豆知識

介護保険証とは?交付対象者や使用場面について解説

介護業界で働くことを検討している方の中には、「介護保険証とはどのようなものなのだろう」「介護に関わるうえで必要な基礎知識を身に着けておきたい」という方もいるでしょう。
介護保険証と健康保険証の違いや、介護保険証を使用する場面などの知識は、介護業界で働くなら最低限備えておきたいものです。
本記事では介護保険証の概要を説明し、交付対象者や使用場面などをわかりやすく解説するので、ぜひ参考にしてみてください。

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介護保険証とは

介護保険証とは、介護保険被保険者証の略称で、介護サービスを受ける際に必要な証明書のことです。被保険者が要介護・要支援認定を申請する際に提出します。発行元は、被保険者が住む市区町村や広域連合です。

要介護・要支援認定とは、介護や支援を必要とする人に対して、必要なサポートのレベルを数字で判定することをいいます。要介護・要支援認定は、介護サービスを受けるために欠かせません。つまり、介護保険証を持っているだけでは、介護サービスを受けられないことに注意が必要です。

また、原則として介護保険証は、被保険者である65歳以上の人全員に交付されます。ただし、40歳以上64歳以下の方でも、特定の病気によって介護が必要となった場合は、被保険者になることを覚えておきましょう。

健康保険証との違い

健康保険証とは、医療機関などで保険診療を受ける際に必要な証明書のことです。日本では、「国民皆保険制度」という仕組みによって、国民全員が健康保険に加入することを義務付けられています。

健康保険証には、次の3種類があります。

                 
健康保険被保険者証・主に会社員が対象
・運営は協会けんぽや共済組合など
・被保険者の医療費負担は原則3割
国民健康保険被保険者証・主に自営業の人やフリーランスが対象
・運営は都道府県や市区町村
・被保険者の医療費負担は原則3割
後期高齢者医療被保険者証・主に75歳以上の人が対象
・運営は後期高齢者医療広域連合
・被保険者の医療費負担は原則1〜3割(所得によって異なる)

日本では、国民全員が上記のいずれかの健康保険証を持っていることになります。

介護保険証と健康保険証の違いに関しては、次の表にまとめました。

介護保険証
健康保険証
対象者 65歳以上
(または、特定の病気を持つ40〜64歳)
全員
利用場面 介護サービスの利用時 病院受診時
保険サービスの利用条件 要支援・介護認定を受ける 窓口で保険証を提示する
負担割合 原則1割~3割 原則1割~3割

大きな違いは、対象者と利用場面です。自己負担の割合については、いずれも一定以上の所得がある人は2〜3割となります。

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介護保険証の交付対象者

以下2つのいずれかに該当する人が介護保険証の交付対象です。

  • 65歳以上の人
  • 40〜64歳で介護が必要な人

交付のタイミングや交付元など、それぞれの詳しい内容を解説します。

65歳以上の人

65歳以上の人は、基本的に介護保険の第1号被保険者と定められています。介護サービスや給付金の受給要件は、要介護・要支援認定を受けることです。介護保険証は、原則として65歳に達する月の前月末を迎えるころに、住民登録している市区町村から自宅に送付されます。
なお、要介護認定には有効期限があり、認定を受けた場合は、要介護認定および介護保険証の定期更新が必要となります。ただし、要介護認定を受けていない人は介護保険証の更新は不要です。

また、65歳以上の人の介護保険料は、市区町村により年金から天引きされます。徴収対象は40歳に達した人全員ですが、40歳~64歳の方の納付先は異なるため、詳しくは後述します。

40〜64歳で介護が必要な人

40〜64歳で医療保険に加入している人は、介護保険の第2号被保険者と定められています。受給要件は第1号被保険者と同じように、要介護または要支援に認定されることです。

ただ、認定の要因は次の特定疾病に限定されています。

  • がん(医師が一般に認められている医学的知見に基づき回復の見込みがない状態に至ったと判断したものに限る)
  • 関節リウマチ
  • 筋萎縮性側索硬化症
  • 後縦靱帯骨化症
  • 骨折を伴う骨粗鬆症
  • 初老期における認知症
  • 進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症およびパーキンソン病
  • 脊髄小脳変性症
  • 脊柱管狭窄症
  • 早老症
  • 多系統萎縮症
  • 糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症および糖尿病性網膜症
  • 脳血管疾患
  • 閉塞性動脈硬化症
  • 慢性閉塞性肺疾患
  • 両側の膝関節又は股関節に著しい変形を伴う変形性関節症

引用:厚生労働省

特定疾病とは加齢との医学的関係があると考えられる疾病です。以下すべての要件を満たすもので、介護状態の原因になる病気を指します。

  • 65歳以上の高齢者だけでなく、40〜64歳の人にも発生している
  • 加齢との関係が認められ、医学的概念を明確に定義できる
  • 3〜6ヶ月以上続けて、要介護または要支援状態になる割合が高い

第2号被保険者が要介護認定を申請する際は、加入する医療保険の保険証の提出が必要です。
介護保険料は、40歳になった月から医療保険料と一緒に徴収されます。納付先は65歳以上の人とは異なり、健保組合となります。また、医療および介護保険料は給与から天引きされるのが一般的です。

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被保険者が介護保険証を使用する場面

介護保険証を使用する場面は、主に次のようなときです。

  • 要介護認定の申請を行うとき
  • 介護サービスの計画書作成を依頼するとき
  • 介護給付費の支給申請を行うとき(介護保険サービスを使うとき)

いずれもケアマネジャーや介護事務などの仕事をする場合は大きく関わることになるでしょう。

要介護認定の申請を行うとき

要介護認定の申請を行う際に、介護保険証は欠かせません。
要介護認定は保険者である市区町村の介護認定審査会により判定され、その結果で要介護度が決まる仕組みになっています。

要介護認定の詳しい手順は、次のとおりです。

要介護認定の手順
内容
①市区町村に要介護認定の申請 申請の際は介護保険証が必要
40〜64歳の人は医療保険証で申請
②認定調査と主治医の意見書作成 調査員による自宅での調査
主治医意見書は市区町村から依頼
③審査の判定 介護認定審査会による判定
・状況調査(認定調査)と主治医の意見書に基づくコンピューターによる一時判定
・一次判定の結果に基づく介護認定審査会による二次判定
④認定完了 申請から30日以内に通知
新規の有効期間は原則6ヶ月
(更新の場合は原則12ヶ月)
⑤介護サービス計画書の作成 要介護の人は居宅介護支援事業所のケアマネジャーに依頼
要支援の人は地域包括支援センターのケアマネジャーに依頼
⑥介護サービスの利用開始 さまざまな介護サービスが利用可能
サービス利用時も介護保険証の提示が必要

介護保険の第2号被保険者(40〜64歳の人)の場合は、介護保険証ではなく加入している医療保険証を使用し要介護認定の申請を行います。

介護サービスの計画書作成を依頼するとき

介護保険証は、介護サービス計画書の作成を依頼するときに使用します。介護サービス計画書とはケアマネジャーが作成するもので、要介護認定を受けた人が介護保険によるサービスを利用する際に必要です。ケアプランとも呼ばれています。

介護サービス計画書を作成する際には、介護保険証に記載されている次の内容が必要です。

  • 利用者名
  • 生年月日
  • 住所
  • 認定日
  • 認定の有効期間
  • 要介護状態区分
  • 区分支給限度基準額

要介護認定は要介護1〜5、要支援1〜2に分かれており、それぞれ次のように介護サービス計画書の作成担当者が異なります。

  • 要介護1以上の人:居宅介護支援事業所のケアマネジャー
  • 要支援の人:地域包括支援センターのケアマネジャー

また、介護サービス計画書は次のように、居宅サービスと施設サービスに分けられます。

                                                                                                   
居宅サービス計画書施設サービス計画書
第1表居宅サービス計画書(1)第1表施設サービス計画書(1)
第2表居宅サービス計画書(2)第2表施設サービス計画書(2)
第3表週間サービス計画表第3表週間サービス計画表
第4表サービス担当者会議の要点第4表日課計画表
第5表居宅介護支援経過第5表サービス担当者会議の要点
第6表サービス利用票(兼居宅サービス計画)第6表施設介護支援経過
第7表サービス利用票別表

介護現場で働く際に、介護サービス計画書は必ず使用するものです。サービス表の種類や名前程度は知っておくとよいでしょう。

介護給付費の支給申請を行うとき

介護給付費の支給申請を行うときにも、介護保険証が必要になります。介護給付費とは介護保険サービスを利用する際に、市区町村が負担するお金のことです。介護保険サービス利用時には、介護保険証を提示する必要があります。

介護保険サービスの自己負担は原則1割のため、残りの9割の部分が介護給付費です。ただし、所得によって自己負担が2〜3割になることもあるため、注意しましょう。

また、介護給付費の支給を申請する際は、介護保険証とともに介護保険負担割合証の提示が必要です。

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被保険者が介護保険証を利用して受けられるサービス

介護保険証があると、要支援・要介護認定を受けた被保険者はさまざまな介護サービスを受けられます。次の表にサービスの具体例をいくつかまとめたので、参考にしてみてください。

サービス
内容
訪問介護 訪問介護員が利用者の自宅を訪問し、入浴・排せつ・食事などの介護や調理・洗濯・掃除などの家事を行う
短期入所生活介護(ショートステイ) 施設に短期間宿泊する利用者に対して、食事や入浴などの支援や、機能訓練の支援などを行う
特別養護老人ホーム 施設に長期入所する利用者に対して、食事・入浴・排せつなどの 介護を24時間体制で提供する
(※原則要介護3以上の人が対象)
通所介護(デイサービス) 日帰りで施設に通所する利用者に対して、食事や入浴などの支援や、心身の機能の維持や向上のための機能訓練などを提供する
小規模多機能型居宅介護 自宅で生活を送る利用者に対して、施設への「通い」、短期間の「宿泊」、自宅への「訪問」を組み合わせて、支援や機能訓練などを行う

サービスごとに利用する人の目的や特徴などが異なるので、自分がどういった施設で働きたいかイメージしてみるとよいでしょう。

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介護業界で働くなら介護保険証の知識を身につけよう

  • 介護保険証を持っているだけでは、介護サービスは受けられない
  • 介護サービスを受けるためには要介護認定を受ける必要がある
  • 介護保険証の交付対象者は65歳以上の人か40〜64歳で介護が必要な人
  • 介護保険証は介護サービス計画書を作成するときや要介護認定の申請を行うときなどに利用する
  • 介護保険証があると訪問介護や短期入所生活介護(ショートステイ)などのサービスを受けられる

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