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看護師のクリニックでの仕事は?1日の流れや向いている人を紹介

「看護師はクリニックでどのような仕事をしているの?」と疑問に思う方もいるでしょう。クリニックの看護師は、医師の診療補助や点滴・注射などの処置、院内の環境整備などの仕事を行います。この記事では、クリニックの看護師の具体的な仕事内容や1日のスケジュールをご紹介。そもそもクリニックとはどのような医療機関なのかや、働くのに向いている人の特徴にも触れていますので、ぜひ参考にしてください。

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クリニックとは

そもそもクリニックとはどのような医療機関なのか、定義を確認しておきましょう。 総務省e-Gov法令検索「医療法」によると、クリニック(診療所)については、医療法第一条の五の2で以下のとおり定義されています。

  • 「診療所」とは、医師またはは歯科医師が、公衆または特定多数人のため医業または歯科医業を行う場所であって、患者を入院させるための施設を有しないものまたは19人以下の患者を入院させるための施設を有するものをいう。

つまり、クリニックは医療機関のうち、無床または病床数19人以下の施設のことです。医療機関の名称によく使われている「クリニック」や「〇〇医院」などは、すべて「診療所」を指しています。

厚生労働省「医療施設動態調査(令和6年7月末概数)」によると2024年7月末現在、医科の診療を行っている一般診療所は全国に10万5,126ヶ所あります。そのうち有床診療所が5,447ヶ所、無床診療所が9万9,679ヶ所となっているため、診療所の9割以上が無床診療所です。なお、同調査において一般病院は7,007ヶ所であるため、病院より診療所のほうが数が多いことがわかります。

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看護師のクリニックでの仕事内容

クリニックの看護師の仕事内容について、詳しく紹介します。

問診

クリニックの看護師は、初診の患者に必ず問診を行います。問診とは、医師の診察がスムーズに進むように、診察の前にあらかじめ患者から主訴や治療に関する希望、既往・アレルギー歴などの基本情報を聞くことです。患者に問診表を書いてもらい、患者と一緒に問診表を見ながら確認を行って、診察前に医師へ情報を連携します。再診の患者には問診を行わなかったり、口頭での確認のみで問診を済ませたりすることもあるようです。

問診では、看護師は患者の様子や問診表の内容を見ながら、短い時間で適切なアセスメントを行う能力が求められます。アセスメントの結果次第では、必要に応じて診察の順番を早めたり、ベッドに案内して診察まで横になってもらったりと、患者ごとに適切な対応をとることが必要です。

医師の診療・検査補助

クリニックの看護師は、医師の診療や検査を補助する業務を行います。看護師は担当ごとに分かれ、診察室への呼び出しや処置を担当したり、医師と共に診察室に入って聴診や触診の補助をしたりすることが多いようです。内視鏡検査など、医師が行う検査が施行されるクリニックでは、看護師も処置室に入って補助を行います。

処置・検査

基本的な看護業務である点滴・注射・採血や、血圧や体温などのバイタルチェックもクリニックの看護師の仕事です。診療科によっては視力検査や聴力検査、鼻洗浄なども行います。

器具や備品、薬品の管理

診療や検査で使用する医療器具の片付けと準備、消毒・滅菌処理も看護師が行います。備品発注や在庫管理、使用する薬品の管理も看護師の担当です。

受付や環境整備など

受付の事務員がいない、もしくは少ないクリニックでは、看護師がクリニックの受付や会計、電話対応を行うこともあります。ほかにも診療時間外に院内外の清掃を行ったり、事務業務を行ったりすることもあるようです。

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クリニックの看護師の1日のスケジュール

クリニックの看護師の1日のスケジュールをみてみましょう。

時刻
スケジュール
午前8時30分 出勤、診療準備、清掃
午前9時 午前の診察開始、問診、診療補助
午後1時 午前の診察終了、片付け、休憩
午後2時30分 午後の診察開始、問診、診療補助、検査
午後6時 午後の診察終了、片付け
午後6時30分 退勤

クリニックでは昼ごろに午前の診療を終了し、一旦休診してから午後の診療が始まるスケジュールが多くみられます。クリニックによっては、午後は手術を行う曜日が決められていることもあるようです。病棟や病院の外来と異なり、一旦すべての診療がストップするので、交代制ではなく職員全員で休憩に入るケースもみられます。

なお、上記のスケジュールは一例です。近年では「仕事帰りに受診したい」という患者のニーズに応えるため、昼ごろに開院し、午後8時、9時ごろまで診療するクリニックもあります。

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クリニックの看護師に求められる資格・スキル

看護師がクリニックで働くうえで、看護師国家資格以外の資格を求められることはあまりありません。内視鏡を行うクリニックでは、「消化器内視鏡技師」などの専門資格を持っていると優遇されますが、基本的に看護師国家資格を持っていれば、クリニックへの就職は可能です。

ただし、クリニックの看護師には、次々に訪れる患者を正確にアセスメントするスキルや、点滴や採血を素早く行うスキルが求められます。クリニックの看護師は必要最小限の人数しかいないことが多く、わからないことやできないことがあっても、同僚に頻繁に相談しにくいことも。そのため、看護師としての基礎スキルや、経験を重ねることで得られた知識が求められるでしょう。実際に新卒採用を行っているクリニックは病院ほど多くなく、看護師としてある程度経験のある人が求められるようです。

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看護師がクリニックで働くメリット

看護師がクリニックで働くメリットについて紹介します。

夜勤がない

前述のとおり、クリニック(診療所)の大半は無床診療所です。そのため、クリニックで働く場合、夜勤をすることはほぼないと考えておいて良いでしょう。診療所では診療時間や休みの曜日が決まっているため、生活のリズムを崩すことなく働けます。

年末年始やお盆はまとまった休みが取れることが多い

クリニックでは、カレンダーどおりに休みがあるケースが多くみられます。年末年始やお盆、ゴールデンウイークなどはクリニック自体が休診となるため、まとまった休みが取れることが多いでしょう。旅行や帰省の予定も立てやすいというメリットも得られます。

高度な処置を行うことがほぼない

クリニックの看護師は、高度な処置を行う機会がほぼありません。クリニックの看護師に求められる手技は、点滴・採血などの基本的なものが主となっています。そもそも、高度な処置を行うための設備・機器を備えていないクリニックも多いようです。基本的な看護スキルのみで業務を行えるため、高度な処置を行うことが不安な方も働きやすいでしょう。

看護研究や学会発表を求められることがほぼない

クリニックでは、看護研究や学会発表を求められることもほぼありません。
大学病院や大規模病院では、看護業務以外に研究活動や学会発表を求められることもあります。研究活動では新たな知見を得られる利点はありますが、活動が勤務時間外におよんだり、学会に向けて資料をまとめて発表の練習をしたりと、時間も体力も必要です。研究実績の有無を査定に反映する病院もあり、負担を感じつつ研究活動を行っているという方も。クリニックでは研究や発表活動を積極的に行っているケースは少ないため、日々の業務に専念しやすいでしょう。

件数が多く転職時の選択肢が広がる

前述のとおり、クリニック(診療科)は病院よりも施設数が多いため、病院に転職しようとするより求人数が多く、転職時に求める条件の選択肢も広がります。クリニックは診療科や診療時間、休診日などもそれぞれ異なるため、自分の希望に合ったクリニックが探しやすいでしょう。

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看護師がクリニックで働くデメリット

看護師がクリニックで働くうえで、デメリットも存在します。どのようなデメリットがあるのかも、確認しておきましょう。

スキルアップしにくい環境である

看護師にとってクリニックは、スキルアップがあまり望めない環境であるといえます。クリニックの看護師は、毎日決められた業務を行うことが多いため、イレギュラーな業務を行ったり、珍しい症例に対応したりするケースはほぼないでしょう。新しい知識やスキルを継続的に身につけたい方にとっては、不向きな環境かもしれません。

教育や指導が十分受けられないこともある

クリニックでは、同僚からの教育や指導を十分受けられないこともあります。基本的にクリニックに入職してくる看護師は、看護師としての基礎知識・スキルが身についていることが前提です。新しく入ってきた看護師への教育体制が整っていないことも珍しくありません。

また、診療時間中は忙しく、新しく入ってきた看護師に先輩看護師がついて指導する余裕がないことも。ある程度は自分で判断し、手技は単独で行うことが求められるため、看護師としての基礎が十分でない方が入職した場合、「サポートがもらえなくてつらい」と感じてしまうこともあるでしょう。

職員間の距離が近い

クリニックは職員の数が少ないため、職員間の距離感が近いことが特徴です。早番や遅番でシフトがずれることもありますが、基本的に毎日同じメンバーの職員と顔を合わせて仕事をします。さらに、休憩も一緒にとることが多いため、必然的に距離感が近くなるでしょう。

自分に合う性格の人が集まっている場合は楽しく仕事ができますが、苦手な人がいると仕事に行くのがつらくなってしまうことも。また、院長とも距離感が近くなるため、院長の考え方に合わせて気を遣って仕事をしなければならない場合もあるようです。

病棟勤務より給料が少ない

クリニックで働く場合、ほとんどのケースで病院の病棟で勤務するより給料が少なくなるでしょう。具体的な金額については後述しますが、病棟勤務では夜勤に入ると夜勤手当がつきます。また、病棟によってはクリニックより高度なスキルを求められることもあり、そもそもの基本給が高い場合もあるようです。

また、病院ではボーナスがもらえるケースが多いですが、クリニックではボーナスがもらえないことも珍しくありません。そのため、年収を比較すると金額に数十万程度の差が出ることもあります。

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クリニックで働く看護師の年収

日本看護協会「2021年看護職員実態調査」によると、クリニック(診療所)に勤める看護師(正規雇用)の平均給与は、35万4,563円でした。平均給与から年収を算出(平均給与×12ヶ月)すると、約425万円となります。ボーナスが支給されるクリニックであれば、より年収が高くなることも考えられるでしょう。

なお、同調査において病院に勤める看護師(正規雇用)の平均給与は、38万6,046円でした。年収換算すると約463万円で、ボーナスが基本給(平均27万7,696円)の2ヶ月分と仮定すると約518万円になります。

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クリニックで働くのに向いている看護師の特徴

ここまでクリニックの看護師の仕事内容や、メリット・デメリットについて触れてきました。では、クリニックで働くのに向いている看護師は、どのような人なのでしょうか。

ワークライフバランスを重視する人

クリニックで働くのに向いている人は、ワークライフバランスを重視する人です。前述のとおり、クリニックではほとんどの場合夜勤がないため、生活のリズムが整い、プライベートの時間も大切にできるでしょう。夜勤がきついという方だけでなく、子育て中の方やブランクのある方にもおすすめです。

看護師のキャリアが長い人

看護師としてのキャリアが長い人も、クリニックで働くのに向いています。クリニックで働く看護師には基礎的な看護スキルだけでなく、アセスメント能力や自発的に動けるだけの知識が必要です。そのため、看護師のキャリアが長い人は、今まで蓄積された知識やスキルを仕事に生かせるでしょう。特別に新しいことを覚える必要もなく、即戦力となれる強みもあります。

地域医療に貢献したい人

地域医療に貢献したい人は、クリニックで働くのに向いています。クリニックは、近隣に住む患者にとって「かかりつけ医」という存在であり、体調不良時や定期受診に訪れる場所です。そのため、看護師は日々の業務を行うなかで、地域住民の健康づくりに貢献できます。数年単位で通い続ける患者も多く、地域の患者を長期的に支えていけるでしょう。

看取りや高度な手技が苦手な人

看取りや高度な手技が苦手な人は、クリニックで働くのがおすすめです。無床診療所では看取りをすることがほぼありません。高度な手技を行う機会もなく、日常的に行う手技はある程度決まっています。
なお、問診を行うクリニックや緩和ケアに対応しているクリニックでは、患者宅に訪問して看取りを行う機会もあります。看取りが苦手な方は、転職時にクリニックの診療科や診療内容をよく確認しましょう。

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看護師はクリニックで診療補助や注射などを行う

  • クリニックとは診療所のことで、無床または19床以下の医療機関を指す
  • クリニックで働く看護師は、問診や医師の診療補助、採血・点滴などを行う
  • 看護師がクリニックで働くときに特別な資格は必要ないが、アセスメントスキルが必要
  • クリニックで働くのに向いている看護師は、地域医療に貢献したい人

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