豆知識
三次救急とは?施設概要や救急指定病院について知ろう
5 months ago
「三次救急とは何のこと?」と疑問に思う方もいるでしょう。三次救急とは救急指定病院の区分のひとつで、一次救急や二次救急で対応できない病態の患者に対し、より高度な救急医療を提供する病院のことです。この記事では、三次救急や救急指定病院について解説しています。一次救急・二次救急との違いについても紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
三次救急とは
厚生労働省「医療計画における救急医療提供体制」と厚生労働省「救命救急センター及び二次救急医療機関の現状」によると、三次救急とは、重症および複数の診療科領域にわたる全ての重篤な救急患者を対象に、24時間体制で救急医療を行う救急指定病院のことです。救急救命センターがある病院と理解しても良いでしょう。
救急患者のなかでも、一次救急や二次救急では対応が難しく、入院加療や救命救急医療が必要な患者を受け入れるため、救急医療の「最後の砦」と呼ばれることもあります。また、高度医療や救急救命医療が提供されることから、医学生や研修医、看護学生などに対する臨床教育を行う役割もあるのが特徴です。
三次救急を担う救命救急センターの中でも、さらに特殊な疾患の患者に対する診療機能を持つ医療機関として「高度救命救急センター」も存在します。高度救命救急センターでは、広範囲熱傷や四肢切断、急性中毒などの患者にも対応できるスタッフ・機材・体制を整えています。
厚生労働省「救命救急センター設置状況一覧」によると、2023年12月1日時点で救急救命センターがある病院、つまり三次救急医療機関は、全国に304施設あります。国立病院機構の医療センターや大学病院、都道府県立・市立の病院といった大病院が多いようです。
三次救急と一次救急・二次救急の違い
一次救急・二次救急・三次救急は、まとめて救急指定病院と呼ばれます。救急指定病院とは、都道府県知事より指定を受けて救急患者の診療を行う病院のことです。では、3区分のそれぞれの違いはどのような点なのでしょうか。
厚生労働省「医療計画における救急医療提供体制」によると、一次救急・二次救急・三次救急の違いは以下のとおりです。
一次救急 | - 比較的軽症の救急患者 - 処置を受ければ日帰りできる症状の患者 |
- 徒歩 - 自家用車 - タクシー - 公共交通機関 |
- かかりつけ医 - 当番医 - 休日夜間急患センター |
二次救急 | - 入院治療や手術を必要とする重症の救急患者 | - 自家用車 - タクシー - 公共交通機関 - 救急車 |
- 救急告示医療機関 - 病院群輪番制 |
三次救急 | - 重症および複数の診療科領域にわたる全ての重篤な救急患者 | - 救急車 - ドクターカー - ドクターヘリ |
- 救急救命センター - 高度救急救命センター |
参照:厚生労働省「医療計画における救急医療提供体制」
以下では、一次救急と二次救急について詳しく解説します。
一次救急
厚生労働省「医療計画における救急医療提供体制」によると、一次救急とは、独歩で来院する軽度の救急患者への夜間及び休日における外来診療を行う医療機関です。救急患者の最初の受け皿となるため、「初期救急」とも呼ばれます。
休日・夜間といった医療機関の診療時間外に、発熱や嘔吐下痢症などの重症ではないが診療時間まで待てない症状が出た場合、受診できる体制が整っているのが特徴です。休日夜間急患センター以外のかかりつけ医は、地域の医療機関で当番制にして診療体制をとります。
二次救急
厚生労働省「医療計画における救急医療提供体制」によると、二次救急とは、地域で発生する救急患者への初期治療と応急処置を行い、必要に応じて入院治療を行う医療機関のことです。脳卒中、急性心筋梗塞に対する医療など、自施設で対応可能な範囲において高度な専門的診療を担う二次救急医療機関もあります。自施設では対応困難な救急患者については、必要な救命処置を行ったあと、速やかに三次救急へ紹介する判断が求められるようです。
二次救急のうち、都道府県知事が認定している救急告示医療機関は、24時間体制で患者を受け入れています。地域によっては、複数の病院で日によって当番を決めて救急患者を受け入れる「輪番制」で、夜間休日の救急医療に対応している場合も珍しくありません。
三次救急などの救急指定病院の役割は?
厚生労働省「医療計画において明示される救急医療に関する機能」によると、救急指定病院が任される救急医療の機能は以下のとおりです。
- 休日夜間急患センターや24時間対応する診療所などで初期の救急医療を提供する機能
- 緊急手術や入院を必要とする救急患者に医療を提供する機能
- 生命にかかわる重篤な救急患者に救命医療を提供する機能
- 精神科救急について、輪番制による緊急時における適切な医療および保護の機会を確保するための機能、重度の症状を呈する精神科急性期患者に対応するための中核的な機能
このように救急医療にはさまざまな役割があり、これらの機能を地域へ提供するのが救急指定病院の役割です。しかし、医療資源には限りがあるうえに、医療機関の人材不足や医療需要の増加といった問題も発生しているため、救急指定病院を一次救急・二次救急・三次救急に分けることで、医療の安定供給を行っています。
たとえば、かぜやインフルエンザの患者が「大きな病院だから安心」と、大学病院を選択して救急外来に来ても良いことになっていたらどうなるでしょう。同様の患者が大病院に集まってしまうと、重症患者や一刻を争う救命処置が必要な患者が、迅速に処置を受けられなくなることも考えられます。
そのため、より多くの人に適切な救急医療を提供するために、また、大病院に負担が集中するのを防ぐために、患者の重症度により医療機関を区分して、救急医療体制を整えるのも救急指定病院制度の役割です。また、「二次救急に来た患者が想定より容体が悪い場合、三次救急に搬送する」というように救急指定病院同士が連携することで、患者に適切な医療処置を行えるようにする役割もあります。
三次救急とは高度な救命救急医療を提供する救急指定病院
- 三次救急では診療科を問わず重症・重篤な患者に対して救命救急処置や手術を行う
- 救急指定病院は患者の重症度により一次救急・二次救急・三次救急に分かれている
- 三次救急などの救急指定病院の役割は、より多くの人に適切な医療提供を行うこと
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