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国際保健医療と医療的ケア児の未来のために、支援の輪を広げよう!

看護師准看護師18 hours ago

世界には、医療機関へのアクセスが困難な地域で暮らす人々や、医療的ケアが必要な子どもたちとその家族など、さまざまな悩みを抱える人がたくさんいます。今回は、そんな人々の生活を支援する団体に注目しました。

一つは、カンボジア・東ティモール・日本で、保健医療体制の向上や人材育成に取り組む団体。もう一つは、医療的ケア児を持つ家族同士が繋がり、情報交換や交流を通して笑顔になれるイベントの開催やサポートを行う団体です。これらの活動内容に触れることで、国際協力や医療的ケア児に必要な支援の現状について考えるきっかけとなるでしょう。

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(認定)特定非営利活動法人シェア=国際保健協力市民の会

シェア=国際保健協力市民の会は、1983年に設立された日本の国際協力NGO団体です。すべての人々の健康を願う『Health for All』というミッションを掲げ、格差のない世界の実現を目指し活動しています。
同団体では国際保健分野に特化し、カンボジア、東ティモール、そして日本国内で支援活動に貢献。理想的な国際保健の構築を目指し、基盤となる「国際保健活動」と、保健の仕組みや市民の意識を変えるための「政策提言・普及啓発活動」に取り組んでいます。日本国内では、在日外国人や外国人母子を対象とした保健医療サービスの支援活動に尽力中です。

本記事では、カンボジアと東ティモールのプロジェクトに注目し、国際保健事業の現状とともに、現地で活動するシェアメンバーの様子や活動の内容などを詳しくご紹介します。

「自分たちのいのちを自分たちで守る」を実現する国際保健活動

カンボジアの農村部や東ティモールの僻地では、医療機関へアクセスしづらく、妊娠しても安全に出産できない、生まれた子どもが健康に成長発達することが難しい、といった厳しい現実があります。その状況を変えるために同団体で注力しているのが、“現地主体”の国際保健活動です。

21世紀の国際保健事業では、グローバルに問題解決を目指すことが重要とされています。当団体も国際的な課題に向き合い、「いのちを守る人を育てる」活動に専念。総合的かつ平等に解決していくプライマリ・ヘルス・ケアのアプローチ法に基づき、住民自らの力で健康を守れる社会を目指しています。

すべての妊産婦さんが安心して保健医療サービスを受けられるように、そして子どもたちが健康にすくすくと成長できるよう中長期プロジェクトを推進中です。地域全体で子どもたちの成長を見守ること、そして、持続可能な支援体制の構築に尽力しています。

カンボジアでの活動

カンボジアでの活動風景
▲画像提供:(認定)特定非営利活動法人シェア=国際保健協力市民の会


カンボジアのプレアビヒア州では、国内でも特に子どもたちの栄養指数が低く、4人に1人が慢性的な栄養不良に陥っているそうです。
子どもの栄養改善には、胎児期から2歳の誕生日までの1000日間が最も重要といわれています。この時期の栄養状態は子どもの将来の健康状態だけでなく、学童期の学習や成人になってからの経済状況にも影響を与えるとのこと。2歳未満児の栄養改善は、その子どもがより良く生きるということだけでなく、コミュニティ全体の健康を守るうえでとても重要です。
同団体では、2017年から2022年にプレアビヒア州で実施したプロジェクトにおいて、対象地域の低体重児を2%削減するという成果を上げています。

また、2023年4月から引き続き、プレアビヒア州の子どもたちの栄養改善と健康増進のためのプロジェクトを開始。活動期間は2028年3月までの5年間です。前プロジェクトで得た知見を活かし、対象地域をさらに拡大して対象年齢を2歳未満児から5歳未満児に引き上げ、栄養課題の克服を目的とした仕組みづくり、そして人づくりに取り組んでいます。

活動内容はNGOスタッフブログにて発信されており、これまでに以下のような活動が報告されています。

  • ベースライン調査や食事調査の実施
  • 定期的な乳幼児健診や離乳食教室の開催、養育者への適切な栄養の助言
  • 現地の課題や取り組みについて学ぶための現地スタディツアーの実施

活動報告は、現地で活躍するシェアメンバーやインターン生などさまざまなスタッフが行っています。現地住民との心温まる交流風景も添えられているので、ぜひ覗いてみてください。

東ティモールでの活動

東ティモールでの活動風景
▲画像提供:(認定)特定非営利活動法人シェア=国際保健協力市民の会


ディリを首都とする東ティモールは、2002年にインドネシアから独立し誕生した比較的新しい国です。後発開発途上国の一つであり、保健や教育面での支援が必要とされています。
インフラの整備が発展途上にあり、また医療施設や従事者も不足しているため、保健サービスを受けることができずに妊娠や出産で命を落としてしまうケースも少なくありません。
その喫緊の課題をサポートするべく、同団体では地域住民や保健・教育分野の行政機関とともに「地域住民が自分たちの健康を自分たちで守れる」ようになるための保健教育活動を推進しています。

母子保健サービスを活性化させるための同プロジェクトでは、主に以下のような活動内容が報告されています。

  • 母子健康課題への住民の意識向上のための地域のキーパーソンへの保健教育活動
  • 学校での水や衛生設備の整備、感染症予防教育の推進
  • 保健医療従事者を対象とした安全な分娩介助のための研修の提供や施設内勉強会の側面支援、医療器材の整備
  • 保健医療サービスが潤滑に機能するための行政の母子保健サービス管理システムの強化

保健医療サービスの利用を促進するためには、地域住民の健康に対する理解を深めることが重要です。特に母子を中心に、健康への意識を高めることが、住民が必要な医療サービスを受けるきっかけとなります。また、住民がアクセスできる質の高い医療サービスが提供されていることも不可欠です。
そのため、シェアでは、保健ボランティアの育成、地域リーダー向けのワークショップ、学校での健康教育の普及、保健医療従事者のスキル向上など、多岐にわたる活動を展開しています。これにより、地域全体での健康への取り組みが進み、持続的な医療サービスの利用が促進されることを目指しています。
また、東ティモールでは母子支援のほかに、思春期対応ケアの普及を目指す「思春期リプロダクティブヘルス啓発プロジェクト」も推進中です。こちらの活動内容もぜひチェックしてみてください。

同団体では、国際協力NGOの一員としてボランティアやインターンに参加することが可能です。
年齢も立場も異なる多種多様なメンバーが集まるため、まずは国内で人的ネットワークを広げたいという医療従事者の方は参加を検討してみてはいかがでしょうか。今後の自分自身がやるべきことや進むべき道など、将来ついてじっくりと考えるきっかけにもなるでしょう。

■詳細情報
(認定)特定非営利活動法人シェア=国際保健協力市民の会
国際保健活動

特定非営利活動法人mamacare

医療的ケア児を持つ7人の母親たちが出会い、「孤独に歩くママたちを一人でも減らしたい」という思いから誕生した mamacare(ママケア)。個々がこれまで感じてきた悩みや経験を活かし、医療的ケアを必要とする子どもたちと家族が笑顔になれる場所づくりに尽力しています。

現在はNPO法人となり、同じ悩みや不安を抱える家族が集い、勉強会や情報交換会、ママ・パパたちのためのカフェスペース、医ケア児もきょうだい児たちも楽しめる遊びなど、さまざまなイベントを企画・開催中です。本記事では、医療的ケア児の実情とともに、同団体が実施する楽しいイベント活動の様子をご紹介します。小児看護や在宅医療に携わる医療従事者にとって、改めて医療的ケアへの理解を深める良い機会となるでしょう。

医療的ケア児とは?

医療的ケア児は、生活をするうえで日常的に医療行為(人工呼吸管理や経管栄養など)を必要とする子どもたちのことです。
近年、救命救急医療の進歩により、出生時の生存率向上だけでなく、小児期に重症疾患や事故から救命されるケースも増加傾向にあります。医療的ケア児は、乳幼児期に発見される先天性疾患だけでなく、交通事故や熱中症、スポーツ中の事故など、学童期以降にも後天的な要因で支援が必要となることも少なくありません。そのため、医療的ケア児への支援体制の充実が喫緊の課題となっています。

医療的ケア児イメージ


また、医療的ケア児はケアの必要性から行動に制限がかかることが多く、場合によっては家族や介助者が24時間体制で対応しなければならないこともあります。こうした状況は、親の就労継続を困難にしたり、介護による負担で休息時間を確保できなかったりと、家族の生活に大きな影響を与えているのが現状です。そのため、 医療的ケア児とその家族が安心して暮らせるよう、社会全体で包括的な支援体制を早急に整えることが求められています。

医療的ケア児の実情

在宅での医療的ケアは、医療従事者から指導を受けた家族が担うのが基本。しかし、24時間体制のケアは大きな負担となり、生活への不安や悩みを抱える家族も多いのが現状です。公的機関による支援は進んでいるものの、現状に追いついていない部分も少なくありません。医療的ケア児を受け入れる保育園や学校、さらには学校卒業後の居場所、そして専門スタッフの確保など、支援体制の整備が急務とされています。

2021年に施行された「医療的ケア児支援法」は、医療的ケア児が適切な保健医療・福祉サービスや教育を受けられるよう、社会全体で支援するための法律です。体制づくりは進められていますが、家族へのサポート体制は未だ課題が多く、孤立しやすい状況にあります。医療的ケア児と家族の孤立を解決するためには、地域社会のサポートと、ケア児への理解促進が不可欠です。
mamacareは、そんな現状を少しでも改善しようと、医療的ケア児と関わる人々が笑顔になれるイベントを企画・開催しています。

笑顔で過ごせる交流イベント

mamacareのイベント活動は、第1回目の「mamaとこどもの遊び場 たっぷりおしゃべり&情報交換の会」という企画から始まりました。
子どもたちが楽しめる季節のイベントに加え、医療的ケア児の家族のための情報交換会や勉強会も開催。また、「医ケア児の食と栄養」「医ケア児のいる我が家の災害対策」「医ケア児の教育と卒後」など、未来への不安解消に繋がるテーマも取り上げています。

親子で交流イベントイメージ


そのほかに、オンラインでのミーティングやイベントの開催、学生や専門職、地域社会との交流も積極的に行うなど、幅広く活動しています。2023年には訪問看護事業も開始し、これまで課題とされていた医療従事者による見守り体制を実現。最大8時間のお預かりサービスにも対応するなど、医療的ケア児と家族の生活を支える活動も展開しています。

■詳細情報
特定非営利活動法人mamacare

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