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看護配置基準とは?種類と特徴について解説

正看護師5 months ago

「看護配置基準についてあまりよくわかっていない…」病棟での勤務経験があっても、そのような疑問を持っている方もいるでしょう。看護配置基準とは、入院患者に対して看護師を何人配置するか定められている基準のことです。この記事では、代表的な看護配置基準の種類と特徴について解説しています。入院基本料との関係や、利点の多いと言われる7対1配置のメリットについても触れていますので、ぜひご覧ください。

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看護配置基準とは?

看護配置基準とは、患者の人数に対し看護師が何人必要かを示した基準のことです。病院の運営には「人員配置基準」が設けられており、入院患者数に応じて医師や看護職員などの人数が決められています。病院以外にも介護施設における介護職員数や、保育園における保育士数などにも見られる基準です。看護配置基準は、適切な医療提供のために、医療法に基づいて厚生労働省が定めています。

厚生労働省「医療法に基づく人員配置標準について」には、「病院、療養病棟を有する診療所は、厚生労働省令で定める員数の医師、歯科医師、看護師等を有しなければならないとされている。(医療法第21条) 」「特定機能病院は、厚生労働省令で定める員数の医師、歯科医師、薬剤師、看護師等を有しなければならないとされている。(医療法第22条の2) 」と記載されています。

基準と人員についての考え方

厚生労働省「医療法に基づく人員配置標準について」によると、「人員配置標準を満たさない場合であっても、患者の傷病の程度、医療従事者の連携等により、望ましい一定の医療水準を確保することが十分可能な場合もあるため、最低基準でなく、『標準』とされている。」との記載があります。人員配置基準は必ず守るべきというわけではなく、一定の医療水準を満たせる場合は下回ってもよいという考え方です。

また、看護師数については、患者の人数に対し24時間単位で必要となる人数を考えます。
例として10対1看護・50床の病床を考えると、50床÷看護配置基準の患者数10名=5名で、必要とされる看護師の数が算出できます。ただし、看護師は1日に5名いればいいというわけではありません。患者は24時間いるのに対し、看護師は勤務時間の間しかいないので、常に看護師5人以上の人員を満たすためには何人必要かを考えます。

常勤の看護師が1日8時間勤務とすると、24時間÷8時間=3人となるため、看護師1名枠を埋めるためには1日に3人必要です。看護師1名枠を埋める人数3人×看護配置基準5名=15人となるため、1日最低15人以上の看護師が必要という結果になります。
実際には看護師の急な早退や欠席に備え、最低人数より余裕を持った人員を確保して運用している病棟が多いようです。

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看護配置基準と入院基本料の関係

患者の重症度が高い病院・病棟は、看護師の人員がより多く求められるようになっています。看護配置基準の〇対1は、〇名の入院患者に対して看護師1名以上という意味ですので、基準の指す患者数が少ないほど、看護師が看る患者が少なくなる仕組みです。看護師が看る患者が少なくなるほど、手厚い看護が可能となります。

また、患者が入院することにより1日ごとに発生する「入院基本料」は、病院や病棟の看護配置基準により変わるのが基本です。患者数が少ない基準であるほど、入院基本料が高く設定されているため、病院の収入にも影響します。

厚生労働省「令和4年度診療報酬改定の概要【全体概要版】」によると、2022年度診療報酬改定における「急性期一般入院基本料」は7対1看護で1,650点、10対1看護で1,382~1,619点です。ほかにも救急病棟や精神科病棟、結核病棟の入院基本料も、看護配置基準により点数が決められています。

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代表的な看護配置基準

看護配置基準にはどのような種類や特徴があるのでしょうか。計算方法である常勤換算についてもここで紹介します。

2対1・3対1・4対1

2対1・3対1・4対1看護は、それぞれ2~4名の入院患者に対して看護師1名以上という看護配置基準です。かなり手厚い看護を提供しているのが特徴で、救命救急が必要な特別な病棟などに適用されています。
2対1はICU(集中治療室)、3対1はNICU(新生児集中治療室)、4対1はHCU(高度治療室)や救急病棟に多いようです。

7対1

7対1看護は2006年度の診療報酬改定により新設された看護配置基準で、7名の入院患者に対して看護師1名以上という看護配置基準です。総合病院などの急性期病棟向けの基準で、重症患者が多く手厚い看護が求められる病棟によく適用されています。

10対1

10対1看護も急性期病棟向けの看護配置基準で、7対1看護より病状が比較的落ち着いている患者を多く看る場合によく適用されます。患者の重症度があまり高くないとはいえ、看護師はより多くの患者を看る必要があるのが特徴です。

13対1

13対1看護は、精神科病棟や慢性期・回復期病棟向けの看護配置基準です。病状が安定している患者を対象にしており、回復期リハビリテーション病棟やケアミックス病棟に多く適用されています。

常勤換算

看護配置基準で定義されている看護師の人数は、全て常勤看護師の人数であることとされています。しかし、実際に病棟で働く看護師はフルタイム・週5日で働く常勤だけでなく、時短や週4日以下のシフトで働く方もいるでしょう。このような場合、常勤以外の看護師の労働力を、常勤と同様に考えるために「常勤換算」という計算を行います。

7対1看護の病棟を例にとると、常勤は週5日勤務×1日8時間勤務=週40時間勤務が一般的です。35床の病棟であれば、35床÷患者7名=看護師5名は必要となりますが、この5名は常勤換算となります。ここに週4日勤務×1日5時間勤務の人がいた場合は、4×5=週20時間勤務のため、20時間÷常勤の勤務時間40時間=0.5人となり、2名で常勤1名分と捉えられます。
このようにフルタイム以外の人を常勤換算することで、何名分になるかを考えて基準を満たすのが常勤換算の考え方です。医療現場では常勤換算を交えながら、病棟の看護配置基準を満たせるよう工夫がなされています。

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メリットが多いと言われる7対1看護

一般病棟のうち、7対1看護はメリットの多い看護配置基準といわれます。患者の立場では、看護師1人当たりが看る患者数が少ないため、より手厚い看護が受けられることがメリットです。

看護師にとっては担当患者数が少ないことだけでなく、比較的重症の患者を多く看る機会があることから、自身のスキルアップにつながります。また、7対1の看護配置基準を満たすには人員確保が必要なため、病院側は看護師を集めるために良い待遇を提示することも。そのため、看護師の給与が平均より高い病院もあるようです。

7対1看護を採用している病院側にもメリットがあり、10対1や13対1に比べて入院基本料が高いため、経営面にも良い影響をもたらすことがあげられます。

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看護配置基準を正しく理解して病棟の特徴を把握しよう

  • 看護配置基準は適切な医療提供のため、医療法に基づき厚生労働省が定めている
  • 看護配置基準と入院基本料の高さは比例しており、手厚い看護体制だと入院基本料が高い
  • 看護配置基準は7対1や10対1、13対1などの基準がある
  • 看護配置基準のうち7対1看護は手厚い看護や高収益になりやすいなどのメリットが多い

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