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薬剤師になるには?国家資格を取る流れや仕事内容、給与を紹介
4 months ago
「薬剤師になるには?」と目指す方法を知りたい方もいるでしょう。薬剤師になるには大学の薬学部を卒業後、国家試験に合格して厚生労働省の名簿への登録が必要です。この記事では薬剤師国家試験の受験資格を得る方法や試験概要と合格率について解説しています。薬剤師の仕事内容と職場についても触れていますので、ぜひ最後までご覧ください。
薬剤師になるには?
薬剤師になるには、国家試験に合格する必要があります。薬剤師は薬剤師法に基づいて認定されている国家資格です。受験資格を満たし、国家試験に合格したら、厚生労働省の薬剤師名簿へ登録申請を行います。名簿へ登録されたら薬剤師免許が交付され、薬剤師として働ける仕組みです。
薬剤師とは
職業情報提供サイト jobtag「薬剤師」によると、薬剤師とは、病院や薬局などで薬の調合や服薬指導、管理などを行う薬学の専門家です。
薬剤師は医師から処方された薬の副作用や、併用薬との相互作用などを見て、患者のアレルギー歴などとも照らし合わせて、処方するのに問題がないか確認します。病院や薬局以外では、製薬会社で新薬開発や薬の製造工程の管理などを行うこともあるようです。
薬剤師国家試験について
前述のとおり、薬剤師になるには国家試験に合格しなければなりません。ここでは、薬剤師になるには避けてとおれない国家試験について解説します。
薬剤師国家試験の受験資格を得るには
職業情報提供サイト jobtag「薬剤師」によると、薬剤師国家試験の受験資格を得るには、6年制学部・学科の薬学課程を卒業しなければなりません。 文部科学省「薬科大学(薬学部)学科別一覧2023年(令和5年)度」によると、2023年度現在で薬剤師国家試験の受験資格を得られる6年制大学は77校あります。
大学の6年制薬学課程では、最初の4年間で薬学に関する基礎的な知識を身に付けます。5年次は、病院や調剤薬局で実務実習を受けることがメインです。6年次は卒論作成を行い、後期から国家試験対策に集中的に取り組んでいきます。
薬剤師国家試験の概要
厚生労働省「薬剤師国家試験」によると、薬剤師国家試験は例年2月中旬に2日連続で行われる日程です。試験地は全国9ヶ所で、第109回(2024年実施)は北海道・宮城県・東京都・石川県・愛知県・大阪府・広島県・徳島県・福岡県で行われました。
薬剤師国家試験の出題科目は以下のとおりです。
- 物理・化学・生物
- 衛生
- 薬理
- 薬剤
- 病態・薬物治療
- 法規・制度・倫理
- 実務(必須問題と薬学実践問題のみ)
それぞれの科目は、必須問題と一般問題(薬学理論問題・薬学実践問題)に分かれています。必須問題は一問一答が基本ですが、一般問題は正答の選択肢が1つではない問題や、解答肢のすべての組合せから正答肢を選択する問題も含まれるようです。
厚生労働省「薬剤師国家試験のあり方に関する基本方針」によると、薬剤師国家試験の合格基準問題の難易度により調整されるため、明確な合格ラインが毎年異なります。
ただし、必須問題は70%以上正答、かつ、構成する各科目の得点が30%以上正答しなければならない規定は変わりません。また、禁忌肢を規定回数以上選択すると、ほかの合格基準をクリアしていても不合格となってしまいます。
薬剤師国家試験の合格率
厚生労働省「試験回次別合格者数の推移」によると、2020年~2024年の薬剤師国家試験の合格率は以下のとおりです。
実施回 (実施年) |
受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|
第105回 (2020年) |
1万4,311人 | 9,958人 | 69.58% |
第106回 (2021年) |
1万4,031人 | 9,634人 | 68.66% |
第107回 (2022年) |
1万4,124人 | 9,607人 | 68.02% |
第108回 (2023年) |
1万3,915人 | 9,602人 | 69.00% |
第109回 (2024年) |
1万3,585人 | 9,296人 | 68.43% |
参照:厚生労働省「試験回次別合格者数の推移」
薬剤師国家試験の合格率は、例年6割後半で推移しています。6年間専門課程で学んできても3割弱は不合格になる結果となっており、難易度の高い資格といえるでしょう。
薬剤師になるには費用はいくらかかる?
薬剤師になるには、大学の学費・教材費と国家試験の受験料、免許発行料が必要です。厚生労働省「薬剤師国家試験」、厚生労働省「薬剤師免許証の申請等について」によると、
国家試験の受験料が6,800円、薬剤師の免許発行料は3万円となっています。
国立大学の場合、「国立大学等の授業料その他の費用に関する省令」により、授業料が一律で決められており、どの大学でも学費に大差はありません。文部科学省「国公私立大学の授業料等の推移」によると、2021年度の入学で国立大学の入学金は28万2,000円、年間授業料は53万5,800円となっています。薬学部は6年間通うため、6年間の学費は349万6,800円になる計算です。なお、大学ごとの判断で標準額の2割以内であれば学費を上乗せできる決まりになっており、これより学費が高い大学もあります。
公立大学・私立大学の学費は学校により異なります。 文部科学省「国公私立大学の授業料等の推移」によると、2021年度の入学で、公立大学の平均入学金が39万1,305円、平均年間授業料が53万6,363円となっているため、6年間で360万9,483円が学費の平均です。
私立大学は平均入学金が24万5,951円、平均年間授業料は93万943円となっているため、6年間で583万1,609円になる結果となっています。ただし、私立大学は学校により学費が100万円単位で異なることも珍しくありません。
特に医療系の学科は学費が高いため、薬学部であれば1,200万円以上かかる場合もあるようです。詳しくは、各大学のWebサイトやパンフレットで確認しておきましょう。
薬剤師の仕事内容
薬剤師の仕事内容についても詳しくみていきましょう。
調剤
処方箋に従って薬を用意する調剤業務は、薬剤師の代表的な業務の1つです。指示された薬剤を分量どおりに用意するだけでなく、複数の薬を一包化したり軟膏を混ぜ合わせたりすることもあります。また、調剤時には処方箋どおり調剤できているか、調剤した薬剤師以外の薬剤師が監査することが義務付けられています。
疑義照会
薬剤師は処方箋のとおりに調剤するだけでなく、内容に誤りがないか処方監査も行っています。まず、併用薬との相性や患者のアレルギー歴・体質を確認し、患者にどのような症状で受診したのか、医師にどのような説明を受けたのかを必ず確認します。処方内容に疑問があれば、医師に問い合わせることもあり、これを「疑義照会」と呼びます。疑義照会は、誤った処方や不適切な処方を防ぐために欠かせない業務です。
服薬指導
薬剤師は薬を渡す前・投与する前に、患者本人や家族などに薬の効能や服薬方法、注意点などを説明して服薬指導を行います。現在の薬の服薬状況や残薬情報についても把握したうえで、適切な服薬指導を行うことが求められます。
薬歴管理
薬剤師が、患者の基本情報・服薬情報・処方内容・疑義照会内容と結果・担当薬剤師名などを薬歴として残すことを、薬歴管理といいます。薬歴は診療報酬の根拠になる記録のため、作成と一定期間の保管が義務付けられています。
医薬品の管理
薬剤師は、薬の品質劣化を防止したり、不正に利用されないよう数量を確認したりして管理しています。中には遮光保管や冷蔵保管が必須の薬品もあり、適切な管理が必要です。特に医療用麻薬や向精神薬、覚せい剤原料薬などは保管庫に入れ施錠し、処方時は持ち出し帳簿に記載するなどして厳格に管理しています。
医薬品販売
ドラッグストアなどで販売される市販薬は、処方箋がなくても購入できます。ただし、市販薬のうち、要指導医薬品や第1類医薬品は、薬剤師立ち合いのもとでなければ販売できません。そのため、薬剤師は調剤薬局やドラッグストアで、立ち合いが必要な薬の販売を行うこともあります。
薬剤師が活躍できる職場
薬剤師が活躍できる職場を紹介します。
病院
病院に勤める薬剤師は、外来に来る患者や入院中の患者へ、調剤や服薬指導、薬歴管理を行います。病院では薬剤師が数十人いるケースも多く、入院・外来や診療科に分かれて業務を進めることもあるようです。化学療法や治験業務、注射・点滴の製材など病院ならではの業務に携わる機会も多くあります。
調剤薬局
調剤薬局は薬剤師の代表的な職場です。医療機関で発行された処方箋に従って、調剤・服薬指導を行います。処方内容に疑義がある場合は、発行元の医師に疑義照会するのも調剤薬局の薬剤師の重要な仕事です。薬や健康に関する相談に応じる「かかりつけ薬剤師」として活躍する薬剤師もいます。
ドラッグストア
ドラッグストアに勤める薬剤師は、医薬品の販売やレジ打ち、品出しなどを行います。前述のとおり、市販薬の中には薬剤師が不在の場合販売できないものもあります。そのため、薬の購入希望者がいたら、薬の効能や服薬方法、注意点を伝えるのが薬剤師の重要な仕事です。
また、ドラッグストアの中には保険調剤に対応している店舗もあり、その場合は調剤業務を任されることもあります。
製薬会社・一般企業
製薬会社や一般企業で活躍する薬剤師もいます。製薬会社では、新薬開発・研究を行ったり、薬の製造管理を行います。一般企業では食品メ―カーや化粧品メーカーに勤めることが多く、商品の成分分析や薬剤取り扱いの指導などを行うようです。
薬剤師の給与はどのくらい?
厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査」によると、薬剤師の給与(きまって支給する現金給与額)は41万7,500円となっており、年収に換算(決まって支給する現金給与額×12ヶ月+年間賞与その他特別給与額)すると、577万8,700円です。
同調査で全職種の平均年収が約515万円となっているため、薬剤師の給与・年収は全体の中で高いほうといえるでしょう。
薬剤師に関するよくある質問
ここでは、薬剤師に関するよくある質問についてお答えしていきます。
社会人や主婦から薬剤師になるには?
社会人や主婦から薬剤師になるには、現役生と同様に大学の6年制薬学課程で6年間学ぶ必要があります。一般大学卒の人も同様です。なお、薬剤師国家資格が得られる6年制薬学課程の中で、2023年現在、夜間部(二部)制を採用している大学はありません。社会人や主婦から薬剤師になるには仕事や家事と日中の大学通学を両立しなければならないうえ、学費もかかるため、家族とよく相談して決めましょう。
薬学部の4年制と6年制の違いは?
大学の薬学部は、6年制のみの場合と6年制・4年制の学科を併設している場合があり、文部科学省「薬科大学(薬学部)学科別一覧2023年(令和5年)度」によると、2023年度現在、4年制の薬科課程がある大学は28校あります。4年制薬学部は薬の研究者を育成する目的で設置されており、大学院に進学し6年間学んだとしても、薬剤師国家試験の受験資格は得られません。
4年制では、2年次まで6年制と同じ内容を学びますが、3年次以降は薬の研究や実験に特化した内容を学ぶことになっています。
薬剤師になるには6年制薬学部を卒業後、国家試験合格が必須
- 薬剤師になるには国家資格の取得が必須
- 薬剤師国家試験の受験資格を得るには、6年制薬学部を卒業する必要がある
- 薬剤師国家試験の合格率は例年6割後半で推移している
- 薬剤師は病院や調剤薬局などで服薬指導や疑義照会、医薬品管理を行っている
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