職種・資格情報
介護福祉士国家試験について受験資格や取得のメリットを紹介!
a year ago
「介護福祉士の国家試験はどのような内容?」
「介護福祉士の国家試験を受験するメリットは?」
そう考える方もいるでしょう。この記事では介護福祉士国家試験の試験内容や合格率、受験資格について詳しく紹介します。介護福祉士の資格取得で得られるメリットや、介護福祉士の給与についても触れていますのでぜひ参考にしてください。
介護福祉士とは?
介護福祉士とは、介護福祉士国家資格を保持している人を指します。主な仕事は、介護を必要とする方へ適切な介護サービスを提供したり、介護スタッフへ指導や助言を行ったりすることです。介護福祉士は介護施設や医療機関などさまざまな場所で活躍しています。
介護福祉士国家試験の受験資格
介護福祉士国家試験を受けるには、まず受験資格を得ることが必須です。受験資格を得るには大きく分けて4つのルートがあります。1つ目は経済連携協定(EPA)ルートと呼ばれ、日本の介護福祉士を目指す特定の国の外国人が対象のものです。この記事では残りの3ルートについて詳しく解説します。
実務経験ルート
実務経験を経て、介護福祉士国家試験の受験資格を得るルートは2種類に分かれています。
- 介護現場で3年間以上かつ540日以上の実務経験を経て、実務者研修(EPA介護福祉士候補者以外) を修了する
- 介護現場で3年間以上かつ540日以上の実務経験を経て、介護職員基礎研修と喀痰吸引等研修を修了する
実務経験ルートでは介護福祉士国家試験を受けるとき、筆記試験後の実技試験が免除されます。2種類とも規定の研修の修了が必要で、実務経験のみでは受験資格を得られないので注意しましょう。なお、介護職員基礎研修は2012年に廃止されているため、今から実務経験ルートで資格取得を目指す方は、実務者研修を修了することになります。
養成施設ルート
養成施設ルートは、高卒以上の方が介護福祉士養成施設を経て受験資格を得るルートで、3種類に分かれています。
- 高等学校等卒業後、介護福祉士養成施設で2年以上の課程を修了する
- 高等学校等卒業後、福祉系大学または社会福祉士養成施設などを修了し、介護福祉士養成施設で1年以上の課程を修了する
- 高等学校等卒業後、保育士養成学校などを経て、介護福祉士養成施設で1年以上の課程を修了する
養成施設ルートは、2017年度から介護福祉士国家試験の受験資格になりました。
なお、介護福祉士養成施設の卒業年度により、国家資格取得までの道のりが異なります。
2016年度までに卒業した方は、試験を受けずに介護福祉士の国家資格が取得可能です。
2017年~2026年度に卒業の方は、卒業時に国家試験を受験するかどうか選択でき、受験して合格すれば資格取得となります。一方、国家試験が不合格だった場合または国家資格を受験しない場合でも、一時的に介護福祉士の国家資格を取得できますが、卒業後5年間の期限付きです。この場合は卒業後5年間続けて介護業務に従事するか、卒業後5年以内に筆記試験に合格すれば資格取得となります。
2027年度以降に卒業する方からは、国家試験の受験が必須です。なお、養成施設ルートを経て国家試験を受験する場合は筆記試験のみとなり、実技試験は免除されます。
福祉系高校ルート
福祉系高校は卒業後に国家試験を受験しなければならない点は共通していますが、入学年度や高校の種類により、資格取得への道のりが3種類に分かれます。
2008年度以前の入学者は国家試験の受験申込時に、筆記・実技両試験を受験するか、介護技術講習受講・介護過程修了・介護過程Ⅲ修了のいずれかを選択して履修後、筆記試験のみを受験するかが選択可能です。
2009年度以降の入学者は、国家試験(筆記のみ、実技免除)を受験することになります。
学校教育法により定められている文部科学大臣および厚生労働大臣が指定した特例高校を卒業した方は、9か月以上および従事日数135日以上の介護の実務経験が必要です。その後、国家試験では筆記・実技両試験を受験するか、介護技術講習受講・介護過程修了・介護過程Ⅲ修了のいずれかを選択して履修後、筆記試験のみを受験するかが選択できます。
介護福祉士国家試験の概要
介護福祉士国家試験は、筆記試験と実技試験からなります。すべての受験者が筆記と実技の両方を受験するわけではなく、受験資格により実技試験が免除される場合があります。
例年、筆記試験は1月末、実技試験は3月初旬に行われ、合否発表は3月末頃となっています。筆記試験は全国35か所に会場がありますが、実技試験は免除されている受験者が多いため、東京と大阪の2か所で行われるのが通例です。
試験内容
筆記試験は午前(1時間40分)と午後(2時間)に分けて行われ、出題形式は五肢択一式です。視覚障がいのある受験者には試験時間の延長措置が設けられており、弱視等受験者は1.3倍、点字等受験者は1.5倍の試験時間が与えられます。公益財団法人社会福祉振興・試験センターによると、第36回(2023年実施分)の筆記試験科目は以下のとおりです。
- 人間と社会(人間の尊厳と自立、人間関係とコミュニケーション、社会の理解)
- こころとからだのしくみ(こころとからだのしくみ、発達と老化の理解、認知症の理解、障がいの理解)
- 医療的ケア
- 介護(介護の基本、コミュニケーション技術、生活支援技術、介護過程)
- 総合問題
同じく公益財団法人社会福祉振興・試験センターによると、実技試験の試験科目は「介護等に関する専門技能」です。介護現場で遭遇するシチュエーションが用意され、要介護者の要望に対して受験者がどのように対応するかを審査されます。
合格率
厚生労働省の「介護福祉士国家試験の受験者・合格者の推移」によると、2021年~2023年実施分の合格率は以下のとおりです。
第33回(2021年実施) | 84,483人 | 59,975人 | 71.0% |
第34回(2022年実施) | 83,082人 | 60,099人 | 72.3% |
第35回(2023年実施) | 79,151人 | 66,711人 | 84.3% |
出典:厚生労働省「介護福祉士国家試験の受験者・合格者の推移」より引用
合格率は年々上昇しており、7~8割で推移していることがわかります。
介護福祉士国家試験に合格すると得られるメリットは?
介護福祉士国家試験に合格し、資格を得るとどのようなメリットがあるのでしょうか。
介護職としての業務の幅が広がる
介護福祉士の業務には、介護スタッフへの指導も含まれます。介護福祉士国家試験を受けるにあたって、介護スタッフへ指導を行える位の専門的な知識を身に付けるからです。今まで介護を行うだけだった方も、介護福祉士の資格取得を機に指導役を任されることもあるでしょう。よって介護福祉士国家試験に合格すると、自身の業務の幅を広げられるメリットがあります。
免許更新がないため永久的に資格が有効である
介護系の資格の中でも、ケアマネジャー(介護支援専門員)や主任ケアマネは5年に1度、更新研修を受ける必要があります。一方、介護福祉士は2023年時点で免許更新のための試験や研修がありません。一度資格を取得すれば永久的に資格が有効です。出産や病気などの事情で介護職を離れることがあっても資格が失効しないため、復職したいと思ったときも資格保有者として転職活動ができます。
なお、介護福祉士の上位資格である「認定介護福祉士」は5年ごとの更新研修が必要で、更新の要件として実務経験や指定研修の受講が問われます。
就職・転職に有利で待遇アップも見込める
前述のとおり、介護福祉士は介護スタッフへの指導役を担えます。そのため、リーダー職や管理職へ昇進できることもあり、待遇アップが見込めるでしょう。また、国家資格である介護福祉士は、介護の知識やスキルを有している証明として申し分ありません。就職や転職の際も資格が有利に働くでしょう。介護業界で働きたい方にとっては、ぜひ取得しておきたい資格です。
介護福祉士の給与は?
厚生労働省「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果」によると、2022年9月・12月における介護福祉士と保有資格のない介護職員の平均給与額は以下のとおりです。
介護福祉士 | 介護職員(保有資格なし) | |||
---|---|---|---|---|
常勤 | 非常勤 | 常勤 | 非常勤 | |
介護職員処遇改善支援補助金を取得している事業所 (2022年9月時点) |
33万1,080円 | 16万2,330円 | 26万8,680円 | 16万3,900円 |
介護職員等ベースアップ等支援加算を取得している事業所 (2022年12月時点) |
33万1,690円 | 15万5,150円 | 27万530円 | 12万6,890円 |
出典:厚生労働省「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果」より引用した数値を表に加工して掲載
非常勤の場合、資格の有無で給与にあまり差はないようですが、常勤となると6万円程度差があることがわかります。介護福祉士は資格手当がつく場合があったり、昇格などで基本給がアップしたりするため、給与に差が生まれているようです。
介護福祉士国家試験に合格して介護職のスペシャリストになろう
- 介護福祉士は専門知識をもとに介護を行ったり、介護スタッフへ指導をしたりできる
- 介護福祉士国家試験は、試験を受ける前に受験資格を得なければならない
- 介護福祉士国家試験は筆記と実技があり、受験資格により実技が免除される場合もある
- 介護福祉士国家試験に合格すると、業務の幅が広がったり昇給が見込めたりする
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