで介護を行う必要があり、急に立ち上がったり身体をひねったりすることで、腰に負担をかけてしまうこともあるようです。
介護職員と利用者の体格差により腰痛が起こる
要介護者と介護者の体格差により、介護職員は腰痛を引き起こしてしまうこともあります。
小柄な利用者を介助するときは、利用者の体格に合わせて身をかがめたり、中腰になったりすることがあるでしょう。また、自分より身体の大きい利用者を介助するときは、バランスを取るために無理な姿勢で力を入れることもあり、それらが腰痛の原因になります。
介護職員の腰痛の治し方は?おすすめの対処法
介護職員が実際に腰痛を発症してしまった場合は、どうすれば腰痛を治せるのでしょうか。ここでは、おすすめの対処法を紹介します。
痛みが治まるまで正しい姿勢で安静に過ごす
腰痛を発症してしまった直後は、痛みが治まるまで正しい姿勢で安静に過ごしましょう。
厚生労働省「介護業務で働く人のための腰痛予防のポイントとエクササイズ」によると、仕事中にぎっくり腰(腰椎捻挫)になり身体を動かすことが困難な場合は、安静に過ごすことが推奨されています。
横向きか上向きでひざを曲げて、エビのような姿勢で横になるのがおすすめです。柔らかい布団やソファーでは腰に負担がかかるため、固い布団やマットレスの上で横になるのが良いでしょう。また、早めに鎮痛剤を飲むと、慢性的な腰痛防止に効果的です。
安静後に痛みが和らいだら普段どおり生活する
安静後に痛みが和らいだら、できるだけ早く普段どおりの生活に戻ることが大切です。
厚生労働省「介護業務で働く人のための腰痛予防のポイントとエクササイズ」によると、痛みが治まっても安静を続けていると、回復が遅くなったり再発率が高まったりするとされています。
腰痛ベルトやコルセットも、腰の痛みがなくなったら外すようにしましょう。腰痛の再発が怖いからと長期にわたり装着したままにすると、腰回りの筋力低下につながり、かえって腰痛の原因になってしまいます。
整形外科を受診する
安静にしていてもなかなか痛みが引かない場合や、痛みだけでなく足のしびれが出てきた場合は、セルフケアのみで腰痛を治すのは難しい可能性が高いでしょう。このような場合には、整形外科を受診するのがおすすめです。
整形外科では必要に応じて飲み薬や湿布、コルセットなどを処方してもらえるため、自力で治そうとするよりも早い回復が見込めます。また、生活において気を付けるべき姿勢や動作についても指導してもらえるため、再発予防にも効果的でしょう。
参考:厚生労働省「介護業務で働く人のための腰痛予防のポイントとエクササイズ」
介護職員が腰痛になったら労災がおりる?
介護職員の場合、「仕事で腰痛になったら、労災がおりるのでは?」と思った方もいるかもしれません。実際に介護職員の腰痛は、要件を満たせば労災認定の対象になります。
厚生労働省「腰痛の労災認定」によると、労災補償の対象となる腰痛は、労働者に発症した腰痛が業務上のもので、医師により療養の必要があると診断されたものです。つまり、仕事が原因で受傷した腰痛がひどくなり、療養しなければならなくなった場合は、労災がおりる可能性があります。
労災の認定要件は「災害性の原因による腰痛」と「災害性の原因によらない腰痛」の2種類に分けられます。前者の「災害性の原因による腰痛」は、負傷などによる腰痛で、以下の2つの要件をどちらも満たすことが条件です。
- 腰の負傷またはその負傷の原因となった急激な力の作用が、仕事中の突発的な出来事によって生じたと明らかに認められること
- 腰に作用した力が腰痛を発症させ、また腰痛の既往症・基礎疾患を著しく悪化させたと医学的に認められること
一方、「災害性の原因によらない腰痛」は、突発的な出来事が原因ではなく、重量物を取り扱う仕事など腰に過度の負担のかかる仕事に従事する労働者に発症した腰痛です。作業の状態や作業期間などからみて、仕事が原因で発症したと認められるものが条件となっています。
つまり、ぎっくり腰のように仕事中に突然腰痛を発症した場合でも、腰への負担が蓄積して徐々に腰痛がひどくなっていった場合でも、療養の必要がある程度にまでひどい状態であれば、労災対象となる可能性があるといえます。
参考:厚生労働省「腰痛の労災認定」
介護職員が腰痛を予防するには
ここまで、介護職員の腰痛の原因や対処法について解説してきました。今まで腰痛を発症したことがある人も、腰痛になったことがない人も、この先腰痛にならないためにはどのようなことに気を付ければ良いのでしょうか。
作業中の姿勢と動作に注意する
介護職員が腰痛を予防するには、日頃から作業中の姿勢と動作に注意することが重要です。
厚生労働省「介護業務で働く人のための腰痛予防のポイントとエクササイズ」によると、前述のとおり、前かがみ・中腰での作業や、腰のひねりを長く保つ作業が腰部への負担につながります。そのため、作業中は適宜小休止・休息を取ったり、同一姿勢を長時間続けないようにしたりすることを心がけましょう。
具体的な姿勢・動作としては、利用者を抱きかかえるときは、両ひざを伸ばしたまま上体を下方に向ける姿勢を取らないことが大切です。立ったまま利用者を抱え、身体の前方で保持する場面では、できるだけ身体の近くで支え、腰の高さより上に持ち上げないようにすると、腰部への負担を軽減できます。
また、同資料では、作業姿勢と動作に関連したポイントや基本姿勢とパワーポジションについて、以下の8点が述べられています。
- 同一作業や姿勢が長く続かないよう、変化のある作業計画を立てる
- 動作時は腰椎の生理的な前弯(最大に腰椎を沿った状態から少し戻し、前弯が残っている状態)を保つ
- 座位時は腰椎の生理的な前弯を保持した姿勢で保つ
- 作業対象物あるいは利用者に身体を近づけて作業する
- 作業面の高さを上げる
- 低い姿勢になるときはひざを曲げる
- 長時間座って作業することは避ける
- 起床後すぐに腰を曲げた姿勢で作業することはなるべく避ける
- 身体をひねった状態での介助は避ける
上記のことに気を付け、日頃から腰痛を引き起こす姿勢や動作を避けることで、腰痛の発症を予防できるでしょう。
抱きかかえは一人で行わない
介護職員の仕事風景として、利用者を一人の介護職員が正面から起立介助をしたり、移乗させたりする場面が思い浮かぶ人も多いかもしれません。しかし、そのような「抱きかかえ」の動作を単独で行うのは、可能な限り避けるべきとされているようです。
厚生労働省「介護業務で働く人のための腰痛予防のポイントとエクササイズ」によると、腰痛の発症を予防する意味から、利用者の抱きかかえは一人で行わないことが原則と述べられています。抱きかかえは、複数の介護者で対応したり、リフトなどの福祉機器を利用したりすると良いでしょう。
ただし、訪問介護の場合はヘルパーが一人で利用者宅に訪問するため、人手や福祉機器の利用が難しい場合もあります。その際は介護時の作業姿勢や動作をできるだけ工夫しつつ、可能であれば利用者の家族などの支援も得ながら、ヘルパーの腰部への負担を減らす対策が取られているようです。
ノーリフトケアを導入している職場で働く
動作や姿勢に気を付けていても、腰痛になりやすい職場環境で働いていると腰痛を発症してしまうことも考えられます。環境面に問題があると考えられる場合は、「ノーリフトケア」を積極的に導入している職場で働くことも考えてみましょう。
厚生労働省「第14次労働災害防止計画の概要」によると、厚生労働省は介護・看護事業者に対して、身体の負担軽減のための介護技術や介護機器などを導入し、抱え上げない介護・看護である「ノーリフトケア」に取り組むことを推進しています。リフトやスライディングボード、スタンディングマシーンなどを導入していたり、特定の介護職員にのみ身体の負担がないよう業務割り振りを工夫していたりする事業所では、腰痛の心配が少なく働けるでしょう。
仕事中にストレッチを取り入れる
介護職員は、腰痛予防のために仕事中に短いストレッチを取り入れてみましょう。
厚生労働省「介護業務で働く人のための腰痛予防のポイントとエクササイズ」によると、介護職員は腰痛予防のためにストレッチが効果的とされています。腰痛は腰部やその周囲の筋肉が緊張することによって引き起こされるため、予防のためには、ストレッチにより腰部や背中、脚の筋肉の柔軟性を保ち、血流量を増やし、さらに気持ちをリラックスさせて筋緊張を低下させることが重要です。
自宅でゆっくりしているときだけでなく、職場で作業の合間にも前ももやふくらはぎ、腰部を伸ばすストレッチを行うと、疲労回復やけがの予防になるでしょう。施設の手すりや机、椅子を支えにしてストレッチを行うのもおすすめです。ただし、可動式の机や椅子を支えにストレッチを行うとケガをする恐れがあるため、ストレッチの際は危険予知確認を行ったうえで実施しましょう。
お風呂やマッサージで筋肉をほぐす
介護職員の腰痛予防には、お風呂に浸かったりマッサージを受けたりして筋肉をほぐすことも大切になります。
前述のとおり、腰痛予防に効果的なのは筋肉の柔軟性を保ち、血流量を増やし、筋緊張を低下させることです。そのため、忙しい日や暑い日もお風呂をシャワーで済まさずに、お湯に浸かって筋肉を温めるのがおすすめです。また、セルフケアだけで筋肉のコリを取るのが難しいと感じる人は、整体やマッサージで筋肉をほぐしてもらうと、疲労回復や腰痛予防になるでしょう。
参考:厚生労働省「介護業務で働く人のための腰痛予防のポイントとエクササイズ」
介護職員の腰痛は適切な対処で予防・対応できる
- 介護職員は仕事で無理な姿勢を取ることが多く、ほかの職種より腰痛になりやすい
- 介護職員の腰痛は安静にして良くならない場合は整形外科を受診すると良い
- 介護職員の腰痛は要件を満たし療養が必要だと判断されれば労災がおりることもある
- 介護職員が腰痛を予防するには日頃から姿勢や動作に気を付けることが重要
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