豆知識
認定看護師と専門看護師の違いは?役割や分野一覧を紹介
23 days ago
「認定看護師と専門看護師の違いがよく分からない」という方もいるでしょう。認定看護師と専門看護師の主な違いは、役割や特定分野などです。また、資格取得の認定審査を受けるまでの過程も異なります。この記事では、2つの資格の違いについて詳しく紹介します。それぞれの資格の特徴についても解説するので、ぜひ参考にしてください。
認定看護師とは
認定看護師(Certified Nurse)とは、公益社団法人日本看護協会の制度に基づき認定を受けた看護師のことです。公益社団法人日本看護協会「認定看護師」によると、「ある特定の看護分野において、熟練した看護技術と知識を有する者として、本会の認定を受けた看護師」と定義されています。
専門看護師とは
専門看護師(Certified Nurse Specialist)とは、認定看護師と同様に、公益社団法人日本看護協会が制定した制度により認定された看護師のことです。公益社団法人日本看護協会「専門看護師」によると、「本会専門看護師認定審査に合格し、ある特定の専門看護分野において卓越した看護実践能力を有することを認められた者」と定義されています。
認定看護師と専門看護師の役割の違い
認定看護師と専門看護師では、担っている役割が異なります。それぞれの役割について詳しく見ていきましょう。
認定看護師の役割
認定看護師制度は、看護を必要とする人に対して、質の高い看護ケアを広く提供することを目的としています。その目的を果たすため、認定看護師に与えられている役割は「実践」「指導」「相談」の3つです。
- 実践:熟練した看護スキルや専門的知識を用いて水準の高い看護ケアを提供する
- 指導:看護実践をとおして、看護職員に指導を行う
- 相談:看護職員などに対してコンサルテーションを実施する
認定看護師は、豊富な知識と経験をもったスペシャリストとして、病院や訪問看護ステーション、介護施設などで重要な役割を果たしています。
専門看護師の役割
専門看護師制度は、保健医療福祉の発展と看護学の向上を目的としています。その目的を果たすため、専門看護師に与えられている役割は「実践」「相談」「調整」「倫理調整」「教育」「研究」の6つです。
- 実践:個人や家族、集団に対して卓越した看護ケアを提供する
- 相談:看護ケアを行う人に対してコンサルテーションを行う
- 調整:円滑なケアが行えるよう、保健医療福祉に携わる人々の間をコーディネートする
- 倫理調整:看護を受ける人の権利を守るため、倫理的な問題の解決を図る
- 教育:看護の質を向上させるために、看護ケアを行う人に教育を行う
- 研究:知識・技術の向上や開発のために、実践の場における研究活動を行う
専門看護師は、病院や訪問看護ステーション、大学などの教育現場などで活躍しており、6つの役割を果たしながら、施設や地域全体の看護ケアの質向上に貢献しています。
認定看護師と専門看護師の特定分野の違い
認定看護師には認定看護分野が、専門看護師には専門看護分野がそれぞれ特定されています。
認定看護師の特定分野一覧
認定看護師には、保健・医療・福祉の現場において質の高い看護スキルや知識を必要とする看護分野として「認定看護分野」が定められています。公益社団法人日本看護協会「認定看護師」によると、特定行為研修を組み込んだB課程認定看護分野として19分野が制定され、2020年度より教育が開始されました。これまでのA課程認定看護分野の21分野は、2026年度をもって教育が終了し、認定審査は2029年度までの実施となっています。
A課程とB課程の認定看護分野一覧は以下のとおりです(2024年10月現在)。
A課程認定看護分野 | B課程認定看護分野 |
---|---|
救急看護 | クリティカルケア (※統合) |
集中ケア | |
緩和ケア | 緩和ケア (※統合) |
がん性疼痛看護 | |
がん化学療法看護 | がん薬物療法看護 (※分野名を変更) |
不妊症看護 | 生殖看護 (※分野名を変更) |
透析看護 | 腎不全看護 (※分野名を変更) |
摂食・嚥下障害看護 | 摂食嚥下障害看護 (※分野名を変更) |
小児救急看護 | 小児プライマリケア (※分野名を変更) |
脳卒中リハビリテーション看護 | 脳卒中看護 (※分野名を変更) |
慢性呼吸器疾患看護 | 呼吸器疾患看護 (※分野名を変更) |
慢性心不全看護 | 心不全看護 (※分野名を変更) |
訪問看護 | 在宅ケア (※分野名を変更) |
皮膚・排泄ケア | 皮膚・排泄ケア |
感染管理 | 感染管理 |
糖尿病看護 | 糖尿病看護 |
新生児集中ケア | 新生児集中ケア |
手術看護 | 手術看護 |
乳がん看護 | 乳がん看護 |
認知症看護 | 認知症看護 |
がん放射線療法看護 | がん放射線療法看護 |
参考:公益社団法人日本看護協会「新たな認定看護師への移行について」
A課程認定看護分野の認定看護資格を保有している場合は、特定行為研修を受けることで、B課程認定看護分野の認定看護資格に切り替えられます。
専門看護師の特定分野一覧
専門看護師には、変化する看護ニーズに対して独立した分野ごとに「専門看護分野」が定められています。公益社団法人日本看護協会「専門看護師」によると、専門看護分野は以下の14分野です(2024年10月現在)。
- がん看護
- 精神看護
- 地域看護
- 老人看護
- 小児看護
- 母性看護
- 慢性疾患看護
- 急性・重症患者看護
- 感染症看護
- 家族支援
- 在宅看護
- 遺伝看護
- 災害看護
- 放射線看護
専門看護分野は、専門看護師制度委員会への申請を受けた後、審議・決議を経て特定が行われます。変化する看護ニーズに対して分野が特定されることから、看護ニーズの広がりによっては、今後認定分野が増減することも考えられるでしょう。
認定看護師と専門看護師のなり方の違い
認定看護師と専門看護師は、資格取得までのプロセスや条件も異なります。
認定看護師になるには?
認定看護師になるには、年に1回実施される認定看護師認定審査に合格することが必要です。認定審査の受験資格は、以下の3項目をすべて満たすことで得られます。
- 看護師免許を保有していること
- 看護師としての実務研修が通算5年以上(うち認定看護分野の実務研修は通算3年以上)であること
- 日本看護協会に認定された認定看護師教育機関、もしくは外国にてそれらと同等と認められる教育(教育期間は6か月)を修了していること
認定看護師のレベルを保持するために、認定看護師の資格には5年の有効期間が設けられています。その後も認定看護師として働くためには、5年ごとに更新審査を受けなければなりません。
専門看護師になるには?
専門看護師になるには、年に1回実施される専門看護師認定審査に合格することが必要です。認定審査の受験資格は、以下の3項目をすべて満たすことで得られます。
- 看護師免許を保有していること
- 看護系大学(もしくは関連領域)の大学院修士課程を修了し、専門看護師教育課程基準の所定単位を取得していること
- 看護師としての実務研修が通算5年以上(うち専門看護分野の実務研修は通算3年以上)であること
専門看護師資格の有効期間は、認定看護師資格と同様に5年です。認定から5年経つと無効となるため、更新審査を受ける必要があります。
なお、大学院修士課程を修了するには、2年間教育を受ける必要があります。認定看護師の教育期間に比べ、専門看護師は長い期間教育を受ける必要があるという観点で見ると、認定審査を受験するまでのハードルは、専門看護師のほうが高いと考えられるでしょう。
認定看護師と専門看護師の給料
公益社団法人日本看護協会「『2022 年度 専門看護師・認定看護師に対する評価・処遇に関する調査』報告書」によると、認定看護師や専門看護師の資格による昇給や昇格があったとの回答は全体の約1~2割、資格手当があるとの回答は全体の約3~4割となっています。このことから、認定看護師や専門看護師の資格が直接給料アップにつながる事例は多くないことが分かります。
認定看護師や専門看護師としての働きが評価された結果、昇給や昇格につながる可能性は大いにあると考えられるため、資格取得後、どのように病院や地域に貢献するかが大切であるといえるでしょう。
認定看護師と専門看護師は役割やなり方などに違いがある
- 認定看護師と専門看護師の違いは活躍する現場
- 認定看護師と専門看護師は特定分野にも違いがある
- 認定看護師や専門看護師になるには認定審査の合格が必要で、受験資格に違いがある
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