職場・施設情報

ショートステイとは?施設の役割や仕事内容、働くメリットを解説

在宅で介護を受けている高齢者が一時的に利用するショートステイ。介護分野で転職を考えている人の中には、ショートステイについて詳しく知りたいという人もいるでしょう。

この記事では、ショートステイでの仕事について関心をお持ちの方に向け、サービス内容や働いている人の職種、介護職の仕事の仕方などについて詳しくご紹介します。ぜひ、転職先の検討の参考にしてください。

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ショートステイとは

ショートステイとは、自宅で介護を受けている高齢者が、短期間施設に入所し、生活支援や介護、リハビリを受けるサービスです。普段自宅で生活している方が、家族の事情などにより、自宅で介護が受けられないときに一時的に利用できます。

ショートステイには大きく分けて2種類あります。一つ目が日常生活の支援や身体介護が中心の「短期入所生活介護」で、二つ目が医療的処置に対応する「短期入所療養介護」です。

「短期入所生活介護」と「短期入所生活介護」について、それぞれの具体的なサービス内容をまとめました。

短期入所生活介護

短期入所生活介護とは、利用者が施設に短期入所し、入浴・排せつ・食事などの介護や、その他の日常生活上の世話、リハビリを受けることができるサービスです。「一般型ショートステイ」とも呼ばれます。

短期入所生活介護は主に、「特別養護老人ホーム(特養)や老人保健施設など入所型施設の空床」「入所型施設に併設された施設」「ショートステイ専門で運営されている独立型の施設」などで行われています。
厚生労働省によると、2015年時点でもっとも数が多いタイプは、空床・併設型で、これらが全体の約8割を占めています。

短期入所生活介護の対象となるのは、要支援・要介護認定を受けている人です。2003年から2015年の利用者の割合を見ると、多くの年で要介護3の利用者が最多となっています。また、平均介護度も各年で3程度です。

短期入所生活介護については、サービスを提供するために必要な人員基準が国によって定められています。主な人員配置は、医師(1人以上)、生活相談員(利用者100人につき1人)、介護職員または看護師(利用者3人につき1人以上)、栄養士(1人以上)、機能訓練士(1人以上)。そのほか、調理師や事務員などが、必要に応じて配置されます。

短期入所療養介護

短期入所療養介護は、短期入所生活介護と同様、普段は在宅で介護を受けている高齢者が対象となります。その中でも特に、「医療的なケア」が必要な利用者が短期入所し、看護、医学的管理の下、日常生活の世話や介護、機能訓練などを受けることができるサービスです。「医療型ショートステイ」とも呼ばれます。

短期入所療養介護は、サービスを提供できる場所が、「介護老人保健施設」または「療養病床を有する病院か診療所」に限られています。短期入所生活介護と比べ、リハビリや医療に関する仕事が多いのが特徴です。

人員配置基準は、介護老人保健施設と病院・診療所の人員配置基準に準じます。
介護老人保健施設の人員基準は、定員100人に対し、常勤の医師1人以上、看護職員9人以上、介護職員25人以上、支援相談員1人以上、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士いずれか1人以上、介護支援専門員1人などとなっています。
その他、必要に応じて薬剤師、調理員、事務員などが配置されます。

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ショートステイの役割

ショートステイは、利用者が可能な限り在宅で生活できるように、必要な医療や介護、機能訓練や日常生活の世話を行い、身体機能の維持や回復を促すことを、サービスの目的としています。

さらに、ショートステイの役割として重要なのが「レスパイトケア」です。
レスパイトとは、「小休止」「ひと休み」「息抜き」などを意味する英語です。普段介護に当たっている家族が一時的に介護から離れ、休息できるようにするのがレスパイトケアです。

実際、ショートステイの利用目的で最も多いのは、家族の「レスパイトケア」となっています。ショートステイは、利用者の家族の身体的、精神的負担の軽減を図る非常に大切な役割を担っているのです。

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ショートステイで働く職種と仕事内容

次に、ショートステイでの仕事について具体的に説明しましょう。
ショートステイで働く主な職種と業務内容をまとめました。

医師

一般型、医療型ともに、ショートステイでは医師が1人以上配置されています。
医師は、利用者の医療処置のほか、利用者の健康管理や指導、相談業務にもあたります。

看護職員

ショートステイの看護師は、利用者の体調管理といった看護師本来の業務を担うほか、利用者の生活サポートや介護、施設のレクリエーションの準備などにも当たることがあります。

介護職員

ショートステイで勤務する介護職員は、主に利用者の身体介助を担います。具体的には、身の回りの世話や着替え、食事の手伝い、移動介助や入浴介助などです。

また、利用者の自宅と施設間の送迎も介護職員の仕事となります。専任の運転手がいる場合は、利用者の介助をするだけですが、介護職員が実際に運転し、送迎を行っている施設もあります。
そのほか、施設の行事、レクリエーションなども担当します。

生活相談員

ショートステイでの生活相談員の役割は、利用者の「窓口」になることです。
利用日程を調整したり、ショートステイでのケアプランを策定したりするほか、利用者からの苦情対応なども行います。

機能訓練指導員

ショートステイには、機能訓練指導員が1人以上配置されることになっています。
機能訓練指導員とは、利用者の身体機能の維持、または回復のための訓練を指導する職種です。看護師または准看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、柔道整復師などの資格を持つ人が、機能訓練指導員として働くことができます。

ショートステイで機能訓練指導員は、利用者ができる限り自立して暮らすことができるよう、利用者一人ひとりの状態に合わせて機能訓練を実施します。

利用者の生活環境や身体機能の状況をチェックした上で、利用者本人や家族の意向も踏まえ、機能訓練計画表を作成し、計画表に沿って訓練を行います。

栄養士

定員40人以上の施設では、栄養士を1人以上配置することが決められています。
ショートステイの栄養士は、利用者に提供する食事の献立作成や調理などの給食管理業務を担います。利用者に合わせた栄養ケアなども、栄養士の仕事となります。

その他職員

ショートステイのサービスに携わるその他の職種としては、事務員や調理員などがあります。
事務員は、介護保険制度に基づいて介護給付費を請求する事務や、ショートステイで働く人たちの労務管理などを担います。
調理師は、栄養士が作成した献立表を基に、利用者が食べやすい形で食事を調理し、提供します。

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ショートステイで働くメリット

ショートステイは、社会的にも、利用者や利用者の家族にとっても、大切な役割を担ったサービスです。
働く人にとっても、さまざまなメリットがあります。

多くの利用者と関わることができる

ショートステイの滞在期間は最長30日となっているため、短期間で利用者が入れ替わります。長期入所施設と比べて多くの利用者と関わることができるのが、ショートステイでの仕事の特徴です。常に新鮮な気持ちで業務にあたることができますし、さまざまな利用者に臨機応変に対応する力もつきます。

幅広いスキルが身に付く

短期間で多くの利用者への対応を経験することができるショートステイでは、さまざまなスキルを幅広く身につけることが可能になります。また、常に利用者に必要なサービスを短期間で見極めなければならないため、一人ひとりに合った介護を的確に提供するスキルが身に付くのもメリットです。

アットホームな雰囲気で働くことができる

ショートステイは、小規模な施設で行われているケースが多いので、アットホームな雰囲気で働けるのも魅力です。施設によっては、レクリエーションを通じて利用者と交流したり、会話を楽しんだりすることもできるでしょう。

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ショートステイで働くデメリット

メリットが多い一方で、ショートステイで働くことにはデメリットもあります。
転職先としてショートステイを選ぶ場合には、次のデメリットを踏まえ、詳細について施設に問い合わせるなどして、自分の希望に合った職場を見極めるようにしましょう。

「夜勤」や「運転」が必要なケースがある

ショートステイでの働き方は、施設によって違いがあります。夜勤があるケースもあるので、家庭の事情で夜間働くことができない方であれば、デメリットとなるでしょう。また、利用者の送迎のため、運転が必要なケースも少なくありません。運転免許証を所持していない、運転が苦手という方は注意が必要です。

利用者との関わりが深まらない

ショートステイでは、利用者の滞在が短期間になるため、利用者との関係が深まりにくいという面があります。利用者と親密な関係を築くことができないため、物足りないと感じる方もいるようです。利用者一人ひとりに寄り添い、時間をかけた介護をしたいという方には、長期滞在型の施設が向いているかもしれません。

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ショートステイで働く介護職員の1日の流れ

ショートステイでの仕事の流れをまとめました。
あくまで一例ですが、介護職の1日は、次のようなイメージです。

【短期入所生活介護の場合】

時間
業務
概要
6:00〜 起床 起床の声掛け、着替え・トイレ・移動の介助など
8:00~ 朝食 配膳・片付け、食事介助、投薬など
9:00~ 入浴 入浴介助、口腔ケアなど
12:00~ 昼食 配膳・片付け、食事介助、投薬など
14:00~ 施設行事・送迎 レクリエーションの準備、おやつの提供、送迎、機能訓練のサポート、送迎など
16:00 事務 日勤から夜勤への申し送り事項の整理など
17:00 夕食 配膳・片付け、食事・服薬介助など
20:00 就寝準備 着替え・トイレ・移動の介助など
21:00 消灯・巡回 就寝の声掛け、夜間見回り、書類の記入など

利用者の生活に合わせて、食事の準備や身の回りの世話をします。
夕食前に日勤と夜勤が入れ替わる施設が多いようです。

【短期入所療養介護の場合】

時間
業務
概要
7:00〜 起床 起床の声掛け、着替え・トイレ・移動の介助など
8:00~ 朝食 配膳・片付け、食事介助、投薬など
9:00~ 入浴 入浴介助、口腔ケアなど
11:00~ リハビリ 機能訓練指導員のサポート、移動介助など
12:00~ 昼食 配膳・片付け、食事介助、投薬など
14:00~ 施設行事・送迎 レクリエーションの準備、おやつの提供、送迎、機能訓練のサポート、送迎など
16:00 事務 日勤から夜勤への申し送り事項の整理など
17:00 夕食 配膳・片付け、食事・投薬介助など
20:00 就寝準備 着替え・トイレ・移動の介助など
21:00 消灯・巡回 就寝の声掛け、夜間見回り、書類の記入など

短期入所療養介護の1日の仕事は、短期入所生活介護の場合と大きく変わりません。異なるのは、リハビリの時間が設けられていることです。

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ショートステイの介護職員の給与目安

気になるショートステイの給与水準についても見ていきましょう。

ショートステイの給与水準は、施設によって異なります。以下の表は、厚生労働省が公表する介護職員の平均給与です。ショートステイを併設していることが多い入所型施設の給料を見ていきましょう。

令和3年
平均給与額
令和2年
平均給与額

増減
介護老人福祉施設 34万5,590円 33万6,350円 9,240円増
介護老人保健施設 33万8,390円 33万640円 7,750円増
小規模多機能型居宅介護事業所 28万9,520円 28万2,380円 7,140円増
通所介護事業所 27万8,180円 27万1,920円 6,260円増

上記はいずれも月給です。国による法改正が進められているため、各施設で前年に比べて大幅にアップしています。

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ショートステイでの勤務に向いている人

日々の仕事に変化があるショートステイでの仕事には、向き不向きもあります。
まずは、ショートステイでの勤務に向いている人について、まとめました。

観察力のある人

ショートステイの仕事では常に、短期滞在の利用者に対応しなければなりません。利用者がどのような状態で、どのようなニーズがあるか、短期間で見抜く力、観察力のある人がショートステイの勤務に向いています。

臨機応変な対応が得意な人

短期的に利用者が入れ替わるショートステイでは、臨機応変な対応が重要になります。その場に応じて、適切な対応をするのが得意な方は、ショートステイでの勤務に向いています。

コミュニケーション能力の高い人

ショートステイの場合、慣れない場所で不安を抱えている利用者も少なくありません。そんな利用者に寄り添い、安心感を持ってもらえるようなコミュニケーション能力の高い方は、ショートステイでも活躍できるでしょう。

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ショートステイでの勤務に向いていない人

ショートステイの仕事に向いていない人もいます。
次のような特徴がある方は、ショートステイの勤務に向かない可能性があります。

車の運転に苦手意識がある

ショートステイでは、サービスの性質上、利用者の送迎が欠かせません。介護職員が送迎するケースも少なくないので、車の運転ができない方、車の運転に苦手意識がある方は、施設によっては仕事をするのが難しいケースもあるでしょう。転職先を選ぶ際には、運転が必要か否か、確認することが必要です。

人見知りの傾向がある

ショートステイでは、入所者が短期間で入れ替わるため、初対面の人間関係に不安を感じるような方には、あまり向かない職場です。ただ、ショートステイの業務を続けていくことで、新たな利用者への対応に慣れ、人見知りを克服できる可能性もあります。

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ショートステイで介護職員として働くには

ショートステイでの仕事に関心を持ったら、まずは求人サイトなどをチェックしましょう。
求人サイトで、気になる求人を見つけたら、それが「短期入所生活介護」なのか、「短期入所療養介護」なのか、シフトの状況、夜勤の有無、車の運転が必要か否かなど、詳細を確認してください。

事前の情報収集で、自分の希望に合うかどうかをよく見極めた上で、求人に応募することが重要です。

ショートステイでは、要介護度1から5まで、多種多様なニーズをもった高齢者に対応しなければなりません。ショートステイで働く際には、次のような資格取得を目指すこともおすすめです。

職種
必要な資格
介護職員 介護の基礎を学ぶ「介護職員初任者研修」
介護職員 介護福祉士を取得するために必要な「介護職員実務者研修」
サービス提供責任者・生活相談員など 介護関連では唯一の国家資格「介護福祉士」
相談業務・生活相談員 要支援・要介護者のケアマネジメントを行う「介護支援専門員(ケアマネジャー)」

資格を取得すれば、ショートステイで担当することができる業務の幅も広がります。スキルを活かす機会も多く、給与アップにもつながるので、資格取得はおすすめです。

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ショートステイの特徴を理解して転職を検討しよう

  • ショートステイとは、在宅の高齢者を一時的に受け入れるサービスのこと
  • ショートステイには、普段介護に当たっている家族の負担軽減の役割もある
  • ショートステイには、「短期入所生活介護」「短期入所療養介護」の2種類がある
  • ショートステイの介護職員には送迎の業務もあり、車の運転が必要なケースもある
  • ショートステイには、コミュニケーション能力が高く、臨機応変な人が向いている

ショートステイでの仕事について、働いている職種、詳しい業務内容などを紹介しました。ショートステイは、アットホームな雰囲気で、さまざまな人と触れ合うことができる、やりがいのある職場です。ショートステイでの仕事に関心を持った方は、記事を参考に、仕事の詳しい内容や条件をチェックし、自分に合った求人を探してみてください。

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