豆知識
一次救急とは?施設概要やほかの救急指定病院との違いを解説
4 months ago
「一次救急とは?」と疑問に思っている方もいるでしょう。一次救急とは、救急患者に対応する医療機関のうち、比較的軽症の患者に対して診療を行う医療機関のことです。この記事では、一次救急の詳しい施設概要や救急指定病院について解説しています。一次救急で働く看護師の仕事内容や二次救急・三次救急との違いについても触れていますので、ぜひ参考にしてください。
一次救急とは
厚生労働省「医療計画における救急医療提供体制」によると、一次救急とは、比較的軽症で緊急性が低く入院の必要がない患者に対して、救急医療を提供する救急指定病院のことです。日中は通常の診療を行っている「かかりつけ医」が輪番制で夜間・休日に開院している場合や、夜間・休日に診療している休日夜間急患センターなどが一次救急に当てはまります。
救急患者の中でも救急搬送ではなく、徒歩や自家用車、公共交通機関などで来院できる患者が一次救急の対象です。医療機関の診療時間外に、発熱やぜんそく発作など重症ではないものの診療時間まで待てない症状が出た場合に、患者は自宅から直接来院します。必要に応じて患者を二次救急や三次救急に案内したり、救急車で搬送したりすることもあるようです。
救急指定病院とは
救急指定病院とは、消防法第二条第九項に基づくe-Gov 法令検索「救急病院等を定める省令」により定められている病院のことです。都道府県知事に対し救急業務に協力する旨を申し出た医療機関のうち、医療計画の内容や医療機関の所在地域における救急患者の発生状況などを考慮して認定されます。詳しい指定要件は以下のとおりです。
- 救急医療について相当の知識および経験を有する医師が常時診療に従事していること
- エックス線装置、心電計、輸血および輸血のための設備その他救急医療を行うために必要な施設および設備を有すること
- 救急隊による傷病者の搬送に容易な場所に所在し、かつ、傷病者の搬入に適した構造設備を有すること
- 救急医療を要する傷病者のための専用病状または当該傷病者のために優先的に使用される病床を有すること
救急指定病院は救急医療の逼迫を避けるため、対応する患者の病状や重症度によって3段階に分かれているのが特徴です。軽症から順に、一次救急・二次救急・三次救急に区分されています。
一次救急と二次救急・三次救急の違い
前項では、救急指定病院の種類を紹介しましたが、それぞれの違いはどのような点なのでしょうか。
厚生労働省「医療計画における救急医療提供体制」によると、一次救急・二次救急・三次救急は以下のとおりです。
一次救急 | - 比較的軽症の救急患者 - 処置を受ければ日帰りできる症状の患者 |
- 徒歩 - 自家用車 - タクシー - 公共交通機関 |
- かかりつけ医 - 当番医 - 休日夜間急患センター |
二次救急 | - 入院治療や手術を必要とする重症の救急患者 | - 自家用車 - タクシー - 公共交通機関 - 救急車 |
- 救急告示医療機関 - 病院群輪番制 |
三次救急 | - 重症および複数の診療科領域にわたる全ての重篤な救急患者 | - 救急車 - ドクターカー - ドクターヘリ |
- 救命救急センター - 高度救命救急センター |
参照:厚生労働省「医療計画における救急医療提供体制」
厚生労働省「医療計画における救急医療提供体制」によると、二次救急とは、救急患者への初期治療と応急処置を行い、必要に応じて入院治療を行う医療機関のことです。一次救急よりも重症な患者の治療を担っています。
二次救急のうち、都道府県知事が認定している救急告示医療機関は24時間体制で患者を受け入れていますが、地域によっては一次救急と同様、「輪番制」で夜間休日の救急医療に対応している場合も珍しくありません。
三次救急では、救命救急医療や高度医療を提供しており、一次救急や二次救急では対応が難しい患者に対応しています。国立病院機構の医療センターや大学病院、都道府県立・市立の病院といった大病院が多く、四肢切断や急性中毒など特殊な疾患にも対応できる「高度救命救急センター」を擁している病院もあるようです。
一次救急の病院・クリニックで働く看護師の仕事内容
一次救急の病院・クリニックで働く看護師の主な仕事内容について、みていきましょう。
医師の診察・検査の補助
一次救急で働く看護師は、診察室への呼び出しや医師の診察補助を行います。血液検査や画像検査が必要な患者に対し、採血やレントゲン撮影の準備を行うのも看護師の仕事です。
一次救急に来る患者は自覚症状があって病院に来ており、痛みや苦しさを強く訴える場合もあります。看護師は決められた業務を行うだけでなく、患者の症状が少しでもよくなるよう待機中や診察中の患者に楽な体勢を取ってもらったり、更なる症状悪化がないか観察したりすることが求められるでしょう。
注射・点滴などの医療処置
一次救急の看護師は、医師の指示を受けて注射や点滴などの医療処置を行います。縫合やデブリードマンが不要な創傷処置や、点滴中の患者から呼び出しコールがあった場合も看護師が対応するようです。
搬送準備
一次救急では、病状が悪く対応不可と判断した患者がいたら、二次救急か三次救急へ案内することも。患者が1人で来院していて移動が難しい場合や、早急な処置が必要な場合は、救急車を要請して患者を運びます。
搬送を行うときは医師は搬送先の病院へ紹介状を書く準備があるため、救急車の手配や搬送先の病院への事前連絡、搬送にかかる患者の身の回りの準備は看護師の担当です。
一次救急とは比較的軽症の救急患者に対応する医療機関
- 一次救急では、自家用車などで来院できる比較的軽症の救急患者の治療を行う
- 一次救急と二次救急・三次救急の違いは、患者の重症度や疾患、行える治療など
- 一次救急で働く看護師は診療補助や医療処置だけでなく搬送準備を行うこともある
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