仕事内容・働き方

退院支援看護師の役割は?仕事内容やほかの職種との違いを解説

正看護師仕事内容20 days ago

「退院支援看護師の役割は?」と思う方もいるでしょう。退院支援看護師は、患者の入院中から退院先や退院後の生活に向けて支援を行う役割があります。この記事では、退院支援看護師の役割や仕事内容、ほかの職種との違いについて解説しています。退院支援看護師になる方法や必要な資格についても触れていますので、ぜひ参考にしてください。

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退院支援看護師とは

退院支援看護師とは、入院患者が退院後も安心・安楽に生活したり、適切に治療を継続したりできるよう、退院支援や退院調整を行う看護師のことです。

入院患者の中には、「病気は治ったけれど退院するのは不安」という患者もいます。また、急性期病院であれば、完治を待たずに退院・転院するケースも珍しくないでしょう。このように、退院に関する悩みや不安を抱える患者・家族に退院支援看護師は寄り添い、不安を解消したり、希望をくみ取って退院先での生活の準備を行ったりしています。

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退院支援看護師の役割

退院支援看護師の役割は文字どおり、退院支援を行うことです。退院支援では、入院患者ごとに必要な支援を明確にして、退院後の生活に向けて入院中から準備を進めます。

退院支援看護師は主治医や病棟看護師の意見だけでなく、患者本人や家族からも希望を聴取して、支援の方向性を決定します。最終的に退院前カンファレンスで詳細を決定し、必要なサービスを手配したり、施設や病院と連携したりするのが退院支援看護師の役割です。

なお、支援に入るタイミングは病院や部署によってルールが異なります。退院の目途が経ってから介入する場合もあれば、入院の目的である検査・手術が行われた後や薬物療法が開始したときに介入する場合もあるようです。「入院〇日目の患者には一括して初回の介入を行う」のようにルールが設けられていることもあります。

また、退院支援看護師の役割として、大規模な急性期病院などでは病院や病棟単位で退院支援を行うことがあります。できる範囲で病床の回転率を上げて平均在院日数を短縮することで、患者のQOLを維持したり救急患者の受け入れ体制を確保したりできるうえ、病院の収益にも繋げられるからです。

病院や病棟単位で退院支援を行う場合は、まず、患者の病名や行われている治療、現在の入院日数などを考慮し、退院支援に入れそうな患者をピックアップします。退院支援に入れそうな患者がわかったら、主治医や病棟の看護師長などと連携して、退院に向けての準備を始める流れです。

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退院支援看護師とほかの職種との違い

ここでは、退院支援看護師とほかの職種との違いについて紹介します。

病棟看護師

病棟看護師は、病院の入院病棟に勤務し、医師の診療補助や点滴・注射・採血などの医療行為、療養上の世話などを行う看護師を指します。患者には担当の病棟看護師がつくのが一般的で、担当看護師は患者に対して処置だけでなく、精神的なサポートも日常的に行います。担当患者の退院支援が始まると、担当看護師は退院支援看護師と連携して退院に向けて準備を進めていく仕組みです。

退院支援看護師は病棟看護師と兼務する場合もあれば、地域連携室や退院支援室所属で働く場合もあります。前者は比較的病床数が少ない病院で、後者は大病院でみられることが多いようです。

前者の場合は病棟看護師として通常の業務を行いながら、在籍している病棟患者の退院支援に入ります。後者の場合は退院支援が必要なときに患者のもとに伺うので、患者に対して医療行為や療養上の世話を行うことはありません。夜勤を求められることもほとんどなく、日勤のみ・土日祝休みの勤務形態であることが多いでしょう。

退院支援に関しても、病棟看護師は精神的なサポートが大きく求められる一方で、退院支援看護師は退院先で利用するサービスとの連携や院内の他職種との連携を行い、支援内容の詳細を決めていきます。

医療ソーシャルワーカー(MSW)

MSWは、患者や家族が抱える問題や悩みを見つけ、医療機関や介護・障がい福祉サービス、公的機関などと連携して問題解決を図る職種です。退院支援のときは、退院支援看護師と一緒に活動することも多いでしょう。

退院支援看護師は患者の病気や治療方針、身体状態などから必要な支援を考えていきますが、MSWは患者だけでなく、家族や親類、地域住民など患者を取り巻く人との関係性からアプローチを考えていくのが特徴です。公的機関と調整を行うことがある点も大きなポイントで、必要があれば社会福祉施設やケースワーカーと連携して、患者の退院後の生活を支えていきます。

また、退院支援看護師は看護師資格を持つ人がなれる職種ですが、MSWは社会福祉士や精神保健福祉士の資格を保有していなければ「ソーシャルワーカー」と名乗れません。

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退院支援看護師の仕事内容

「退院支援」と一言で表しても実際は幅広い業務を行っています。ここでは、退院支援看護師の仕事内容についてみていきましょう。

入院時スクリーニング

患者が入院してきたら、退院時に退院支援が必要な患者かどうかスクリーニングを行います。

たとえば、急病で入院し、発症前よりADLが下がってしまった患者がいたとします。この患者が退院する際、入院前と同じように自宅で生活するのが難しいと考えられるため、退院支援看護師が積極的に介入する必要があるでしょう。

では、がんの治療中で化学療法3クール目のため入院してきた患者に対してはどうでしょうか。入院中大きな変化がない場合は、退院後も今までと変わらない生活ができると判断し、入院時から積極的な介入は行わない、といったような判断を行っています。

介入が必要と判断した患者に対しては、退院の目途が立つ前から退院支援看護師が病室へ訪問し、患者や家族へヒアリングを行って、退院後の生活への要望を把握します。そして、患者や家族の希望を叶えるために必要な社会的リソースや医療・介護サービスについて、選定を開始します。

退院前カンファレンス

退院支援看護師の代表的な仕事が、退院前カンファレンスに関する仕事です。退院前カンファレンスでは、患者の退院後の生活や必要なケアについて話し合ったり、患者や家族と入院加療に関わるスタッフ、退院後に関わるスタッフが顔を合わせ、情報共有を行ったりします。

患者の退院の目途が経ったら、まずは退院支援看護師がカンファレンスに出席してもらいたいメンバーを集めます。退院前カンファレンスに出席する主なメンバーは以下のとおりです。

  • 退院支援看護師
  • MSW
  • 主治医または担当医
  • 担当看護師
  • リハビリに関わる職種(理学療法士、作業療法士など)
  • 患者本人
  • 患者家族
  • 訪問診療医
  • 訪問看護師
  • 訪問ヘルパー
  • ケアマネジャー
  • 福祉用具専門相談員
  • 転院先・入居先のスタッフ(看護師やMSWなど)
  • ケースワーカー

退院支援看護師以外では、医師と担当看護師、MSWは出席必須とされていることが多いようです。そのほかのメンバーに関しては、患者の退院先や今後利用するサービスなどによって異なります。

退院前カンファレンスでは、患者や家族から同意をもらいながら、患者の退院先について詳細なことを決めていきます。たとえば、どのような介護施設に入居するかや、転院先の病院に求める体制やケアについて、自宅に帰る場合はどのような準備が必要か、などがメインの議題です。

自宅療養する患者に対しては、利用するサービスを決め、退院支援看護師はサービスの利用手配を行います。具体的には訪問診療・訪問看護や在宅訪問薬局、酸素ボンベと周辺機器のレンタルなどです。介護保険を利用していない患者については要介護認定の申請を行う必要もあるほか、訪問介護や福祉ベッドなどの福祉用具のレンタル手配も行います。

介護施設への入居や医療機関への転院を予定している患者については、退院先のスタッフにもカンファレンスに出席してもらい、直接申し送りを行うこともあるようです。

退院後のモニタリング

退院支援で介入した患者が退院したあとは、患者が適切な支援を受けて無事に日常生活を送れているか確認するのも退院支援看護師の仕事です。訪問看護師やケアマネジャーに患者の様子を確認したり、外来受診時に患者と直接顔を合わせてヒアリングを行ったりもします。

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退院支援看護師は資格が必要?

退院支援看護師は、看護師資格以外に特別な資格は必要ありません。ただし、看護師としての経験を積んで、患者や家族への対応や退院前の対応を学んでからでなければ業務を行うのは難しいでしょう。

そのため、新卒でいきなり退院支援看護師になることはほぼなく、看護師としての実務経験が必要な職種です。また、実務にあたっては一般的な看護師が有する知識だけでなく、在宅医療や訪問看護、介護、障がい福祉サービスに関する知識も必要となります。

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退院支援看護師になるには?

退院支援看護師になるには、明確な要件や実務経験年数が設けられているわけではありません。ただし、訪問診療・訪問看護の経験や育成プログラムの受講実績があると、退院支援看護師になりやすくなるでしょう。

訪問診療や訪問看護の経験を積むと、退院後に患者が受けるケアや訪問サービスの実情について理解できます。そのような経験を持つ人が退院支援看護師になることで、退院支援もスムーズに行えるでしょう。

また、地域の基幹病院などで「退院支援看護師育成プログラム」が行われていることがあり、退院支援看護師になりたい方は参加してみるのがおすすめです。プログラムでは医療保険だけでなく、介護保険や地域包括ケアシステムに関する知識を学ぶ講習や、実際の退院支援の事例から介入方法を学ぶ研修などがあります。参加実績があれば、転職の際や異動希望を出す際にも有利に働くでしょう。

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退院支援看護師の役割は退院後を見据えた支援を行うこと

  • 退院支援看護師の役割は退院先の施設との連携や利用するサービスの申請など
  • 退院支援看護師は退院時カンファレンスで患者の退院後について協議を行う
  • 退院支援看護師には特別な資格は必要なく、看護師資格があればなれる
  • 退院支援看護師になるには、訪問看護や育成プログラム受講の経験があると有利

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