職種・資格情報

登録販売者とは?仕事内容や資格、給料をわかりやすく解説

7 months ago

「登録販売者とはどのような職業?」
このように登録販売者について詳しく知らない方も多いでしょう。登録販売者は、ドラッグストアなどで第二類・第三類の一般用医薬品が販売できる専門職です。この記事では、登録販売者の仕事内容や資格、活躍できる職場についてわかりやすく解説しています。気になる給料や薬剤師との違いについても説明していますので、ぜひご覧ください。

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登録販売者とは?

登録販売者とは、ドラッグストアや薬局などで第二類・第三類医薬品を販売できる専門職です。2006年の薬事法改正により誕生した資格になります。

2006年以前、医薬品を販売するには薬剤師の配置が必要でした。しかし、近年では薬剤師が人手不足となっており、薬を購入したいお客様がいるにもかかわらず薬を販売できないという状況が懸念される事態に。

そこで誕生したのが、登録販売者でした。一般用医薬品の9割以上を占めている第二類・第三類医薬品を適切に管理・販売するために、登録販売者は症状に合う薬を提案したり、薬の成分・効能や服用・使用方法、副作用についての情報提供をしたりしています。

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登録販売者と薬剤師の違い

まず、登録販売者は、処方箋に基づいた薬の調剤ができません。また、一般用医薬品のうち、第一類医薬品が取り扱えない決まりになっています。薬剤師は薬の調剤と第一類医薬品の取り扱いのどちらも行える職種です。

また、資格面では登録販売者は国家資格かどうかの見解が明確ではありません。国の資格制度ではありますが、「国家資格」との記載はなく、試験・認定は都道府県が行っています。
一方、薬剤師は明確に国家資格と認められた資格です。薬系大学を卒業後、国家資格に合格しなければ資格が得られません。

第一類・第二類・第三類医薬品とは

ここでは、記事冒頭から登場している医薬品の区分について、厚生労働省の「一般用医薬品のインターネット販売について」「一般用医薬品のリスク区分」の資料をもとに確認しておきましょう。

私たちが普段使用する医薬品は、医療用医薬品・要指導医薬品・一般用医薬品に分かれており、販売場所や取り扱いが異なります。具体的な区分けは以下のとおりです。

                                                                                     

医薬品の種類

販売場所

ネット販売
取り扱いできる人
薬剤師登録販売者
医療用医薬品
医療機関(院内処方)、調剤薬局
×
×
要指導医薬品


薬局、ドラッグストアなど
×
×


一般用医薬品
第一類医薬品
×
第二類医薬品
第三類医薬品

医薬品は医療用、要指導、一般用の順で販売場所や取り扱える職種の幅が広くなります。
医療用医薬品は、医師が出した処方箋が必要な薬のことで、医療機関の院内薬局や調剤薬局で薬剤師が管理・調剤・服薬指導を行う薬です。いわゆる、病院で出してもらう薬のことを指します。

一方、要指導医薬品や一般用医薬品は、薬局やドラッグストアで購入できます。要指導医薬品は、薬剤師による対面説明が必要な薬で、ネット販売はできません。原則3年間、要指導医薬品として販売されたあと、安全性に問題がないことが確認できたら、一般用医薬品へ移行します。

一般用医薬品のうち、第一類医薬品は副作用・相互作用などの項目で安全性上、特に注意を要するものであり、販売は薬剤師に限定されます。販売の際は書面による情報提供が義務です。

第二類医薬品はかぜ薬や解熱鎮痛剤、胃腸鎮痛薬など、第三類医薬品はビタミンB・C含有保健薬や整腸剤などが含まれ、登録販売者も販売できます。情報提供に関しては第二類は努力義務、第三類は法的制限がありません。

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登録販売者と調剤事務の違い

薬に関連する仕事として、「調剤事務」という職種もあります。調剤事務は調剤薬局に勤務する事務職で、患者の受付や会計、調剤報酬を計算するレセプト業務などを行うのが仕事です。調剤薬局や調剤薬局が併設されているドラッグストアなどに勤める登録販売者は、商品陳列や患者(お客様)対応など、調剤事務と同じ仕事をすることもあるでしょう。

調剤事務は登録販売者のように患者と接する機会はありますが、薬自体の相談や説明を行うことはできません。また、調剤事務は必須となる資格はなく、スキルや知識を証明できる民間資格が複数ある点にも違いがあります。

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登録販売者が活躍できる職場

登録販売者は、ドラッグストアや調剤薬局、スーパー・コンビニなどさまざまな場所で活躍できます。

ドラッグストアやスーパー・ホームセンターなどの量販店では、第二類・第三類医薬品の販売以外に、日用品や食品、化粧品などの販売に関する業務も登録販売者の仕事です。近年では医薬品の取り扱いを行うコンビニエンスストアも出てきており、登録販売者の活躍の場は広がっていくでしょう。

調剤薬局には薬剤師がいるため、登録販売者は必要ないのではと思う方もいるかもしれません。しかし、商品の陳列や第二類・第三類医薬品を購入する方への説明を登録販売者が行うことで、薬剤師の業務負担軽減が期待できます。そのため、調剤薬局にも登録販売者のニーズがあるのです。

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登録販売者の仕事内容

登録販売者の仕事は職場によって異なりますが、第二類・第三類医薬品の販売が中心です。登録販売者は薬を求めているお客様に対して症状や使用目的をヒアリングし、適切な薬を選びます。そして、販売時には用法・用量や禁忌の飲み合わせ、副作用などの情報提供を行うのが登録販売者の仕事です。

ドラッグストアやスーパーなどでは、医薬品以外の商品販売に関する業務も行います。

登録販売者の1日のスケジュール

登録販売者の仕事について、ここではドラッグストアに勤務する登録販売者を例に、1日のスケジュールを紹介します。

時刻
スケジュール
詳細
9:00 出勤 出勤し、制服に着替える
9:15 開店準備 レジ周りのお金・物品の補充や、深夜から早朝にかけて運ばれてきた商品の品出し、店舗の掃除などを行う
9:45 朝礼 営業開始前に連絡事項などを共有する
10:00 開店 レジ打ちや商品陳列、商品・医薬品発注などの業務を行いながら、第二類・第三類医薬品を購入するお客様がいたら、合う薬の提案や効能・服用方法などの説明を行う
12:00 休憩 ほかの店舗スタッフと交代で昼食休憩をとる
13:00 接客、レジ打ち、商品陳列、医薬品販売 午前中に引き続き業務を行う
16:30 商品発注、日報作成 バックヤードで事務作業や、次のシフトの人への引継ぎなどを行う
17:00 退勤 事務作業が終わったら退勤する

ドラッグストアの登録販売者は、医薬品販売のほかに、品出し・商品陳列や在庫管理・発注、レジ打ちなどの業務を行っています。ほかの職場でも、登録販売者は医薬品販売だけに従事することは少なく、職場に合わせてさまざまな業務を行うのが特徴です。

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登録販売者の資格を取るには?

登録販売者の資格は、独学または通学・通信教育などで知識を習得し、試験に合格することで取得できます。資格取得までの流れについて確認しておきましょう。

資格要件がないので誰でも資格取得を目指せる

登録販売者は実務経験や必須履修科目、年齢制限などの資格要件がないため、誰でも取得が目指せる資格です。
薬科大学で必修科目の履修をしなければ国家試験の受験資格が得られない薬剤師と異なり、社会人や主婦も取得を目指しやすいでしょう。

独学か通学・通信教育などで試験勉強する

登録販売者の資格を取るための要件はないものの、試験に合格するためには専門的な知識が必要です。勉強は試験対策の本を購入して独学する方法と、通信教育を使用する方法、通学制のスクールに通う方法があります。スクールの費用は通信教育で3~5万円、通学制で7~10万円程度が相場のようです。

資格試験に合格する

登録販売者の資格試験は、年1回、都道府県単位で実施されます。試験問題・試験日は都道府県により異なっており、試験日は8月末から12月までの時期に設定されるのが通例のようです。

試験問題が異なるので、試験の合格率にも多少ばらつきがあります。一般社団法人日本薬業研修センター「2023年度登録販売者試験情報」によると、2023年度実施分の試験の合格率は都道府県により21.4~55.2%となっており、全国平均は43.7%でした。合格率が4割~5割の都道府県が多いようです。

合格ラインは全国で共通しており、正答率7割以上となっています。問題は全120問で1問1点のため、正答は84問以上必要です。試験問題は以下の5科目から出題されます。

  • 医薬品に共通する特性と基本的な知識
  • 人体の働きと医薬品
  • 薬事に関する法規と制度
  • 主な医薬品とその作用
  • 医薬品の適正利用と安全対策

なお、正答数の偏りを防ぐため、各科目につき35~40%以上正解しなければなりません。この基準値は都道府県により異なります。

合格後は販売従事登録して年に1回外部研修を受ける

登録販売者の試験に合格したら、勤務先の都道府県で販売従事登録が必要です。販売従事登録は、複数の都道府県に重複して行えないので注意しましょう。

資格取得後は年に1回外部研修を受けることが推奨されています。 厚生労働省医薬食品局「登録販売者に対する研修の実施について」によると、外部研修の内容は以下のとおりです。

  • 医薬品に共通する特性と基本的な知識
  • 人体の働きと医薬品
  • 主な一般用医薬品とその作用
  • 薬事に関する法規と制度
  • 一般用医薬品の適正利用と安全対策
  • リスク区分等の変更があった医薬品
  • その他登録販売者として求められる理念、倫理、関連法規等

この外部研修の受講は義務ではありませんが、少なくとも12時間以上の研修を受けることが推奨されています。

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登録販売者の需要はある?将来性は?

近年、医師や薬剤師は人手不足となっており、薬の処方・調剤も医療現場の負担増加の一因になっているようです。

そのため、軽度なケガや病気は自ら判断して医薬品を使用し、回復に努める「セルフメディケーション」が推進されています。セルフメディケーションに使用できる薬として、処方箋がなくても購入できる第二類・第三類医薬品はお客様からのニーズが高いのが現状です。

今後、社会全体の高齢化が進むと予測されており、医師や薬剤師の人手不足をすぐに解消するのは難しいでしょう。そのため、第二類・第三類医薬品の販売に必要な登録販売者の需要や将来性は、今後も高いといえます。

また、第二類・第三類医薬品はドラッグストアなどで気軽に購入できることから、「効果が薄い」「副作用がない」などと誤った認識を持たれることも。誤った認識のまま禁忌の飲み合わせをしたり、過剰摂取(オーバードーズ)をしたりすると健康を害し、最悪の場合、命に関わる容体になることもあるのです。

登録販売者はそのような事態を防ぐため、医師・薬剤師に代わって薬の正しい知識を伝えていく専門職としての需要があります。また、セルフメディケーションを適切に推進していく役目も担っているといえるでしょう。

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登録販売者の給料は?

登録販売者の給料は、勤務場所によっても異なりますが、資格手当がついたり基本給が高めだったりと、資格を評価した金額になっているようです。

ドラッグストアでの給与は、正社員で月20~25万円前後が一般的で、資格手当がプラスで5,000円~2万円ほど付きます。パートでは資格手当が時給に数百円上乗せされて、時給1,000~2,000円程度になることが多いようです。

調剤薬局は薬剤師か登録販売者の資格を持っていないと就職できないため、基本給が高めに設定されています。正社員の給与は月20~27万円、パートでは時給1,000~2,000円ほどが多いようです。

登録販売者で高い給料の職場を探す場合は、高需要のために高い給料で募集を出しているコンビニやスーパーをチェックすると、給与が高いことが多いでしょう。

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登録販売者に向いている人とは?

登録販売者には薬や健康に興味がある人が向いています。登録販売者になるには、薬の作用や人体の仕組みといった知識を身に付けて、試験に合格しなければなりません。元々、身体の仕組みや薬の効能・飲み合わせなどに興味がある方や、健康に気を付けている方であれば、勉強も楽しくできるでしょう。
登録販売者として働きだしたあとも、新しい医薬品情報や健康情報を取得し続けることで、お客様により的確な情報を提供できる登録販売者としてスキルアップしていけます。

また、コミュニケーション能力がある人も登録販売者に向いているでしょう。登録販売者はお客様の症状や薬の使用目的などを聞き出すのも仕事です。薬を必要としている方は困っている方・不安な方が多いため、そのようなお客様に寄り添って薬をすすめたり、アドバイスをしたりできる人は登録販売者に適任でしょう。

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登録販売者とは第二類・第三類の一般用医薬品を販売できる専門職

  • 登録販売者とはドラッグストアなどで第二類・第三類医薬品を販売できる職種
  • 登録販売者は薬剤師と違い、資格試験の受験要件がないため誰でも受験できる
  • 登録販売者の資格試験は都道府県が主催しており、合格率は4割程度
  • 登録販売者はセルフメディケーションの推進に欠かせない職種である

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