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介護士の給料は上がる?現状や今後の傾向、職場・資格別の比較

介護職・ヘルパー13 days ago

「介護士の給料はどのくらいなの?安いの?」と疑問に思っている方もいるでしょう。2022年の介護職員の平均給与は常勤職員で約31万円となっています。この記事では、介護士と他職種の給料の比較や職場・年代別の比較、給与を上げる方法について解説しています。介護士の給料は今後上がるのかについても触れていますので、ぜひ参考にしてください。

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介護士の給料はどのくらい?

厚生労働省「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果」によると、介護職員処遇改善支援補助金を取得している事業所における、2022年9月の介護職員の平均給与額とその内訳(月給の場合)は以下のとおりです。


平均給与額
平均給与額の内訳
平均基本給額
(平均給料)
平均手当額 平均一時金額
常勤
31万7,540円
18万6,190円
8万670円
5万680円
非常勤
20万9,540円
13万7,790円
5万520円
2万1,240円

平均給料だけに着目すると20万円に届かず、低いように思う方もいるかもしれません。しかし、手当や一時金が充実しており、結果的に常勤の平均給与額は約31万円になっています。

なお、厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査」のデータをみると、2022年の介護職員(医療・福祉施設等)の給与(きまって支給する現金給与額)は25万7,500円でした。また、同調査において全職種の給与の平均額を算出すると、33万6,400円となっています。

以上を踏まえると、介護士の平均給与は全職種の平均より約7万8,000円低いという結果です。

介護施設で働く職員の職業別給料

介護士と、介護施設で働いている他職種の職員の給料を比較してみましょう。
厚生労働省「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果」によると、介護職員処遇改善支援補助金を取得している事業所における、2022年9月の介護従事者等の平均給与額と内訳(月給・常勤の場合)は以下のとおりです。


平均給与額
平均給与額の内訳
平均基本給額
(平均給料)
平均手当額 平均一時金額
介護職員
31万7,540円
18万6,190円
8万670円
5万680円
看護職員
37万3,750円
23万3,820円
7万7,380円
6万2,560円
生活相談員・支援相談員
34万2,330円
21万4,470円
7万1,450円
5万6,420円
理学療法士、作業療法士、言語聴覚士
または機能訓練指導員
35万4,770円
22万8,610円
6万6,320円
5万9,840円
介護支援専門員
36万1,770円
22万50円
8万2,960円
5万8,760円
事務職員
30万7,960円
20万4,600円
4万7,290円
5万6,070円
調理員
26万90円
18万40円
3万3,070円
4万6,980円
管理栄養士・栄養士
31万6,320円
20万8,140円
4万8,270円
5万9,910円

国家資格を必要とする看護職員やリハビリ職員、介護支援専門員(ケアマネジャー)などは介護職員よりも給料が高くなっています。無資格で就ける職種としては、介護職員以外に事務職員と調理員がありますが、そのなかでは介護職員の平均給与額が最も高くなっています。

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介護士の給与の職場・資格・年代別比較

介護士の給料は職場や保有資格、年代などでどのように変わってくるのでしょうか。それぞれの項目別に給与を比較してみましょう。

職場別

介護士の給料は、介護施設の種類によっても異なります。
厚生労働省「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果」によると、介護職員処遇改善支援補助金を取得している事業所における、2022年9月のサービス種類別の介護職員の平均給与額(月給・常勤の場合)は以下のとおりです。

介護施設の種類 平均給与額
介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)
34万8,040円
介護老人保健施設
33万9,040円
介護療養型医療施設
27万6,400円
介護医療院
32万700円
訪問介護事業所
31万5,170円
通所介護事業所
27万5,620円
通所リハビリテーション事業所
30万4,790円
特定施設入居者生活介護事業所
31万3,920円
小規模多機能型居宅介護事業所
28万7,970円
認知症対応型共同生活介護事業所
29万1,080円

要介護度の高い利用者が多い介護老人福祉施設や介護老人保健施設は、身体介助の機会が多く、夜勤もあって介護士の負担が比較的大きい職場のため、給与が高いことが多いようです。

一方、夜勤のない通所介護事業所や、自立度の高い利用者が比較的多い小規模多機能型居宅介護事業所・認知症対応型共同生活介護事業所は、全体の中では給与が低くなっています。

保有資格別

介護士は無資格であってもできる仕事ですが、介護の資格を持っていたほうが給料は上がる傾向があります。
厚生労働省「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果」によると、介護職員処遇改善支援補助金を取得している事業所における、2022年9月の保有資格別の介護職員の平均給与額(月給・常勤の場合)は、以下のとおりです。

保有資格状況 平均給与額
保有資格あり
32万540円
介護福祉士
33万1,080円
社会福祉士
35万120円
介護支援専門員
37万6,770円
介護福祉士実務者研修
30万2,430円
介護職員初任者研修
30万240円
保有資格なし
26万8,680円

上記のデータをみると、介護士は保有資格の有無によって平均給与に約5万円差があり、介護の資格を持っていた方が給与が高くなることは明らかといえるでしょう。特に、介護支援専門員(ケアマネジャー)の資格は受験要件が厳しく試験も難しいことから、保有していると大幅に給料が上がるようです。

介護職の初心者向けの資格である介護職員初任者研修であっても、資格手当や昇給により無資格者と比べて3万円ほど給与が上がっています。

年代別

厚生労働省「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果」によると、介護職員処遇改善支援補助金を取得している事業所における、2022年9月時点の性・年齢階級別の介護職員の平均給与額(月給・常勤の場合)は以下のとおりです。

平均給与額
男性 女性
29歳以下
29万50円
28万3,150円
30~39歳
33万7,360円
30万9,070円
40~49歳
35万9,180円
31万8,630円
50~59歳
33万9,040円
31万7,030円
60歳以上
27万9,880円
29万1,090円
全年代の平均
33万4,250円
30万8,880円

介護士の給与は、年を重ねるにつれて少しずつアップしていくようです。男女ともに、収入のピークは40代となっています。

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介護士の給料は今後上がる?

ここまで、介護士の給料の現状について紹介してきました。介護施設で働くほかの職種と比べると高いほうではない介護士の給料ですが、今後上がる見込みはあるのでしょうか。

5年間の推移をみると上昇傾向

介護士の給料を過去5年間にわたってみてみると、少しずつ上昇していることが分かります。
厚労省の「介護従事者処遇状況等調査結果」より、2018年から2022年における5年間の介護職員の平均給与額(月給・常勤の場合)は以下のとおりです。


平均給与額
平均給与額の内訳
平均基本給額
(平均給料)
平均手当額 平均一時金額
2018年9月
30万970円
18万1,220円
7万1,330円
4万8,420円
2019年2月
30万120円
17万9,100円
7万350円
5万660円
2020年2月
31万5,850円
18万2,260円
7万8,440円
5万5,150円
2021年9月
31万6,610円
18万7,180円
8万1,110円
4万8,320円
2022年9月
31万7,540円
18万6,190円
8万670円
5万680円

参考:厚生労働省
平成30年度介護従事者処遇状況等調査結果」(加算(Ⅰ)~(Ⅴ)を取得している事業所)
令和2年度介護従事者処遇状況等調査結果」(処遇改善加算(Ⅰ)~(Ⅴ)を取得している事業所)
令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果」(処遇改善加算(Ⅰ)~(Ⅴ)を取得している事業所)
令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果」(介護職員処遇改善支援補助金を取得している事業所)

以上のデータをみると、多少前年より減少している年もありますが、全体的に給与は上昇傾向といえます。今後も少しずつではありますが、給料が上がることが見込まれるでしょう。

介護報酬加算による給与アップもみられる

介護士の給料の低さは以前より問題視されており、国を挙げて処遇改善の取り組みが始まっています。その一つが、「介護職員処遇改善加算」の導入です。

厚生労働省老健局老人保健課「2019年度介護報酬改定について」によると、介護職員処遇改善加算は、介護人材の安定確保・処遇改善を目的として設けられた加算で、事業所が届け出をして、要件を満たせば国から加算を受け取れます。正社員はもちろん、パートや派遣社員も加算分の給与を受け取れるのが特徴です。
厚生労働省「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果」によると、2022年12月末時点で介護職員処遇改善加算を届け出ている介護施設は全国で94.5%となっています。

また、経験・技能のある介護職員を対象とした「特定処遇改善加算」という加算制度もあります。特定処遇改善加算は2019年に開始した制度で、厚生労働省老健局老人保健課「2019年度介護報酬改定について」によると、勤続10年以上の介護福祉士に月額8万円相当の賃上げまたは年収440万円までの賃金増を行うという加算です。こちらも事業者が加算の届け出をする必要があります。

このように、介護士の処遇改善に関する動きは国を挙げて始まっているようです。社会全体の高齢化は今後も進んでいくと予測されており、介護人材の確保のため処遇改善の動きも高まっていくでしょう。

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介護士の給与を上げるには?

勤続による昇給や加算制度に期待するのも良いですが、自分から行動を起こすことで介護士の給与(基本給や手当などの額)を上げることもできます。ここでは、介護士の給与を上げる方法について紹介します。

夜勤を増やす

夜勤のある施設で働いている場合、夜勤1回あたり決まった金額の夜勤手当を貰えます。そのため、夜勤の回数を増やせば手当が増え、給与アップが可能です。しかし、無理に夜勤の回数を増やすと生活リズムが乱れ、体調を崩す原因になることも。夜勤を増やしたい方は給与のことだけを考えるのではなく、自分の体調とも相談しながら無理のない範囲で増やしてみるのをおすすめします。

資格を取得する

介護の仕事は無資格・未経験からでも始められますが、資格を取得することで介護に必要なスキルや知識が身につくうえ、資格手当を貰えることもあります。前述のとおり、介護士は資格の有無で給与に差が出るようです。難易度の高い資格を取得するほど、給与アップも見込まれます。無資格の方は介護職員初任者研修から挑戦してみるのも良いでしょう。

役職・専門職に就く

リーダーや主任、管理者・施設長などの役職に就くことで、給与がアップすることもあります。役職に就くと「役職手当」が出ることがあるからです。

また、介護士からステップアップして、生活相談員や介護支援専門員(ケアマネジャー)などの専門職に就くのもおすすめです。専門職になれば基本給アップが見込めるうえ、専門職には資格取得が必須なことも多く、資格手当も上乗せできます。
介護士としてキャリアを重ねてきた方は、役職や専門職へのステップアップを目指してみても良いかもしれません。

給与の高い職場に転職する

給与を上げるためには、給与の高い職場に転職するという選択肢もあります。
介護業界では、自立度の高い利用者の多い施設は比較的給与が低く、要介護度が高い利用者が多い施設や経営母体が大きい法人は給与が高い傾向があります。ただし、介護職の経験が浅い方が介護度の高い職場にいきなり転職すると、仕事内容や体力面でついていけないことも。転職の際は、転職先の施設についてよく調べて、慎重に検討するようにしましょう。

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介護士の給料は今後上がる見込みがある

  • 介護士の給料は要介護度の高い職場で働く場合や資格を持っている場合だと高くなる
  • 介護士の給料は年々増加傾向にあり、加算制度で国を挙げて処遇改善が進んでいる
  • 介護士の給料を上げるには夜勤を増やしたり資格を取得したりするという方法がある

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