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透析看護師とは?仕事内容や向いている人の特徴を紹介
14 hours ago
「透析看護師は何をしているの?」と疑問に思う方もいるでしょう。透析看護師は病院の透析室や透析専門クリニックなどに勤務し、透析の実施に関わる業務を行います。この記事では、透析看護師の詳しい仕事内容や1日の流れ、おすすめの資格をご紹介。透析看護師として働くメリット・デメリットや、向いている人の特徴にも触れていますので、ぜひ参考にしてください。
透析看護師とは?
透析看護師とは、病院の透析室や透析を行うクリニックに勤務し、人工透析に関わる業務を行う看護師のことです。
厚生労働省「糖尿病性腎症Q&A」によると、人工透析とは「機能が著しく低下した腎臓に代わり、機械で老廃物を取り除くこと」です。人工透析には血液透析や腹膜透析があり、同資料によると、「一般的に行われている『血液透析』は、患者さんの腕の血管から血液を取り出し、老廃物を除去してきれいにする方法」とされています。
透析看護師として働く場合、主に血液透析に関する身の回りの業務を行うことになるでしょう。
透析看護師の仕事内容
透析に関わる業務を行う透析看護師の仕事内容について、詳しく紹介します。
透析準備・実施・終了
透析看護師の主な仕事は、透析の準備から実施、終了までの一連の処置です。
透析前には、患者に体調の変化がないかバイタルチェックを行い、透析をするために増設された「シャント」部分にもトラブルがないか確認します。透析を行えると判断したら、透析ベッドに寝ている患者のシャントに針を刺す「穿刺」を行い、透析の機械を作動させます。
血液のろ過が終わったら、透析の機械に残った血液を患者の体内に戻し、穿刺していた針を抜きます。透析の針は太いので、抜針後は適切な止血処置を行い、透析完了後もバイタルに問題がないことを確認できたら、透析終了です。
透析中の患者の看護・容体のチェック
透析中の患者の看護や容体のチェックも、透析看護師の重要な仕事です。
透析が始まれば、3~4時間後に終了するまで看護師は基本的につきっきりで操作や調整を行う必要はないとされています。ただし、透析をすると患者の血液は体内外を行ったり来たりするため、患者は体内の水分のバランスが崩れ、気分が悪くなることもあるようです。
そのため、透析中でも透析看護師は患者の容体に変わりがないか常にチェックし、患者に気分不良や意識消失などが起こった場合には速やかに対応します。
患者の健康管理・健康指導
透析看護師は透析を実施するだけでなく、患者の健康管理のために健康指導を行うことも重要な業務です。
病状悪化や合併症予防のため、医師だけでなく透析看護師も、体重管理や食事制限、運動・仕事の制限など、健康管理に関する指導を行います。
透析看護師の1日のスケジュール
透析看護師の業務の流れはどのようになっているのでしょうか。ここでは、透析看護師の1日のスケジュールについて紹介します。
午前8時 | 出勤、朝礼、1日の流れを確認 |
午前8時15分 | 透析準備、患者受付開始 |
午前8時30分 | バイタルチェック、透析開始(1クール目) |
午前10時 | バイタルチェック、患者の容体観察 |
正午 | 透析終了、止血 |
午後1時 | 交代で休憩 |
午後1時30分 | バイタルチェック、透析開始(2クール目) |
午後3時 | バイタルチェック、患者の容体観察 |
午後5時 | 透析終了、止血 |
午後5時30分 | 環境整備、退勤 |
透析看護師が働く職場では、透析が必要な患者が時間をずらして訪れるようになっており、1日に2~3クール実施できるのが一般的です。病院の透析室では、入院中で透析が必要な患者と、外来で透析に通う患者の両方を受け入れます。
透析中は患者の容体が変化する可能性はありますが、病棟と比べて患者の容体は比較的落ち着いているため、急変対応や残業はあまりないでしょう。
透析看護師は特別な資格が必要?
透析看護師になるには特別な資格が必須ではなく、看護師免許を持っていれば透析看護師になれます。透析機器の操作も特別な資格は不要ですが、働きながら疾患の知識や機器の操作方法などを覚えていく必要があります。
腎臓内科や泌尿器科での勤務経験があると、知識を活かせて転職時に有利になりやすいでしょう。
透析看護師のステップアップに役立つ資格
前項のとおり、透析看護師になるには特別な資格は不要ですが、ステップアップに役立つ資格がいくつかあります。ここでは、代表的な資格を2つ紹介します。
認定看護師の腎不全看護分野
日本看護協会「認定看護師」によると、認定看護師とは、ある特定の看護分野において熟練した看護技術と知識を有する者として、日本看護協会の認定を受けた看護師のことです。認定看護師は、専門性の高い看護実践や指導、相談が行える看護師とされています。認定看護師の認定分野は19分野あり、そのうち、透析や腎臓病に関する看護の認定を行うのが「腎不全看護分野」です。
腎不全看護分野の認定看護師になるには、看護師の実務経験が5年以上、うち3年以上は腎不全看護分野の実務経験が必要です。そのため、今から透析看護師になりたい方ではなく、透析看護師としてキャリアを積んだ後に、ステップアップしたい方向けの資格であることが分かります。
実務経験の条件を満たすと、認定看護師教育機関で決められたカリキュラムを修了することになります。日本看護協会「認定看護師教育基準カリキュラム」によると、腎不全看護分野では、認定看護師共通科目が380時間、専門科目が232時間、演習・実習が165時間の計777時間のカリキュラムになります。教育カリキュラムでは、腎代替療法や透析療法、急性血液浄化療法に関する学習が行われるようです。カリキュラムを修了し、筆記試験に合格すると資格を取得できます。資格を継続するには、取得後5年ごとに更新手続きが必要です。
慢性腎臓病療養指導看護師
一般社団法人日本腎不全看護学会「CKDLNとは」によると、慢性腎臓病療養指導看護師とは、慢性腎臓病看護現場において 熟練した看護技術と知識を用いて水準の高い看護実践ができる看護師を認定する資格制度で、略称は「CKDLN」です。
一般社団法人日本腎不全看護学会「第22回慢性腎臓病療養指導看護師(CKDLN)認定審査要項」によると、慢性腎臓病療養指導看護師の受験資格を得るには、以下のすべてに当てはまる必要があります。
- 看護師免許の実務経験が年度末(8月31日)時点で通算5年以上、うち慢性腎臓病看護領域の実務経験が年度末(8月31日)時点で通算3年以上ある
- 日本腎不全看護学会正会員歴が通算3年以上ある(年会費を3回以上納入している)
- 慢性腎臓病領域の看護実践に関する事例報告を1事例提出している
- 一般社団法人日本腎不全看護学会が認定する認定ポイントを30ポイント以上取得している
認定ポイントは、学会などへの発表・参加や学会誌における論文掲載、 慢性腎臓病領域に関する講演や講義を行うことで得られるようです。受験申し込みを行い、事例報告の内容を審査され受験資格が得られると、筆記試験が受けられます。筆記試験に合格すると資格が得られる仕組みです。
透析看護師として働くメリット
透析看護師として働く場合、どのようなメリットが得られるのでしょうか。
身体への負担が少ない
透析看護師の仕事は、病棟や介護施設勤務と比べると、身体への負担が少ないといえます。特に、クリニックに来る透析患者のADLは基本的に自立しているため、移乗や体位交換を頻回にすることはないでしょう。急患や急変の対応がほぼなく、残業が少ないことも、身体への負担が少ない理由といえます。
ワークライフバランスが取りやすい
病院の透析室やクリニックは、ほとんどが日勤のみの勤務形態のため、透析看護師はワークライフバランスが取りやすい働き方ができます。子育てや介護中の方も働きやすく、プライベートとの両立がはかりやすいでしょう。
なお、近年では夕方から夜にかけてのクールや夜間寝ている間に透析を実施できるクールを採用している医療機関もあり、その場合は夜遅くからのシフトがあるため、就職の際は確認が必要です。
専門的な看護技術を身に付けられる
透析看護師は、腎疾患や透析に関する専門的な知識や技術を身に付けられます。看護師が活躍できる医療機関や診療科は幅広いですが、透析に関われるのはほぼ透析看護師だけでしょう。そのため、透析看護師になると、ほかの診療科や部署の看護師にはない知識や技術を身に付けられます。また、透析看護師としての経験があれば、転職の際、透析を行う医療機関から重宝されるでしょう。
透析看護師として働くデメリット
透析看護師として働くうえで、デメリットも存在します。どのようなデメリットがあるのかも、確認しておきましょう。
基本的に仕事はルーティンワーク
透析看護師の仕事は、毎日の流れが決まっています。基本的に透析に関わる業務のみを担当するため、仕事を覚えるとルーティンワークとなり、物足りなさを感じることも。そのため、毎日同じ仕事を行うのが苦手な人には、透析看護師の仕事は向いていないかもしれません。
日常業務の中でスキルアップしていくのも難しいため、透析看護師としてスキルアップしたい人はキャリアを積むだけでなく、資格を取るのがおすすめです。
オープンフロアにストレスも感じることもある
透析室は「オープンフロア」といって、大きな部屋に仕切りなくベッドが並んでいる空間になっています。ほかの患者や職員から常に見られている状態になるため、仕事中にプレッシャーやストレスを感じる人もいるでしょう。
透析看護師は1クールに4~5人の患者を受け持つため、1人の患者に付いてケアしているときは、ほかの患者を待たせることもあります。何も言われなくてもほかの患者や職員から急かされているように感じ、仕事がやりづらくなることもあるようです。
長期休暇が取りにくい
透析看護師は、長期休暇が取りにくいことがあります。透析患者は腎臓の機能が失われているため、血液に老廃物が溜まり続けないように、1~2日おきに必ず透析を受けなければなりません。そのような透析患者を受け入れるため、透析を行う医療機関はお盆や正月も開院して透析を行っています。日曜・祝日や長期休暇中は外来のみ休診にして、透析室は通常通り開けるケースが多いようです。
そのため、透析看護師はまとまった休みを取るのが難しいことが多く、お盆や正月などの長期休暇期間中に出勤を求められることもあります。
透析看護師に向いている人の特徴
ここまで透析看護師のメリット・デメリットを紹介してきましたが、どのような人が透析看護師に向いているのでしょうか。透析看護師に向いている人の特徴は以下のとおりです。
- ルーティンワークが好きな人
- 患者と長く向き合いたい人
- 専門知識や技術を身に付けたい人
前述のとおり、透析看護師は腎疾患や透析に関する専門知識や技術が身に付けられるうえ、仕事を覚えれば日々の業務がルーティン化します。そのため、ルーティンワークが好きな人や、専門知識や技術を身に付けたい人に向いているでしょう。
また、透析患者は腎移植をしない限り、生涯にわたって透析を続けなければなりません。透析看護師は患者と長く付き合うことになり、患者が透析に来るたびに2~3日に1度は顔を合わせることになります。患者の気持ちに寄り添い、信頼関係を築きながら長い時間をかけて治療のサポートを行いたい方にも、透析看護師は向いているでしょう。
透析看護師は透析の安全な実施をサポートしている
- 透析看護師は、透析室や専門クリニックで働いている看護師のこと
- 透析看護師は、透析の穿刺や止血、実施中の患者のケアなどを行う
- 透析看護師に特別な資格は不要だが、腎臓内科や泌尿器科での勤務経験があるとよい
- 透析看護師はルーティンワークが好きな人や専門技術を身につけたい人に向いている
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