職種・資格情報
認知症介護基礎研修とは?研修内容や受講方法、上位資格を紹介
a year ago
「認知症介護基礎研修とは?」
「義務化されたから認知症介護基礎研修を取得しないといけない」
このように考える方もいるでしょう。認知症介護基礎研修は、認知症の方を介護するのに必要な知識・技術を身に付けるための研修です。この記事では認知症介護基礎研修の研修内容や上位資格などを解説しています。受講義務が適用される人の条件についても触れていますので、認知症の方を介護する職業に興味がある方はぜひご覧ください。
認知症介護基礎研修とは
認知症介護基礎研修とは、認知症の方を介護する際に必要な基礎知識・技術を学ぶ研修です。特別養護老人ホームや訪問介護事業所などすべての介護施設において、雇用形態に関係なく直接介護に関わる職員が研修対象となっています。研修制度は2016年度から開始されており、2024年4月からは受講対象となる方に対し修了が完全に義務化されます。受講対象となる人が新たに介護事業所に就職する場合は、入職後1年以内に修了しなければなりません。
多くの自治体でe-ラーニングでの受講ができる
認知症介護基礎研修は自治体単位で研修が行われており、多くの自治体でe-ラーニングがとり入れられています。主な研修形態は以下のとおりです。
- 集合型研修
- e-ラーニングと集合型研修を組み合わせて行われる研修
- e-ラーニングのみの研修(動画視聴またはリモート講義受講)
研修費用は無料の自治体もありますが、有料の場合でも1,000~5,000円程度で受けられます。カリキュラム自体もほかの介護系研修より短く、e-ラーニングであれば1日で修了できる場合がほとんどです。
認知症介護基礎研修の研修内容
社会福祉法人東北福祉会 認知症介護研究・研修仙台センター「認知症介護基礎研修e-ラーニングの学習内容」より、e-ラーニングでの研修内容を一例として紹介します。
- 序章:認知症を取り巻く現状
- 第1章:認知症ケアにおいて基礎となる理念や考え方
- 第2章:認知症の定義と原因疾患
- 第3章:認知症の中核症状と行動・心理症状の理解
- 第4章:認知症ケアの基礎技術
動画視聴のみの序章を除き、第1~4章までは動画視聴後に復習問題を解き、確認テストを受験します。確認テストが不合格の場合は、その章の動画視聴と復習問題への回答からもう一度行い、確認テストに合格できるまで次の章に進めない仕組みです。すべての章を修了したら修了証書が発行されます。
認知症介護基礎研修の受講免除となるケース
認知症介護基礎研修は、認知症の方の介護を行う全職員を対象として行われている研修です。一方、対象職員の中で受講が免除されるケースもあります。どのような場合に受講免除となるのか、確認していきましょう。
受講免除になる資格・研修
認知症介護基礎研修の受講対象となる方でも、保持している資格や修了済の研修によっては受講免除になる場合があります。
山口県長寿社会課「認知症介護基礎研修の受講義務免除資格等について」によると、受講義務化の対象外となる資格・研修は以下のとおりです。
<受講が免除される資格>
- 医師、歯科医師
- 看護師、准看護師
- 介護福祉士
- 社会福祉士
- 薬剤師
- 理学療法士、作業療法士、言語聴覚士
- 精神保健福祉士
- 管理栄養士、栄養士
- あん摩マッサージ指圧師
- 柔道整復師
- はり師、きゅう師
- 介護支援専門員(ケアマネジャー)
<受講が免除される研修>
- 介護福祉士実務者研修
- 介護職員初任者研修
- 生活援助従事者研修
- 介護職員基礎研修課程
- 訪問介護員養成研修一級課程・二級課程
- 認知症介護実践者研修
- 認知症介護実践リーダー研修
- 認知症介護指導者研修 など
受講免除の対象となる資格・研修は自治体により多少異なります。認知症ケア指導管理士や認知症サポーター養成講座などの民間資格のみ取得している人や、社会福祉主事任用資格のみ取得している人は、基本的に受講免除にはなりません。
受講免除となる条件
認知症介護基礎研修には受講免除となる資格・研修だけでなく、受講免除となる条件も存在します。山口県長寿社会課「認知症介護基礎研修の受講義務免除資格等について」によると、受講義務化の対象外となるケースは以下のとおりです。
- 福祉系高校を卒業している
- 養成施設で認知症に関する科目を受講している
- 人員配置基準上、従業員数として算定される従業員以外である、直接介護に携わる可能性がない
卒業や科目受講の証明には卒業証明書・履修科目証明書の提出が必要になる場合があるため、該当する方は証明書の取り寄せ方法について確認しておきましょう。また、介護職と兼務しない介護事務員など、介護事業所で働いていても直接介護に携わらない人は受講対象外です。
認知症介護基礎研修はなぜ義務化された?
認知症介護基礎研修は2024年4月より、認知症の方の直接介護を行う介護職員は受講が完全に義務化されます。義務化された理由としては、認知症の方を介護するための知識・技術を持った介護職員の存在が必須と考えられるからです。
内閣府「平成29年度高齢社会白書」によると、2012年時点で認知症の高齢者は462万人おり、65歳以上の高齢者の7人に1人が認知症であるという統計が出ていました。2025年には65歳以上の高齢者の約5人に1人が認知症になると予測されており、高齢化社会に伴い認知症の高齢者も年々増えていくとみられます。
認知症の症状は物忘れだけでなく、徘徊、せん妄、暴力行為などが出現することも珍しくありません。そのため、認知症の知識が不十分なまま介護に入ると、認知症の方への接し方がわからなかったり、トラブルになってしまったりする介護職員もいるのです。
認知症介護基礎研修制度について初めて提唱された、厚生労働省「認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)」では、認知症のことをよく理解した人が介護を行うべきとうたわれています。さらに、認知症介護基礎研修について「認知症介護に携わる可能性のあるすべての職員の受講を目指す」と書かれています。介護職員は身体介護の知識・技術に加えて、認知症に対しても適切な知識・技術を持っているべきとされ、受講の義務化に至ったと考えられるでしょう。
認知症介護基礎研修の上位研修は?
認知症介護基礎研修は名前のとおり、認知症の方を介護するための基礎的な知識・技術を学ぶ研修です。より専門的なスキルを身に付けたい方は、上位資格の取得を検討するのもよいでしょう。ここでは、認知症介護基礎研修よりもややレベルの高い介護系の研修を紹介します。
認知症介護実践者研修
認知症介護実践者研修は、より専門性の高い認知症介護の知識・技術を身に付けられる研修で、認知症介護のエキスパートを目指せます。
身体介護の知識・技術を習得済の方向けの内容になっているため、受講対象者は多くの自治体で実務経験2年以上が目安とされています。認知症介護の実務者だけでなく、指導者も対象の研修内容となっています。受講期間は講義・演習で7日前後、実習が2~4週間程度かかり、計2~3ヵ月ほどで修了可能です。
介護職員初任者研修
介護職員初任者研修は、認知症だけでなく介護の基礎知識・技術を身に付けられる研修で、修了後は介護施設で身体介護を行えます。
介護職員として働き始める初心者向けの研修のため、受講要件は問われません。認知症介護基礎研修の内容も含まれ、先に取得していれば認知症介護基礎研修の受講が免除されます。1日で受講完了する認知症介護基礎研修と違い、介護職員初任者研修のプログラムは130時間分あるため、受講免除を狙って先に取得する場合は修了までの時間を考慮しておくとよいでしょう。
介護福祉士実務者研修
介護福祉士実務者研修は、介護福祉士を受験するために受講が必要な研修です。介護職としての実践的な知識・技術を学べ、修了後はサービス提供責任者になれる資格を得られます。
医療的ケアのカリキュラムがあり、介護職員初任者研修に比べて専門的な内容を学ぶため、ある程度経験を積んだ介護職員向けの資格といえるでしょう。全カリキュラムが450時間あり、修了までにかかる期間は6か月程度です。介護職員初任者研修を修了していると一部科目が免除され、受講期間が短縮されます。認知症を含めた介護職全般の実践的な知識を身に付けたい方や、将来的に介護福祉士の資格取得を目指している方におすすめの研修です。
認知症介護基礎研修は認知症ケア初心者向けの研修
- 認知症介護基礎研修は、認知症の方を介護するために必要な基礎知識を得られる研修
- 認知症介護基礎研修は認知症介護に携わる職員に対し、修了が完全義務化される
- 認知症介護基礎研修は、多くの自治体でe-ラーニング受講ができ、1日で修了できる
- 認知症介護基礎研修は、ほかの資格保持・研修修了によって受講免除されることがある
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