豆知識

病院とクリニックの違いって?異なる特徴や役割を解説!

10 months ago

「病院とクリニックは何が違うの?」そのように思う方もいるでしょう。病院とクリニックの違いは医療法にて定義されている病床数にありますが、ほかにも働くうえで知っておきたい違いが多くあります。この記事では、病院とクリニックの詳細な違いや役割、それぞれに向いている人の特徴について解説しています。転職を考えるうえで病院とクリニックどちらが良いのか迷っているという方は、ぜひ参考にしてください!

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病院とクリニックの違いは?

医療機関は、医療法により「病院」と「診療所(クリニック)」に分けられています。それぞれにどのような違いがあるのか、みていきましょう。

違いは法律で明確に定義されている

病院とクリニックの一番の違いは、医療法にて定義されている病床数です。病院とクリニックの定義について述べられている、医療法第一条の五をみてみましょう。

第一条の五 この法律において、「病院」とは、医師又は歯科医師が、公衆又は特定多数人のため医業又は歯科医業を行う場所であって、二十人以上の患者を入院させるための施設を有するものをいう。病院は、傷病者が、科学的でかつ適正な診療を受けることができる便宜を与えることを主たる目的として組織され、かつ、運営されるものでなければならない。
2 この法律において、「診療所」とは、医師又は歯科医師が、公衆又は特定多数人のため医業又は歯科医業を行う場所であって、患者を入院させるための施設を有しないもの又は十九人以下の患者を入院させるための施設を有するものをいう。

引用:医療法

つまり、病院は20床以上、クリニックは19床以下もしくは無床の医療機関を指します。
なお、クリニックは施設名に「病院」という名称をつけられません。つけるべき名称の指定はないため、「診療所」以外に「クリニック」や「医院」をつけたり、「〇〇眼科」のように診療科をつける例もみられます。

施設数はクリニックのほうが多い

厚生労働省「令和4(2022)年度医療施設(動態)調査・病院報告の概況―Ⅰ医療施設調査」によると、2022年10月1日時点で全国に病院は8,156施設、一般診療所は10万5,182施設、歯科診療所は6万7,755施設あります。
一般診療所の内訳をみると、有床診療所が6,544施設、無床診療所が9万9,224施設です。
医科だけで割合を比較すると、病院が約7%、診療所が約93%であることから、クリニックのほうが圧倒的に多いことが分かります。クリニックでは9割以上が無床診療所という結果です。

人員配置や診療報酬にも違いが

厚生労働省「医療法に基づく人員配置基準について」によると、一般病床では患者16人に対して医師1人以上、患者3人に対して看護職員1人以上、外来は患者40人に対して(耳鼻科と眼科のみ患者80人に対して)医師1人以上、患者30人に対して看護職員1人以上と規定されています。
無床診療所における医師の配置基準はなく、医師は1人だけでも開業可能です。

無床のクリニックでは看護師10人前後、医師1名で運営されていることが多いようです。ほとんどの場合は受付の事務員が別にいますが、クリニックのなかには看護師が受付業務を兼任していることもあります。
また、病床数や規模にもよりますが、病院では医師は診療科ごとに数人、看護師は基準数より多くいることがほとんどです。ほかにも薬剤師や栄養士、診療放射線技師などといった多職種のコメディカルも勤務しています。

また、違いは診療報酬制度における医療費にも。急病以外で200床以上の病院に紹介状なしで受診する患者がいる場合、病院は患者へ選定療養費という費用を請求できます。診療報酬制度により決められている費用ですが、病院により金額が異なるのが特徴です。多くの場合、初診では7,000円から10,000円程度、再診では3,000円以上に設定されています。近年は高齢化・医師不足で病院の業務がひっ迫しており現場の負担を減らすため、緊急を要さない受診であればまずは診療所に行くよう勧めるための制度です。

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病院とクリニックの役割は?

病院の役割は、救急医療や高度・先進医療の提供、医療従事者の教育機関としての役割です。
病院は、救急搬送や手術に対応できる設備・人員を備えています。急性心疾患や脳血管疾患など直ちに生死に関わる疾患を発症した人や、事故で重症外傷を負った人の受け入れを行い、救命治療を行うのは病院の重要な役割です。がんや特定疾患、希少疾患の治療も行っており、治験や先進医療を実施することもあります。ほかにも、MRIやPETといった大型の医療機器を持っている特性を生かして、人間ドックを実施している病院もあるようです。

また、病院は患者を治療するだけでなく、医療従事者の教育機関としての役割もあります。医師への教育として挙げられるのは、研修医の受け入れや、若手医師を医局全体でサポートする体制を取っていることです。新人看護師はペアやチームのなかで先輩看護師から教育を受ける仕組みになっており、地域の看護師に向けても研修会を開催して看護師教育を実施しています。

それに対しクリニックは、主に「かかりつけ医」の役割が求められます。「地域のお医者さん」として、かぜやインフルエンザ、生活習慣病といった比較的軽度な疾患の治療を行ったり、健康診断を行ったりするのがクリニックの役割です。往診を行い、地域の高齢者の健康管理やターミナルケアを担うこともあります。また、母子ともに正常な経過である妊娠・分娩であれば、基本的に総合病院のような病院ではなく産婦人科のクリニックで出産をサポートしています。病院と違い、医師が1、2名だけということがほとんどのため、眼科や耳鼻咽喉科、皮膚科というように専門領域だけを診療する役割を持っている場合も多いでしょう。

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病院で働くのに向いている人

病院で働くのに向いている人の特徴は、以下のとおりです。

  • 教育制度が整っている職場で働きたい人
  • 高度・先進医療に触れ、スキルアップを狙いたい人
  • 夜勤もしながら働きたい人

前項で触れたように、病院は教育制度が整っていることや、高度・先進医療を取り扱っているという特徴があります。看護師としてのキャリアが浅い人であれば、教育の流れが確立している病院で多くの症例を経験しながら、高度・先進医療の勉強も行ってよりスキルアップを狙うのがよいかもしれません。
また、病院には入院施設があるため、夜勤をしたい人にもおすすめです。夜勤は日勤より少ない人数で勤務するため、経験することで対応力が身につくでしょう。労働者が深夜時間帯に勤務するとき、事業者側は賃金を割増することが労働基準法で義務付けられていますので、夜勤を行うことで給与アップも期待できます。

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クリニックで働くのに向いている人

クリニックで働くのに向いている人の特徴は、以下のとおりです。

  • 少人数の職場で働きたい人
  • 看護業務を幅広く経験したい人
  • 患者さんをより近い距離感で支えたい人

クリニックでは医師1、2名と看護師10人以下で運営されている場合が多いようです。たくさんの同僚と人間関係を築くのが苦手という方は、クリニックでの勤務のほうが向いているでしょう。また、病院では担当ごとに分かれている業務も、少人数で手分けして担当しなければなりません。そのため、幅広く看護業務を経験して、看護師としての総合力を上げたいという方にはおすすめの職場です。
また、前述のとおり、クリニックは「かかりつけ医」としての役割を持ちます。通院する患者と顔なじみになることが多く、信頼関係が築きやすい環境です。そのため、大人数の患者に対応する病院よりも、一人ひとりの患者との距離が近い看護をしたいという方には、クリニックでの勤務が向いています。

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病院とクリニックの違いは病床数と求められる役割

  • 病院は病床数20以上、クリニックは19床以下もしくは無床の医療機関を指す
  • 病院とクリニックの施設数では、クリニックが9割以上を占めている
  • 病院には救急医療や高度・先進医療、医療従事者の教育機関としての役割がある
  • クリニックには「かかりつけ医」の役割があり、地域に密着した医療を提供している

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