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認知症介護の研修とは?基礎研修・実践者研修について紹介

「認知症介護の研修とは?」「どのような人が受けるべき?」と疑問に思う人もいるでしょう。2024年度より認知症介護に携わる方は、公的研修の受講が必須となりました。認知症介護の公的研修は受講対象者ごとに基礎研修や実践者研修など4種類に分かれています。この記事では認知症介護基礎研修・実践者研修についてご紹介。認知症介護の公的研修の目的についても詳しく説明していますので、ぜひ参考にしてください。

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認知症介護の公的研修の種類

認知症の方の介護を行うには、介護のスキルだけでなく認知症の特性や適切な対応についても理解が必要です。そこで、認知症介護に携わる職員を対象に、都道府県や指定都市などが主体となって公的研修が行われています。

認知症介護研究・研修センター「知っていますか?認知症介護実践者等養成事業」によると、認知症の公的研修は初心者向けから職員を指導する方向けまで、内容や求められるスキルごとに以下の4種類に分かれています。

  • 認知症介護基礎研修
  • 認知症介護実践者研修
  • 認知症介護実践リーダー研修
  • 認知症介護指導者養成研修

認知症介護実践者研修と認知症介護実践リーダー研修は、まとめて「認知症介護実践研修」と呼ばれることもあるようです。

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認知症介護の公的研修の目的は?

そもそも認知症の方の介護に携わる職員に対し、なぜ公的研修が行われているのでしょうか。認知症介護研究・研修センター「知っていますか?認知症介護実践者等養成事業」には、認知症介護の公的研修の目的として以下の2点が定義されています。

  • 高齢者介護の仕事に従事する人やその指導的立場にある人に対して、認知症介護に関する基礎的および実践的な研修を実施すること
  • 認知症ケアを提供する事業所を管理する立場にある人などに対して、適切なサービスの提供に関する知識などを修得するための研修を実施すること

厚生労働省「認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)の概要」によると、2025年には高齢者の約5人に1人(約700万人)が認知症またはその予備群になるといわれており、高齢化の進展に伴い、認知症の人はさらに増加することが見込まれています。そのため、「認知症の人の生活を支える介護の提供」を適切に行うためには、介護職員向けに認知症介護の公的研修を行うべきということになったのです。

特に新任の介護職員向けには認知症介護基礎研修を行うことで、認知症の容体に応じた適時・適切な医療・介護等の提供を実現するという目的が含まれています。また、ほかの職員へ指導する立場の職員に対しても研修を行うことで、事業所におけるサービス全体の質を高く保ち、適切な介護に繋げる目的もあるようです。

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認知症介護基礎研修とは

認知症介護基礎研修は認知症介護の公的研修のうち、介護業務初心者の職員向けの研修です。
厚生労働省「令和3年度介護報酬改定の主な事項について」によると、令和3年度(2022年度)の介護報酬改定において、「介護に直接携わる職員は、認知症介護基礎研修を受講するための措置を義務付ける」と規定されました。そのため、経過措置期間が終了する2024年4月以降は、義務免除とされる医療・介護系の資格を持っている場合を除き、認知症介護基礎研修を修了しなければ認知症介護に携われません。

認知症介護基礎研修の受講対象者

認知症介護基礎研修の受講対象者は、「介護サービス事業者などにおいて、介護に直接携わる職員のうち医療・福祉関係の資格を有しない人」とされています。

社会福祉法人東北福祉会 認知症介護研究・研修仙台センター「認知症介護基礎研修とは」によると、研修の義務付けが免除される資格は以下のとおりです。

  • 医師、歯科医師、薬剤師
  • 看護師、准看護師
  • 介護福祉士、実務者研修修了者、介護職員初任者研修修了者、生活援助従事者研修修了者、介護職員基礎研修課程または訪問介護員養成研修一級課程・二級課程修了者
  • 理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、あん摩マッサージ師、はり師、きゅう師
  • 管理栄養士、栄養士
  • 社会福祉士、介護支援専門員(ケアマネジャー)、精神保健福祉士など

以上の資格を持つ人は、認知症介護に携わるにあたって、新たに認知症介護基礎研修を受講する必要はありません。なお、上記の資格を持っている場合でも任意受講は可能です。

認知症介護基礎研修の内容

社会福祉法人東北福祉会 認知症介護研究・研修仙台センター「認知症介護基礎研修とは」によると、認知症介護基礎研修で学習する内容は以下のとおりです。

学習内容
詳細
1.認知症の人を取り巻く現状 - 認知症施策の概要(認知症施策推進大綱)
2.具体的なケアを提供するときの判断基準となる考え方 - 基礎となる理念や考え方
- 尊厳の保持、偏見や誤解の解消
- 日常生活・社会生活における意思決定支援とは
3.認知症の人を理解するために必要な基礎的知識 - 認知症の症状と生活や心理への影響
- 症状出現に影響する要因
4.認知症ケアの基礎的技術に関する知識と実践上の留意点 - チームケアの観点を含めた基礎的な認知症ケアの方法
- 家族介護者への支援方法

引用:社会福祉法人東北福祉会 認知症介護研究・研修仙台センター「認知症介護基礎研修とは」

認知症介護基礎研修では、認知症ケアの基本的な知識について学習できます。上記の学習内容ごとに動画を視聴して、学習を進める形式です。

認知症介護基礎研修にかかる時間・費用

認知症介護基礎研修は、e-ラーニングのみで1日で受講できる研修です。講義動画は計150分あり、最後に確認テストに合格する必要があります。
研修は、序章と前述の4つの学習内容の5つの章に分かれており、動画を見て復習問題に取り組み、確認テストに合格したら次の章に進める仕組みです。全て修了したら修了証書をダウンロードできます。

社会福祉法人東北福祉会 認知症介護研究・研修仙台センター「受講までの手続き3STEP」によると、受講料は2024年6月現在で3,000円です。

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認知症介護実践者研修とは

認知症介護研究・研修センター「知っていますか?認知症介護実践者等養成事業」によると、認知症介護実践者研修とは、
認知症についての理解のもと本人主体の介護を行い、できる限り認知症の進行を遅らせ、行動・心理症状(BPSD)を予防できるよう、適切な認知症介護を提供するための理念や技術を修得する研修です。認知症介護基礎研修よりも、問われる知識やスキルが一段階高い研修となります。

認知症介護実践者研修の受講対象者

認知症介護研究・研修センター「知っていますか?認知症介護実践者等養成事業」によると、認知症介護実践者研修の受講対象者は、以下のとおりです。

  • 原則として身体介護に関する基本的知識・技術を修得している者
  • おおむね実務経験2年程度の者
  • 認知症介護基礎研修を修了した者あるいは同等の能力を有する者

前述のとおり、認知症介護実践者研修は認知症介護基礎研修の上位研修ですので、認知症介護基礎研修を修了している方や同等のスキルがある方が対象となります。

認知症介護実践者研修の内容

認知症介護研究・研修センター「知っていますか?認知症介護実践者等養成事業」によると、認知症介護実践者研修の研修カリキュラムは、以下のとおりです。

                                                                                                                                                                                           
行程科目時間数
前期1.認知症ケアの基本認知症ケアの理念・倫理と意思決定支援180分
生活支援のためのケアの演習1300分
QOLを高める活動と評価の観点60分
家族介護者の理解と支援方法90分
権利擁護の視点に基づく支援90分
地域資源の理解とケアへの活用120分
インターバル期間:自施設で後期の「学習成果の実践展開と共有」の課題に取り組む
後期2.認知症の人への具体的支援のためのアセスメントとケアの実践学習成果の実践展開と共有60分
生活支援のためのケアの演習2(行動・心理症状)240分
アセスメントとケアの実践の基本300分
職場実習の課題設定240分
3.実習職場実習(アセスメントとケアの実践)4週間
職場実習評価180分

引用:認知症介護研究・研修センター「知っていますか?認知症介護実践者等養成事業」

上記の時間数は標準的なカリキュラムに基づくもので、実施主体により異なる場合があります。認知症介護基礎研修と違って個々の科目もボリュームがあり、カリキュラムに職場実習が含まれているのが特徴です。

認知症介護実践者研修にかかる時間・費用

認知症介護実践者研修は、全ての研修・実習期間を合わせると、2ヶ月ほどかかるようです。研修費用は研修を実施する都道府県・指定都市により金額が異なりますが、3万円前後と考えておいた方が良いでしょう。受講代の補助が出たり、受講代と別に教材費がかかったりするケースもあるため、詳しくは受講先の都道府県・指定都市に確認するのをおすすめします。

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認知症介護の公的研修はケアを行う職員であれば受講必須

  • 認知症介護の公的研修は4種類あり、都道府県や指定都市が主体となって実施されている
  • 認知症介護基礎研修は介護職初心者向けの研修で、1日あればe-ラーニングで修了できる
  • 医療・介護の資格がない方が認知症介護に携わるには認知症介護基礎研修の修了が必須
  • 認知症介護実践者研修は認知症介護基礎研修の上位研修で、科目に職場実習を含む

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