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薬剤師になるには?薬系大学の学費や国家試験について解説!
7 months ago
「薬剤師になるには、どのようなルートがあるの?」と疑問に思っている方もいるでしょう。薬剤師になるには薬系大学を卒業したのち、国家試験の合格が必要です。この記事では、薬剤師になるためのルートや国家試験について詳しく解説しています。薬剤師になる方法を知りたい方からのよくある質問にもお答えしていますので、ぜひご覧ください。
薬剤師とは
薬剤師とは、薬に関する業務をとおして、公衆衛生や人々の健康を支える専門職です。医療機関や調剤薬局、介護施設などに勤務し、医師からの処方箋をもとに薬の確認・調剤や服薬指導、薬の管理などを行うのが主な仕事です。ドラッグストアやスーパーなどで一般用医薬品の販売に携わったり、製薬会社でMR(医薬情報提供者)や薬の製造・開発者として活躍していたりするケースもあります。
薬剤師は薬剤師法 により定義される、国家資格です。薬剤師法による薬剤師の定義は「薬剤師は、調剤、医薬品の供給その他薬事衛生をつかさどることによって、公衆衛生の向上及び増進に寄与し、もって国民の健康な生活を確保するものとする」とされています。
薬剤師になるには6年制薬系大学への進学が必要
薬剤師になるには、国家試験の受験資格となっている6年制薬系大学への進学が必須となります。入学後は4年次に薬学共用試験を受験し、合格したら5年次に進んで実務実習を行う流れです。6年次は卒業論文の作成に取り掛かるとともに、国家試験対策も本格的にスタートしていくことになります。
薬系大学は全国に何校ある?
文部科学省「薬科大学(薬学部)学科別一覧 2023年(令和5年)度」によると、6年制薬系大学(薬学部)は国公立が19校、私立が58校あります。薬剤師になるにはまず、この大学のいずれかに入学することが必要です。
大学の学費はどのくらいかかる?
薬学部の学費のうち、国立大学は文部科学省令第十六号により入学金や授業料が決まっています。国立大学の薬学部の学費は、入学金は28万2,000円、授業料は1年あたり53万5,800円です。
私立大学は大学によって学費が異なり、金額に幅があります。入学金は約30~40万円、授業料は1年で200万円ほどかかるようです。
薬剤師国家試験の出題科目や合格率
薬剤師になるには、最終的に国家試験に合格する必要があります。薬剤師の国家試験は、例年1月上旬に願書提出、2月中旬に試験、3月下旬に合格発表という流れになっています。ここでは、試験の概要や合格率について詳しくみていきましょう。
試験概要
厚生労働省「薬剤師国家試験」より、2024年2月に実施された薬剤師国家試験の情報によると、試験は2日間にわたって行われます。試験地は東京都や愛知県、大阪府などの全国9ヶ所です。
厚生労働省「『新薬剤師国家試験について』の一部改正について(合格基準の改正)」によると、試験の出題科目は以下のとおりです。
- 物理・化学・生物
- 衛生
- 薬理
- 薬剤
- 病態・薬物治療
- 法規・制度・倫理
- 実務
薬剤師国家試験では、以上の7科目の問題が必須問題・一般問題(薬学理論問題)・一般問題(薬学実践問題)の問題区分に分けられます。
試験は問題区分ごとに行われ、必須問題1コマ、一般問題は薬学理論問題と薬学実践問題がそれぞれ2コマずつ、計5コマの試験を受ける形式です。問題は5択問題になっており、正解を1つまたは2つ選ぶ形式になっています。
合格基準と禁忌肢について
厚生労働省「『新薬剤師国家試験について』の一部改正について(合格基準の改正)」によると、薬剤師国家試験の合格基準は以下のとおりです。
- 正答率が平均点と標準偏差を用いた相対基準を上回る
- 必須問題の正答率が70%以上、かつ各科目の正答率が30%以上
- 禁忌肢問題の選択を加味
薬剤師国家試験に合格するには、以上の合格基準すべてを満たす必要があります。正答率は一概に何割と決まっているわけではなく、相対基準により決定するため、問題の難易度などにより毎年合格ラインがやや上下するようです。また、問題区分・科目ごとにも合格ラインが存在しています。
また、合格基準に含まれている「禁忌肢」とは、選択すべきでない選択肢のことです。 厚生労働省「薬剤師国家試験のあり方に関する基本方針」によると、禁忌肢の基準は以下のとおりです。
- 公衆衛生に甚大な被害を及ぼすような内容
- 倫理的に誤った内容
- 患者に対して重大な障害を与える危険性のある内容
- 法律に抵触する内容
禁忌肢は、誤った知識を持った受験者を識別するという観点から、作問されています。以前は禁忌肢を3つ以上選ぶと不合格とされていましたが、近年は不合格となる基準数と、どの選択肢が禁忌肢であるかも含め、詳細は明かされていません。
過去の合格率
厚生労働省「第108回薬剤師国家試験の結果について」によると、2021年~2023年の3年間に実施された薬剤師国家試験の合格率は以下のとおりです。
第106回 (2021年実施) |
1万4,031人 | 9,634人 | 68.66% |
第107回 (2022年実施) |
1万4,124人 | 9,607人 | 68.02% |
第108回 (2023年実施) |
1万3,915人 | 9,602人 | 69.00% |
以上をみると、薬剤師国家試験の合格率は70%ほどで推移していることが分かります。
薬剤師の目指し方に関するよくある質問
ここでは、薬剤師になるにはどうすればよいのか疑問に思っている方からのよくある質問にお答えします。
一般系大学を卒業した社会人が薬剤師になるには?
薬剤師になるには、一般系大学を卒業した人も高卒などの人と同じく、薬系大学に入学し、6年間学びなおして国家資格の受験資格を得る必要があります。薬系大学には通信制や夜間制はないので、社会人の方が働きながら薬剤師を目指すのは難しいといえそうです。
薬系大学は4年制もあると聞いたのですが4年制ではだめ?
薬系大学に6年制と4年制があるのは、6年制は薬剤師の養成、4年制は研究者の養成とそれぞれの目的が違うからです。4年制の薬系大学では、薬剤師国家試験の受験資格が得られません。
以前、薬剤師国家試験の受験資格を得られる薬系大学は4年制でしたが、2006年度より4年から6年とするように延長されました。その際に、薬剤師の資格を取らずに薬に関する専門知識をつけ、製薬会社や大学で薬の研究や新薬開発に携わる人もいることを考慮し、一部の大学では4年制学科が残された経緯があります。
しかし、研究者になるには修士号・博士号を取得しなければならないため、4年制学科を卒業しても大学院に進学することになり、結局6年間は大学に通うことになるのです。
2006年度からしばらくは、4年制学科の卒業者でも条件を満たせば、特例として薬剤師国家試験の受験資格を得られる仕組みになっていました。しかし、文部科学省「薬学教育制度の概要」によると、「2018年度以降の薬系大学入学者で、薬剤師国家試験を受験できるのは6年課程の修了者のみ」と特例が廃止され、基準が変更になっています。そのため、4年制大学で大学院に進学し、6年学んだとしても、薬剤師の受験資格は得られないので注意が必要です。
薬剤師になるには6年制大学を経て国家資格の取得が必要
- 薬剤師は医療機関や調剤薬局などで薬の調剤・管理・服薬指導を行う職業
- 薬剤師になるには6年制の薬系大学を卒業し、国家試験に合格する必要がある
- 薬剤師の国家試験は年に1回行われており、合格率は7割前後
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