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紹介状の封筒の書き方は?御侍史・御机下の使い方や注意点も紹介
a day ago
「紹介状の封筒の書き方がよく分からない」という方もいるでしょう。紹介状の封筒には、相手へ敬意を表す「御侍史」や「御机下」という言葉を用いるのがポイントです。この記事では、紹介状の封筒に書く内容や書くときに気を付けるポイントについて紹介します。紹介状の役割についても解説するので、ぜひ参考にしてください。
紹介状の役割とは
紹介状とは、医師が患者をほかの医療機関の医師に紹介する際に作成される書類のことです。正式には「診療情報提供書」と呼ばれます。
紹介状は、セカンドオピニオンを受けたいなどの理由で患者から依頼を受けて作成する場合と、自院では行えない専門的な検査や手術、入院が必要だと判断して紹介目的で作成する場合があります。地域のクリニックや比較的規模の小さい病院などでは、このような理由により紹介状を作成することが多いでしょう。
また、厚生労働省「外来(その3)」によると、大規模病院と比較的規模の小さい医療機関との役割を明確化するため、「紹介・逆紹介」を推進する取り組みが行われています。「逆紹介」とは、大病院での治療や手術などを終え、状態が安定した患者がかかりつけ医に戻る仕組みのことです。大病院では、逆紹介の際に紹介状を作成する機会が多いと考えられます。
紹介状には、下記のような内容が記載されることが一般的です。
- 患者の基本情報(氏名や性別、生年月日、住所など)
- 紹介の目的(検査や入院、手術など)
- 病名や主な症状
- 治療経過、投薬内容
- そのほかの特記事項(アレルギーの有無や入院歴、患者本人・家族の希望など)
紹介状には患者の個人的な情報が記載されているため、作成された紹介状は封がされた状態で、患者を介してもしくは郵送で紹介先の医師に手渡されます。紹介状は一般的に、医師や医療クラーク(医師事務作業補助者)が作成を行いますが、紹介状の封筒は、医療クラーク(医師事務作業補助者)や医療事務、看護師が準備し宛名を書くことが多いようです。
参考:厚生労働省「外来(その3)」
紹介状の封筒の書き方
紹介状を入れる封筒には、どのような情報を記載すれば良いでしょうか。紹介状の封筒に書く内容の一例を、表面と裏面に分けて紹介します。
表面
封筒の表面に記載する内容は以下のとおりです。
- 郵便番号・住所(郵送の場合のみ)
- 紹介先の病院名
- 診療科
- 担当医師名
紹介先の担当医師名は、氏名の後に「先生」と付けるのが一般的です。同じ名字の医師が複数在籍している場合を考慮し、宛名はフルネームで書いておくと良いでしょう。
また、「先生」の後ろに「様」を付ける必要はありません。「先生様」という表現は二重敬語にあたるとして、使用が避けられることもあるようです。
紹介先の担当医師の氏名が分からない場合は、「担当医先生」と記載します。場合によっては「御担当医先生」や「ご担当医先生」と書かれることもあるようですが、「先生」は敬称であるため、「御(ご)」を用いなくても失礼にはあたりません。
裏面
紹介状の封筒の裏面には、紹介元の情報を書くことが多いでしょう。主に封筒の裏面に書かれる項目は以下のとおりです。
- 紹介元(自院)の病院名
- 病院の住所
- 診療科名
- 担当医師名
- 電話番号
病院情報が印字されている専用の封筒を使う場合は、重複する項目は重ねて記載する必要はありません。
電話番号やFAX番号など、印字されている内容に不備はないか確認し、正しい情報が印字された封筒を使用しましょう。
紹介状の封筒に書く脇付とは
「脇付」とは、相手への敬意を表すため、手紙の宛名の脇(下または左下)に添える言葉のことです。紹介状では、「御侍史(おんじし、ごじし)」や「御机下(おんきか、ごきか)」という脇付が使われるのが一般的です。それぞれの意味については、後述にて詳しく説明します。
現代社会において、日常生活で脇付を使う機会はほとんどありませんが、医療業界では目にする機会が多いでしょう。脇付は、医師宛ての紹介状や手紙におけるマナーの一つとして使用されているようです。
御侍史とは
そもそも「御侍史」とは、「侍史」という言葉に尊敬・丁寧の意味を表す「御」が付いて出来た言葉です。「侍史」は昔、地位の高い人に仕えていた秘書や付き人にあたる人のことを指します。
「御侍史」には、「先生に直接手紙をお出しするのは恐れ多いため、お付きの方を通してお渡しします」という意味が込められています。そのため、秘書がついている医師に宛てた紹介状の場合は言葉の意味どおり、秘書が書類を開封し内容を医師に伝えることもあるようです。一方で、直接医師が中身を確認することも珍しくないため、秘書の有無を気にせずに「御侍史」を使っても特に問題はないとされています。
御机下とは
「御机下」とは「御侍史」と同様、「机下」という言葉に尊敬の意を表す「御」が付いて出来た言葉です。「机下」とは文字どおり、机の下を意味します。
「御机下」には、「先生に手紙を直接お渡しすることは恐れ多いため、机の下に置かせていただきます」という意味が込められています。あくまで、相手を敬う気持ちを伝えるための表現であり、手紙が医師のデスクの下に置かれることはありません。実際には、医師に直接もしくは秘書を通して渡されます。
「御机下」と「御侍史」は意味合いに大きな違いはありません。ただし、紹介先の医師の氏名が分からない場合は、「御侍史」を使うことが多い傾向にあるようです。どちらを用いるべきか判断に迷う場合は、「御侍史」を使うほうが良いでしょう。
脇付の使い方
脇付は、相手の氏名の脇に書き添えます。縦書きの場合は相手の氏名の下または左下に、横書きの場合は横または右下に書きましょう。字の大きさは、相手の氏名より少し小さめに書かれることもありますが、同じ大きさで書かれていても失礼にはあたりません。
紹介状の封筒の書き方で気を付けるポイント
紹介状の封筒を書く際に気を付けるポイントを3つ紹介します。ここまで紹介してきた、紹介状の封筒に書く内容や脇付の使い方と併せてチェックしてみてください。
紹介元の情報を不備なく記載する
紹介元の情報は、紹介状に不備があった際の問い合わせ先として、不備なく記載しておく必要があります。紹介元の診療科や担当医師名などの情報は、基本的に紹介状に書かれている内容ですが、問い合わせ先の電話番号までは書かれていないこともあります。紹介状の内容に不明点や不備があった場合のため、連絡先を記載しておくと良いでしょう。
宛名には脇付を使う
紹介状はほかの医療機関の「医師」に宛てた書類であるため、宛名には脇付を添えるようにしましょう。「御侍史」や「御机下」は、医師以外には使わない脇付です。医師以外の医療スタッフに書類を送る場合は「様」や「御中」などを使い、「御侍史」や「御机下」は使わない点に注意しましょう。
ルールよりマナーが重要視されることもある
前述のとおり、脇付は相手への敬意を表す一種のマナーとして用いられています。そのため、一般的な表現のなかには、言葉の使い方のルールとしては適切ではないと考えられるものもあるようです。
たとえば「◯◯先生 御侍史」という表現は広く一般的に使われていますが、敬称である「先生」と「御」を併用すると二重敬語になってしまうため適切ではない、という考え方もあります。一方で、二重敬語を避け「侍史」や「机下」と表記した場合、「御」の字がなく無礼な印象をもつといったことも起こり得るでしょう。
また、紹介状の封筒の表面に「紹介状(診療情報提供書)在中」といった文言を書くケースもあります。「◯◯在中」のような外脇付けと呼ばれる言葉は、脇付とは併用すべきではないという考え方があるようです。しかし、医療現場では、封筒の中身が一目で分かるようにあえて外脇付けを記載している場合もあると考えられます。
このように、言葉の使い方のルールと相手への敬意や配慮との間で齟齬が生じ、判断に迷うこともあるでしょう。紹介状の封筒を書く際は、言葉の使い方にはいろいろな解釈があることを知ったうえで、勤務先の医療機関でのやり方に合わせるのがベターといえます。
紹介状の封筒は宛名の書き方に気を付ける
- 紹介状の封筒では「先生」を用いる書き方が一般的で、「様」は併用しない
- 紹介状の封筒は、「御侍史」「御机下」といった脇付を用いた書き方をすることが多い
- 紹介状の封筒の書き方では、言葉のルールよりマナーが重要視されることがある
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