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医療現場への導入が進むICT・AI技術!一助となる3つの主力製品
a year ago
医療業界では、医師や看護師の人手不足解消が大きな課題とされていることから、さまざまな企業が医療現場の一助となるような製品開発に注力しています。
本記事で取り上げるのは、医療従事者と患者さんの双方の気持ちに寄り添った製品開発に取り組む3つの企業。それぞれの主力製品は、外来業務をタスクシフトできる業務支援ツール、特定保健指導の業務軽減を図れるシステム、長時間心電図の自動解析が行えるソフトウェアです。医療現場への製品導入がさらに進むことで、医療従事者の働く環境も変化してゆくことでしょう。
株式会社OPERe
株式会社OPEReは、医療現場のオペレーションを刷新するという意味を込めた“Renewings Operations”を ミッションとし、2020年6月に設立されました。代表の澤田氏は急性期病院で臨床看護師として働いたのち、病院経営コンサルタントへ転職。医療機関のコンサルティングやシステム開発に従事していました。
OPERe起業後は、「TOKYO STARTUPGATEWAY」にて優秀賞を受賞し、東京都スタートアップ社会実装促進事業(2020年度)に採択されながら、病院向け業務支援システムを開発。2021年1月には、外来業務をタスクシフトできる「ポケさぽ」も発表しました。現在では同製品を主力とし、多くの医療機関へ導入されています。
入院案内を動画でサポート「ポケさぽ」
多くの病院ではタスクシェア・シフトが大きな課題となっています。その背景にあるのは、医師の働き方改革による労働時間上限規制のスタートです。医師の働き方改革の影響により、医療現場では以前にもまして「誰が業務を担うのか」といった議論が活発化しています。
入院に関連する業務で、重要度が高いにもかかわらず、なかなか人員を割きにくいのが患者さんへの入院案内です。入院関連の資料の準備や、患者さんへ何度も内容説明を行ったりする繰り返し業務、フォローが必要な高齢の患者さんへの対応、スクリーニング業務など、多くの業務とのバランスが難しいといった声がよく聞かれます。
そんな医療従事者の悩みを解決するために開発されたのが同社の「ポケさぽ」。患者さんへの入院案内業務をスマートフォンを使って解消できる画期的なツールです。
スマートフォンに導入するのは、大多数の人が利用しているコミュニケーションアプリ。入院や検査などの案内をメッセージと動画で確認でき、いつでも何度でも繰り返し見られる点が魅力ポイントです。患者さんは可視化できることで理解を深めやすく、医療従事者にとっては業務軽減を実現できる利便性に優れた製品といえるでしょう。
医療機関とのメッセージ機能もあり、親しみやすい画面でやりとりできることから『使いやすい』と高評を得ています。
実際の導入事例
医療機関や患者さんに「ポケさぽ」に関するアンケート調査を実施している同社。医療機関導入後のインタビューも行っており、導入のきっかけや導入後に起こった変化、導入してよかったことなど、さまざまな内容をヒアリングしています。アンケートやインタビューで得た情報は、医療現場のオペレーション業務の刷新に役立てているそうです。
下記では、ツールを実際に導入した医療機関の声をご紹介します。
導入のきっかけ
・看護師の業務をスリム化したい
・円滑な退院のためのスクリーニングを行うため
・患者さんにより便利なサービスを提供したい
・身近なコミュニケーションツールを使っている点が良いと思った
・入院説明を標準化したい
導入後に起こった変化
・業務負荷が軽減され、入院後のトラブルが起こらなくなった
・入院案内の時間がかなり短縮された
・事務的な手続きがスムーズになった
・患者さんの待ち時間短縮の効果が大きい
・事前動画説明により、患者さんが院内で迷子にならなくなった
導入してよかったこと
・好きな時間にメッセージのやりとりができる
・入院日にあわせたリマインド機能がとても良い
・ご家族の方も登録できる点がとても好評だった
・新たなコミュニケーションツールとして活用できる
・入院資料を改めて整理することで、新たな気づきや驚きがたくさんあった
とある病院では、ツールの導入後に薬剤師から「入院前から私たちも一緒に取り組みたい」と声が上がったそうです。医師や看護師をはじめ、院内で働く多職種のスタッフとの連携の一助にもなる同ツール。今後のさらなるバージョンアップにも注目が集まっています。
■詳細情報
株式会社OPERe
ポケさぽ
株式会社アイテックス
山口県周南市に本社を置く株式会社アイテックス。システムの環境構築から業務運用、保守サポートまでトータルサービスの提供に努めている企業です。介護ソリューション事業では、介護事業所向けの「WINCARE」シリーズの導入に注力し、介護現場でのさらなる快適な運用を実現するべく注力しています。
また、医療・介護領域向けに、特定保険指導システム「WelNets」という製品も展開。本記事では、保健指導者の業務軽減につながる「WelNets」というシステムに注目してご紹介します。
事務的な業務を軽減するシステム「WelNets」
「WelNets」は、特定保健指導を担う保健師や管理栄養士の業務軽減を図れる画期的なシステムです。
特定保健指導は、2008年4月からスタートした国の施策の一つ。40歳~75歳未満のメタボリックシンドロームに該当する方を対象に、生活習慣の改善を目的にサポートを行います。生活習慣病の予防・対策は、3ヶ月〜6ヶ月という長期戦で行うものです。そのため、目標を設定したうえで、綿密な行動計画を立てる必要があります。そのサポートを行うのが特定保健指導者の仕事です。
特定保健指導の支援には2種類あります。
1つは、計画を立てたあとに患者自身で実施してもらう「動機づけ支援」。もう1つは、医療者が介入して一緒に取り組む「積極的支援」です。積極的支援では、電話やメールなどで定期的に状況を確認する必要があるため、指導者の業務負担が悩みの種とされています。
その業務負担を軽減できるのが、同社の特定保健指導システムです。
WelNetsの特徴
同システムの特長は、簡単に操作できるようUI(ユーザーインタフェース)にこだわって開発されている点。直感的に選択しながら指導状況を確認することが可能です。
直感的に操作できるポイントとして、以下のことが挙げられます。
- カレンダー形式になっているので、指導予約などスケジュールが見やすい
- 予約欄を選択するだけで、指導内容や対象者の基本情報などを確認できる
- 初回面談日を入力すると最終評価までの予定を自動でスケジューリングできる
- 公的医療保険機関の請求書をボタン一つで作成できる
カレンダー形式のスケジュール画面は、色やアイコンを使って把握しやすいだけでなく、指導状況や支援内容などさまざまな情報を一つの画面上で確認できることが大きなポイントです。
そのほかに、テンプレートを活用することで入力作業の効率化を図れたり、特定健診データ(XML or CSV)を取り込むだけで指導対象者の基本情報を登録できたりと、業務負担の軽減につながるメリットも得られます。
また、リモート保守にも対応しており、充実したサポートサービスを提供。そのため、導入後のシステム操作関連の疑問や悩みもすぐに解消でき、スムーズな運用が叶えられます。
■詳細情報
株式会社アイテックス
WelNets
株式会社カルディオインテリジェンス
AIを活用した医療機器の開発に取り組む株式会社カルディオインテリジェンス。心臓専門医が不足する医療現場をサポートするべく、テクノロジーを駆使した製品開発に尽力しています。
同社が手掛けている主力製品は、「長時間心電図解析ソフトウェア SmartRobin AI シリーズ」です。本記事では、『医療✕AI』の現状とともに、同製品の特徴や魅力をご紹介します。
『医療✕AI』への期待
医療現場にAIが導入されはじめた背景には、医療従事者の深刻な人材不足が挙げられます。医療分野で特にAI技術が進んでいる領域は、画像診断支援です。2022年度の診療報酬改定により保険適用となりました。そのため、今後はさらに医療AIを導入する医療機関が増えてくることでしょう。
医療AIを導入するメリットは、医療従事者の業務の効率化です。また、医師とAIとのダブルチェックで重大な病気を見逃すリスクを回避できるという点にも期待が寄せられています。しかし、実用化が期待されている医療領域は無限にあり、身近なものとして導入されるにはまだまだ時間がかかりそうです。
その理由の一つとして、「信頼性の高い良質なデータを集めなければならない」という問題点が挙げられるでしょう。AIは学習したデータからさまざまな判断を行うため、膨大な量のデータが必要となります。さらに、成功事例の積み重ねとともに、信頼関係を構築するという課題もクリアしなければいけません。
現状は医療従事者の業務を効率化する役目を担っている医療AI。今後、診断補助として多くの医療機関へ導入されることで豊富なデータ収集が行えるのでは、と注目されています。
「長時間心電図解析ソフトウェア SmartRobin AI シリーズ」
心臓の専門医とAIスペシャリストにより開発された「長時間心電図解析ソフトウェア SmartRobin AI シリーズ」。同製品は、長時間心電図検査を担う医師や臨床検査技師の人手不足と患者さんの通院負担という2つの課題を軽減またはターゲットとした画期的な心房細動診断サポートツールです。
心房細動は心電図検査で捉えることができなければ診断がつきません。そのため、健康診断などで行う短い時間の心電図検査だけではなく、長い時間の心電図検査が有効になってきます。この長時間心電図検査は、膨大な量の波形データを取得できる分、波形の判読に多くの時間と労力が必要になります。そのため、医療従事者にとっては大きな課題となっていました。その問題を解決へと導いたのが同製品です。
同社では大学発ベンチャーの強みを活かし、大学病院で取得した膨大な量の長時間心電図波形を学習データとして活用し、長時間心電図を自動解析するAIを開発。また、多様な波形を学習させることで心房細動を高精度で自動検出できるようになりました。
とある導入施設では、観察中の患者さんに7日間記録可能な心電計を用いて検査を実施し、同製品による解析を行ったところ、従来よりもすばやく不整脈診断に至ったそうです。また、解析結果の画面やレポートが直観的でわかりやすい仕様になっているため、医療従事者の診断にかかる時間を減らすことができ、患者さんへ病状を伝える際のツールとしても活用できるといった声も届いています。
同社代表の田村氏が抱いているのは、「本当に医療現場で役立つものをAIで届けたい」という想いです。今後もさらなる製品開発に取り組み、医療従事者と患者さんの一助となるAI医療機器を誕生させることでしょう。
※「SmartRobin®」は株式会社カルディオインテリジェンスの商標登録です。
■詳細情報
株式会社カルディオインテリジェンス
長時間心電図解析ソフトウェア SmartRobin AI シリーズ
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